キレンジャー/大岩大太

3日目はゴレンジャーのムードメーカーである大岩大太を取り上げます。彼の設定年齢は23歳。イーグル九州支部で柔道の練習をしていた時に黒十字軍の青銅仮面の襲撃を受け、重傷を負いながらただ一人生き残りました。

 

キレンジャーと言えばカレーライスを食べる場面がお馴染みですね。スナックゴンに来店早々、大盛を何皿も食べ、マスターを呆れさせています。支払いはツケだったようで、第3話で正体を表した江戸川権八総司令に「だいぶツケが溜まっているぞ。」と注意される始末です。給料から天引きするという発想はないようですね。

 

カレーがらみの場面は上原正三脚本では何度も登場します。例えば第3話では青銅仮面のアジトに乗り込んだキレンジャー。すると大盛のカレーライスがあるではありませんか。芸の細かいことに水がコップに入れて用意してあります。これを観たキレンジャーは大岩大太の姿に戻り、カレーライスを食べ始めます。そのままの姿では食べられませんからね。すると青銅仮面登場。なんと第一声は

青銅仮面「お口に合って私も嬉しい。」

両者ともに毒を盛るという発想はないようです。なぜなら、この場面は大岩大太がカレー好きである事を強調するために書かれた場面だからです。

 

スナックゴンは第44話でエレキ画面に店内を滅茶苦茶に壊された後、第45話から場所を移してフルーツパーラーゴンに模様替えしますが、そこでも大岩はカレーを注文する始末。これは子供心に呆れました。フルーツパーラーで普通カレーは売られていないでしょう。マスターも「お前のためだけに特製カレーを作るわけには行かないんだよ。」と言いながらも毎回出してやります。もっとも、マスターは改装後の開店時にカレーを餌に大岩にサンドウィッチマンをやらせていますが。

 

また007の弟太郎や明日香健二になぞなぞを出されても答えがわからず、しばしば「なんじゃらほい?」と言う始末です。第1話では戦いの最中にゾルダーに答えを聞く場面も観られました。

 

とまあ、おっちょこちょいの場面が多い大岩大太ですが、精鋭ゴレンジャーに選ばれるだけあって優秀なところもあります。例えば、第2話ではいち早くゴンのマスターが総司令であることに勘づきます。また機械にも強いです。ただのカレー好きではないのです。またバリブルーンやバリドリーンでは新命と一緒に乗り込み、助手を務めます。出動時のやりとりも面白かったです。

新命「大ちゃん」

大岩「あいな。」

新命「まいりましょう。」

大岩「まいりましょう。」

前半ではゾルダーと戦うときは怪力や柔道を活かして武器も使わずに戦っていました。とは言うもののアイマスクを変形させるとYTCと言う高性能無線機になります。これを使って仮面怪人の苦手な音波を発信して敵にダメージを与えたこともあります。

 

後半でニューゴレンジャースーツを着用するようになってからはアイマスクをキーステッカーという棍棒に変えて戦うようになります。

 

演じる畠山麦さんのスケジュールの都合で途中出演していない時期があるのは残念ですが、本当に愛すべきキャラクターでした。仲間からの愛称は「大ちゃん」でした。大岩大太が全編出演するゴレンジャーを観たかったなあと思うのは私だけではないと思います。

 

演じた畠山麦さんはもうこの世にいません。「特捜最前線」第71話「恐怖のタクシードライバー!」にゲスト出演した時にNGを連発し、思い悩んで撮影中に出番を残したまま首吊り自殺してしまったからです。吉野刑事役でレギュラー出演していた誠直也さんは未だにこの事件が衝撃だったらしく、ゴレンジャーの出演者で一番印象に残っている人は誰かという問いには畠山さんの名前を挙げています。畠山さんを気遣って二人で飲みに行こうと約束をしたそうですが、当日も畠山さんはNGを連発したため、飲むのを翌日に延期して誠さんは帰りました。その翌日。撮影現場に畠山さんが現れず、彼の住むアパートへマネージャーが見に行ったところ、自殺していたのが発見されたのです。なお、出番が残っていたため、撮影は一からやり直しとなり、粟津號さんを代役にして、この話は完成しました。「特捜最前線」第71話「恐怖のタクシードライバー!」は一度だけ観た事がありますが、登場人物のイメージは確かに畠山さんにぴったりでした。畠山さんのご冥福をお祈りします。

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