仮面ライダーBLACK RX 第15話「ロボライダー誕生」を観て

はじめに

仮面ライダーBLACK RX 第15話「ロボライダー誕生」(脚本:江連卓、監督:蓑輪雅夫、アクション監督:金田治と村上潤)を観て思ったことを書きます。澄川真琴さんとの約束を果たすためです。作品にのめり込んでしまった今となっては、そろそろこの文章は要らないのではないかとも思うわけですが、発端がこうだし、テンプレート化できるから、敢えて残します。何気に記事の文章を無駄に長くできますからね。

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記事を書くにあたって考えたこと

さて江連卓さんが脚本を書いていますし、この話を含めた3本は山場がてんこ盛りです。書くにあたって色々悩みました。全部書いたら「秘密戦隊ゴレンジャー」の時のように途中で挫折してしまうことは目に見えています。再開はしたいけれどもあのテンションで書くのは難しいことも痛感しています。というわけでこのシリーズではできる限り端折って、時には一番の見せ場であるはずの戦闘シーンでさえもバッサリ切って書いています。まあ見方によっては手抜きなのかもしれませんが、でもそもそもの目的は「観た」事を表現できれば言い訳です。でそれが想定外に(そう、本当に想定外に)うまく言った場合

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もあれば失敗して物語の大事なテーマを拾えなかった場合

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もありました。なので今回もかなり悩みました。初め第15話「ロボライダー誕生」を観た時はこう思いました。

しかし、物語を見ていくうちに、やはり南光太郎がロボライダーになる過程も描きたくなりました。ライドロンもアクロバッターも怪魔界に行ける(御都合主義のような気もしますが面白いからそれで良いのです。仮面ライダーはそういう話です。)ことも描きたくなりました。さあ困りました。昨晩(2023年2月22日)の時点ではこう考えていました。

思いっきり誤記がありますが、TwitterFacebookやブログと違って後から修正して遂行することが現時点ではできません。なお、Twitterの運営側でもそれは認識しており、後から修正するようにできる構想があるそうです。それが日本でも可能になるのはいつの日かはわかりませんし、可能にならないかもしれません。それは兎に角、意図は通じるでしょう。

とはいうものの本業も佳境に入っていてこの記事に割ける時間もさほどありません。本当に隙間時間を縫って第15話から第17話を観ています。記事を書く時間もそれなりになります。迷った挙句に

となりました。

ここまで真面目に考える必要はないかもしれませんが、やるからには、これでも一生懸命に力を込めたくなるのが私の性分です。必殺仕掛人で言うところの藤枝梅安のように享楽的に生きる(とは言うものの彼なりにプロ根性は持っているので彼なりに苦労してのああいう生き方です)と思いながらも西村左内のように生真面目な面もあるという矛盾した人格を持っているのは私も自覚してはいます。そう考えてしまったのです。それに「仮面ライダーBLACK RX」に一生懸命取り組んでいた人の話を聞いてしまったのです。と言うことはそれなりに取り組まないと失礼だと私は思った訳です。

3話持ち

と書きながら未だ話の内容に入りません。それはこの3本の話を制作した布陣が

  • 脚本:江連卓
  • 監督:蓑輪雅夫
  • アクション監督:金田治と村上潤

となっているからです。「仮面ライダーBLACK RX」の他の話は2話を纏めて制作する体制になっています。でもこの話は3話持ちになっているのです。

3話持ちは「秘密戦隊ゴレンジャー」でも後半は取り入れられています。長所もありますが短所もあります。予算を削減できるというメリットがありますが、制作に無理が生じがちになるというデメリットもあるのです。実際、円谷プロが制作した「ウルトラQ」や「ウルトラマン」は予算削減に注目して最初は3話持ちで制作されましたが、制作に破綻が生じて結局2話持ちになり、更には本編と特撮の2班体制になってしまい、更に更に「ウルトラマン」ではそれでも破綻して制作日程が破綻したり制作予算超過を招いてしまった過去があります。「チコちゃんに叱られる」でスペシウム光線誕生を描いた時に飯島敏宏監督が出演したのもそれが理由で、彼は特撮にも関わってスペシウム光線のポーズを発案したのです、バルタン星人の話などを制作した時は。

それでも3話持ちとなったのは理由があるはずです。その前の第14話も含めた4話連続の話となったのが最大の理由なのでしょう。4話全てを上記の体制で制作するのが理想的なのでしょうが、それはそれで難しく、さりとて2話持ち×2とするのも第13話と第14話の関係もあって難しかったのでしょう。だから第15話から第17話までの3話持ちになったのだと私は考えます。あくまでも私がそう考えているだけであって、実際は違うのかもしれません。

茂と白鳥玲子

さて第15話冒頭で仮面ライダーBLACK RXは怪魔界へ飛ぶことに成功します。後に明らかになりますが、ライドロンもアクロバッターも怪魔界へ行く事ができ、仮面ライダーBLACK RXを支援します。もっとも第15話の時点で怪魔界へ行くのはライドロンだけですが、ライドロンはしっかりとアクロバッターも怪魔界へ行けることを明かします。その後、色々あって仮面ライダーBLACK RXはロボライダーになる力を得る…と言うより発現したと言う表現の方が合っているような気がしますが、兎に角、ロボライダーになれるようになります、というか、ロボライダーになれる事を知ります。この展開はご都合主義かもしれませんが、奇しくも仮面ライダーV3で構想されながらも途中で挫折した26の秘密を想起させます。

さて佐原家の場面です。佐原ひとみがいなくなって佐原唄子と佐原俊吉は心配します。それを受けて佐原茂も白鳥玲子も会話をします。それを引用しましょう。

唄子「ひとみ、どこに行ったの? ひとみ、帰ってきて。あー、あたしもう生きていけない。」

俊吉「私だって生きてられるもんか。あの子が戻らなかったら、私も死ぬ。」

唄子「パパ。」

俊吉「ママ。(と抱き合う)」

一見、いつもの佐原家のコメディーと変わらないように見えるかもしれませんが、子供がいなくなったら親が心配するのは当然ですよね。そこを江連卓さん達はしっかりと描いているのです。で描くからにはそれなりの理由がありますが、それはおいおいわかる事でしょう。さて唄子と俊吉のやりとりを冷ややかに(?)見ていた人がいます。

茂「ここに息子もいるんだけどなあ。」

俊吉「お前は男だろ。パパやママがいなくても独りで生きていけます。」

茂「無茶苦茶言ってくれちゃって。」

とその時、白鳥玲子が駆けつけました。呼び鈴も鳴らさずに部屋に入ってきたのですが、それは瑣末な疑問に過ぎません。白鳥玲子が来たと言うのが重要なのです。

玲子「社長(俊吉のこと)、唄子さん、ひとみちゃんが誘拐されたのって、本当なの?」

俊吉「本当なんだ。」

唄子「もうダメ。生きていけない、」

俊吉「ママ。」

茂「しっかりしろよ、ママ。」

そう言われて唄子は我に帰りました。後でわかりますが、俊吉も我に帰ります。

茂「なんだい、なんだい、二人とも。泣いたり喚いたりすれば、ひとみが助かるのかよ。どうしたらひとみが助けられるのか、冷静に対策を考えたら、どうなんだ!」

もうわかったでしょう。実はこの3話の物語は茂の物語でもあったのです。皆さん、どうしても南光太郎こと仮面ライダーBLACK RXがロボライダーになる話の方に注意が行ってしまうでしょうが、茂も白鳥玲子も佐原俊吉も佐原唄子もしっかり物語に関わっています。そして、この茂の成長譚がマリバロンの悪事失敗、いや、クライシス帝国崩壊のキッカケになってしまうのです。やはり江連卓さんの脚本は凄いですし、3話持ちで演出した蓑輪雅夫さんの演出は巧みです。それなりに大変だったことでしょう。もちろん、俳優の皆さんの力量もあってのものです。奇しくもあのイベントのテーマに通じることも後でしっかりわかります。私がこの場面を中心にしようと思った理由がわかるでしょう。

さて俊吉達は繰り言ばかり述べ、白鳥玲子は一番気になる、南光太郎不在をしっかり聞いた後で茂はこう言います。

茂「僕はひとみを助ける。助けてくる。」

そして出ていきます。茂を玲子が追いかけ、外でこんな会話をします。

玲子「無茶しちゃダメよ。君まで危険な目に遭ったら社長や唄子さん、それこそ生きちゃいられないわよ。」

ですが茂の決意は固いのです。

茂「わかっているけどさあ、ひとみは僕の妹だよ。そりゃいつもいじめて泣かせているけど、こんな時こそ兄貴として、ひとみを助けてやりたいんだ!」

玲子は茂の決意を聞いてこう言います。

玲子「茂君、男らしくてとっても素敵よ。でも敵はクライシス帝国なの。あたし達の力ではどうにもなんないのよー。光太郎さんがひとみちゃんを助けてくるのを待ちましょう。」

これは本音でしょう。ですが、それでも茂の決意は変わらずこう言います。

茂「でもさあ。何の連絡もないんだぜ。光太郎兄ちゃん、やられちゃったのかなあ。」

玲子「そんなことはないわよー。そりゃ、光太郎さんはドジなところもあるけど、どんな危険な目に遭ってもへこたれない人よ。必ずひとみちゃんを助けて戻ってくるわよ。」

そう。そうなるのです。白鳥玲子は南光太郎のダメな部分も含めて光太郎が好きだったのです。こういう話ってよくあるんじゃないですか。そして茂のこの決意は実は今後の伏線。なんと茂の力があって、事件は解決するのです。そんなこと、クライシス帝国のみなさんも視聴者も気づいてなかったでしょう。この3連続の話は茂の成長譚でもあったのです。と言うことは白鳥玲子や佐原夫妻の物語でもある訳ですが、それがわかるのはおそらくもっと先です。茂のこの夢は思いもかけぬ形で叶う訳ですが、それがこの3話連続(本当は前回も含めた4話連続話ですが)の大きな見どころなのです。出番は今のところ少ないですが。

おわりに

この記事では仮面ライダーBLACK RX 第15話「ロボライダー誕生」を観て思ったことについて書きました。肝心のロボライダーの誕生譚に触れられませんでしたが、物語のテーマは拾えたと思います。次は霞のジョーの登場や茂がどうやって夢を叶えたのかが中心になると思いますが、これはこれで難しいなあと思います。ですが奇しくもあのイベントのテーマとも繋がっています。夢見る力は大事なんですね。もっとも市川森一はそれを描きながら、夢破れてしまった人、私がある意味そうですが、そういう人もしっかり描いていましたっけ。でも大事なのは夢見て努力することなのです。