仮面ライダーBLACK RX 第8話「パパとママの秘密」を観て

はじめに

この記事では仮面ライダーBLACK RX 第8話「パパとママの秘密」(脚本:荒木憲一、監督:辻理、アクション監督:金田治と村上潤)を観て印象に残った場面について取り上げます。澄川真琴さんとの約束を果たすためです。さてこの話は脚本が江連卓さんではないのでさほど濃い話ではないだろう…と思ったら濃い話で伏線貼りまくりなので、どうやって端折ろうかなあと頭を抱えてしまいました。2回観た後、散歩しながらボーッと生きていたら、あそこだけ書けば話のテーマがバッチリわかることに気がつきました。そしたら後は遊びも入れられます。NHKの番組で山中伸弥教授がおっしゃっていましたが、ボーっとした時にふと思い浮かぶのは、それまでに考えて考えて考えているからだと。似たようなものだったと思います。なんだ。そんなに時間かけずに書けるじゃないですか。と言うわけで簡潔に書く目処が立ちました。

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クレジット

さて前回もクレジットについて取り上げましたが、今回もクレジットを見ていて気になったことを書きましょう。毎回表示されるJAC(今のJAEですが、以後、こう書きます)の皆さんのクレジットを観て、毎回、女性の方が出演していることに気がついたのです。

岡元次郎

(中略)

中嶋一恵

(中略)

飯田則子
(ジャパンアクションクラブ)

岡元次郎さんは男性ですが、まあ雰囲気はわかるでしょう。第1話から第8話まで、この方がクレジットされているのです。一体、どういう仕事をしていたのでしょうか。そういえば女性のレギュラーも二人います。高野槙じゅんさんとマリバロンを演じる高畑淳子さんです。藤岡弘、さんも佐々木剛さんも仮面ライダーの中の人をやった事がありますし、生身で危険なアクション(時系列順に並べますが空飛ぶヘリコプターに捕まったり、有馬温泉のロープウェイでアクションしたりしています)を演じています。万博跡地でサイクロンを走らせる本郷猛や仮面ライダー藤岡弘、さんだったりします。ただ全てのアクションを彼らがこなしていたわけでもなく、大野剣友会の岡田勝さんやら中村文弥さんなどが吹き替えた場合もありました。と言うことは、中嶋一恵さんや飯田則子さんは高野槙じゅんさんや高畑淳子さんの吹き替えを行なった可能性もあるのではないかと思います。どう言う分担かまではわかりません。また大野剣友会の清田真妃さんはモモレンジャーの他にゾルダーも演じていました。もしかしたら中嶋一恵さんや飯田則子さんはそう言うこともやっていたのではないかなあと思います。でも以上のことはあくまでも私の想像に過ぎませんので真相は私にはわかりませんけどね。

話の大まかな流れ

さて仮面ライダーBLACK RX南光太郎が主役ですが、見方を変えれば白鳥玲子や佐原茂などの物語でもあります。7話観ていて、そのことに気づきました。他にもレギュラーはいますが、その人達の物語でもあるわけです。今のところ、南光太郎の素性は完全にはバレてはいませんが…おっと、これ以上書くと「ネタバレやめい」と言われるかもしれないのでやめておきましょう。ただ、その後の流れを踏まえて観ると、よくできているなあ、と思うわけです。

で今回の実質的な主役はゲストの岸田友子(浅川奈月)です。この人は茂の同級生だった人で、以前は茂よりも学校の成績は良くなかったらしいのですが、物語の時点では大学の飛び級して研究をしています。茂は彼女の誕生日に彼女のところまで遊びに行きますが、光太郎(「佐原家の居候」と茂はこの話で紹介しますが、まあ間違ってはいません)も白鳥玲子も茂の友達(例のズッコケ三人組もとい2人)も一緒です。ですがクライシス帝国の皆さんが友子に目をつけたことから否応なく事件に巻き込まれてしまうのです。なぜクライシス帝国の皆さんが友子に目をつけたかと言いますと、友子はクライシス人である岸田誠一(加藤佳男)と地球人岸田美佐江(木村有里)との間に生まれた人でクライシス人は10歳になるとその能力が発現してしまうからです。友子が急に頭が良くなったのはそのためでした。でまあ色々ありまして友子はクライシス人の持つ超能力も発現し、さらには

ボスガン「クライシス人は10歳になると左腕に3つのホクロが現れる。」

も発現してしまい、友子は悩みまくります。茂、三郎、健吾も白鳥玲子も南光太郎も友子を助けようと努力しますが、友子の悩みまでは救いきれないわけです。パパと遊びに行った思い出のある遊園地で友子はこんなことまで考えます。

友子「パパもママも嫌いよ。どうして友子を産んだの?」

そう考えてしまうくらい、悩んでいたわけです。でそこにガイナマイトが現れ、南光太郎が駆けつけ、仮面ライダーBLACK RXは友子の超能力の助けもあってガイナマイトを倒すことに成功します…が、話はこれで終わりません。ここからがこの話の重要な場面になるからです。

岸田友子の苦悩

仮面ライダーBLACK RX「友子ちゃん、もう大丈夫だよ。友子ちゃん。」

しかし友子の様子が変です。心ここに在らずと言う感じです。それに仮面ライダーBLACK RXも気がつきました。

仮面ライダーBLACK RX「どうしたの、友子ちゃん?」

なんと友子は超能力で仮面ライダーBLACK RXに襲いかかりました。その超能力は物凄く、仮面ライダーBLACK RXはひとたまりもありません。

友子「来ないで。みんな嫌いよ。パパもママも、みんな大っ嫌い。」

友子の心はそれくらい荒れ狂っていたわけです。それを仮面ライダーBLACK RXにぶつけるのは理不尽な気もしますが、気持ちはわかります。RXも友子の気持ちを理解しました。

仮面ライダーBLACK RX「ものすごい衝撃波だ。お父さんの言った力とはこの事だったのか。」

そしてRXは友子に言います。

仮面ライダーBLACK RX「落ち着くんだ、友子ちゃん。もう終わったんだ。終わったんだよ。」

友子「来ないで。私は人間じゃない。クライシス人なのよ。」

と言うや否や、また超能力発動。仮面ライダーBLACK RXはまた飛ばされました。

仮面ライダーBLACK RX「やめるんだ。」

それでもまた飛ばされます。

仮面ライダーBLACK RX「君は優しい子じゃないか。人間の心を取り戻すんだ。」

友子「嫌いよ。みんな大嫌いよ。」

なんとなく流れは予想がつくとは思いますが、仮面ライダーBLACK RXは何度も何度も説得を繰り返し、友子はその度に拒絶します。その度に仮面ライダーBLACK RXは酷い目に遭いますが、仮面ライダーBLACK RXは説得を続けます。友子に立ち直って欲しかったからです。その誠意が友子に通じる時がやってきますが、しばらく観ていきましょう。

仮面ライダーBLACK RX「友子ちゃん、そんなに人間が憎いか。だったらその気持ちを全部僕にぶつけろ。全部僕にぶつけて力を使い果たすんだ!」

なんだかこの記事を書いている私と仮面ライダーBLACK RXがダブって見えました。まあやっている事は全く違いますけどね。でまた友子の超能力が炸裂し

友子「やめて。もう来ないで。」

仮面ライダーBLACK RX「戦え。戦え。自分の心に戦うんだ、友子ちゃん。君は人間なんだ。君のパパ、クライシス人として生まれたけど、平和を愛する心を持った、立派な人だったんだ。」

友子の目から涙が流れました。徐々にではありますが、仮面ライダーBLACK RXの誠意は友子に通じたようです。辻理監督の演出は巧みですねえ。

仮面ライダーBLACK RX「友子ちゃん。」

友子「わー。」

仮面ライダーBLACK RX「うわー。」

遊園地のありとあらゆるものが爆発したと思ったら、友子自身も爆発しそうな感じになりました。苦しみまくった友子は倒れてしまいました。倒れていた仮面ライダーBLACK RXは立ち上がりました。友子が目を開けると仮面ライダーBLACK RX南光太郎に戻っていくのが見えました。友子は仮面ライダーBLACK RX南光太郎だったことをしっかり観たのです。光太郎の服はボロボロ(とは言ってもズボンの右膝の部分が破れているだけですが雰囲気はわかるでしょう)で立つのがやっとの状態です。

友子「光太郎さん。」

足を引きづりながら光太郎は友子に近づいていきます。

南光太郎「友子ちゃん。元に戻ったんだね。よかった。」

なぜそう言い切れたのかは若干謎ですが、友子の表情からそう読み取ったのでしょう。光太郎は転んでしまいましたが、友子を抱きしめました。友子も光太郎を抱きしめ返しました。

南光太郎「よかった。」

友子は笑顔です。

友子「光太郎さんが仮面ライダーだったのね。私のこと、助けてくれたのね。」

光太郎「僕の力じゃない。友子ちゃんの心がクライシスに勝ったんだ!」

友子も笑顔です。

光太郎「ほら、観てごらん。ホクロが。」

え? あるじゃん。と思ったら、なんとすぐに消えました。

友子「光太郎さん!」

また抱き合う二人。御都合主義のような気はしますが、仮面ライダーはそういう番組です。名場面なので問題なし!

でこの場面を観て私は「他人の力を当てにしないこと」と書いた上原正三と「人は一人では生きていけない」と噛みついた市川森一はどちらも正しいのだと再認識しました。ゼロサムではないのです。大事なものはどちらも大事なのです。

とそこへ茂、白鳥玲子、そして友子の母美佐江がタクシーで駆けつけて、この話は終わりました。本当は政宗一成のナレーションで締められるのですが、その内容は、そう、あんたの思った通りだよ、師岡さん(中村主水談)。

おわりに

うむ。やればなんとかなるもんですね。まあ毎日書けるかどうかまではわかりませんが、この調子でやれる範囲でやっていきます。

でふと思い出したのが「太陽にほえろ!」第79話「鶴が飛んだ日」(脚本:長野洋、監督:竹林進、1974年1月18日(金)放送 (C) 東宝)です。犯人は捕まったけれども見どころはその後の麻薬中毒の禁断症状に苦しむ殿下こと島公之に手錠を繋いで一晩つき合う山さんこと山村精一の場面でしたね。「殿下、頑張るんだ。」と言いまくる場面を思い出しました。この話、脚本の名義は長野洋さんになっていますが、元々のプロットは視聴者(?)からのものだったそうです。ですが、プロットの発案者は権利を主張せずに譲ったような形になったため、ああなったそうです。