新堀和男

さて大野剣友会が技斗を担当していた時代にアカレンジャースーツアクターを務めていたのが新堀和男さんです。12日目は彼を取り上げましょう。

 

1955年生まれで茨城県出身。高校を中退して日本テレビ俳優養成所にいた頃、大野幸太郎さんと岡田勝さんと出会い、それがきっかけで大野剣友会に入りました。初めはショッカー戦闘員を演じていたのですが、ショッカーライダーに抜擢され、その後は「仮面ライダーV3」で1号ライダーを演じたり、「仮面ライダーX」では終盤でXライダー役に抜擢され、「仮面ライダーアマゾン」でもアマゾンライダー役になりました。エンディングのシルエットは新堀和男さんが演じたものです。そして「秘密戦隊ゴレンジャー」に至ると言うわけです。

 

ゴレンジャーでは主役のアカレンジャー役に抜擢されますが、アオレンジャーキレンジャーなどは先輩が演じていたため、リハーサルなどで台本通りに「行け!」とセリフを言っても「お前が行け。」と返され、仕方なく「ハイ」と自分だけ走ったことがあったりしたそうです。

 

ヒーローのスーツアクターを演じる人に共通して言えることですが、新堀さんも背が高いです。なので若くして主役に抜擢されたのでしょう。ほぼ同時期の「仮面ライダーストロンガー」でも中屋敷哲也さんの代役でストロンガーを演じたことがあります。ただ浜松でロケした時は演出した山崎大助さんが中々OKを出さず、絡みの人への申し訳なさから「降りる」と言ったこともあったそうです。なお、後の「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」でもストロンガーを演じています。

 

ゴレンジャー終了後は「大鉄人17」でワンセブンを演じています。しかし、ワンセブンの着ぐるみは非常に動きづらいものだったため、過酷な仕事だったそうです。思い余ってわざと着ぐるみを壊して修理休みを取ったこともあったと、「大鉄人17 MUSIC COLLECTION」付属のブックレットでのインタビューで述べています。これが遠因となり、「UFO大戦争 戦え! レッドタイガー」終了を機に大野剣友会を退会。芸能界から足を洗い、料理人をしていたそうです。

 

ですが、これだけの才能のある人が野に埋もれるのはもったいないことです。その話を聞きつけた、元大野剣友会の高橋一俊さんが新堀さんの勤めるお店に何度も足を運んだのだそうです。高橋さんはずっと何も言わずに料理を食べていたそうですが、何かあると察した新堀さんが用件を尋ねると、高橋さんは「バトルフィーバーJ」の話をしたのだそうです。こうして新堀さんは芸能界に復帰する事になり、高橋さん率いるビッグアクションが技斗を担当する事になった「バトルフィーバーJ」でバトルジャパンを演じる事になりました。ビッグアクションは第6話を最後にJACと交代。その時、新堀さんは自分も引き揚げるつもりだったのですが、高橋一俊さんに慰留され、そのまま残りました。そしてこれが「鳥人戦隊ジェットマン」までレッド役を新堀和男さんが演じ続けるきっかけになったのです。

 

現在、新堀和男さんはレッド・エンタテインメント・デリヴァーの代表取締役を務めています。同社は今もスーパー戦隊シリーズや平成仮面ライダーシリーズに出演するスーツアクターや殺陣師が所属していますし、新堀さん自身も「海賊戦隊ゴーカイジャー」でアカレンジャーを演じた他、殺陣師としても活躍しています。あの時、高橋一俊さんが新堀さんの勤めるお店に来なかったら、どうなったのかは不明です。

 

最後に、2017年8月20日のイベントで撮影させてもらった新堀和男さんの写真を載せておきます。高橋一俊さんが考案した「五人揃ってゴレンジャー」のポーズを取っていただいたものです。これを観るまで勘違いしていたのですが、右手は少し寝かせていたのですね。この後、番組を見返して自分の勘違いに気がつきました。新堀さんと私が一緒にポーズを取った写真も撮らせていただいたのですが、私は手をしっかり立ててしまっております。

新堀和男さん(2017年8月20日撮影)

新堀和男さん(2017年8月20日撮影)

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