高久進/新井光

秘密戦隊ゴレンジャーの脚本家はこれだけの人が書いています。

この中で、ゴレンジャーを語る上で欠かせないのはメイン脚本家の上原正三さん、高久進/新井光の師弟コンビ、そして怪作を連発した曽田博久さんの3組でしょう。22日目はゴレンジャーの中では比較的硬派な作品を書いた高久進/新井光の師弟コンビを取り上げます。

 

高久進さんは1933年生まれで福島県会津坂下町出身。新井光さんは1939年生まれで東京都出身。新井さんは高久さんに師事し、1970年には脚本家デビューもしていたのですが、「秘密戦隊ゴレンジャー」では全て共作になっています。

 

高久進さんは「キイハンター」「Gメン'75」と言った大人向けのスパイアクションやハードボイルドの刑事ドラマを書いたり、「キャプテンウルトラ」や「マジンガーZ」と言った子供向け作品も書いています。その作風は伊上勝同様、荒唐無稽な適当な作風です。ただ伊上勝の「紙芝居のような作風(息子の井上敏樹談)」とは毛色が違っています。

 

新井光さんは後に「西部警察」や「あぶない刑事」のような刑事ドラマを書くようになりますが、なんとなく、師匠譲りの路線になっているような気がします。

 

どういう分担になっていたのかは定かでは有りませんが、二人が担当した他の作品同様、荒唐無稽な話が多かったです。 ゴレンジャーの中では比較的硬派な話を書いていますが、なぞなぞなどの定番ギャグもきちんと入っています。

 

一番印象深いのは初執筆となった第9話でしょう。この話では世界平和運動家スコットが死別した妻の墓参りに極秘に来日します。彼を邪魔者とみなした黒十字軍から守るのがゴレンジャーの使命です。途中、スコットは毒牙仮面の毒にやられ、血清を新命と大岩がバリブルーンで取りに行ったり、生き別れとなった娘との確執が描かれ、ハードな作風となっています。高久進さんは他の東映作品でも上原正三さんと一緒に仕事をした事があります。

 

また別の記事でも取り上げましたが、第12話では弟の太郎を人質に取られた007と、兄を失った海城が絡む話を書いています。007は偽情報を流してしまうのですが、そのために新命が重傷を負ってしまいます。007は海城に責められます。弟を人質に取られた心情も考えてとペギーは007を庇いますが、海城は自分は兄を殺されたと言って立ち去ります。これに責任を感じた007が単独で出動し、海城が「君の手には余る」と手助けして太郎を救出するのです。師弟コンビはちゃんと上原正三さんが書いた第1話で描かれた設定をきちんと把握していたのですね。なお、上原さんもこの話をチェックしたのが、第27話を書いて、これに答えた話を書いています。

 

残念ながら、高久さんも新井さんも鬼籍に入ってしまいました。お二人の活躍する姿をもう少し見たかったです。

 

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