宇宙刑事シャリバン

はじめに

この記事では、1983年3月4日から1984年2月24日まで、テレビ朝日系列で毎週金曜19:30 - 20:00に全51話が放送された「宇宙刑事シャリバン」を取り上げます。

宇宙刑事シャリバン

この番組は「宇宙刑事ギャバン」の続編です。前作の主人公だったギャバン(大葉健二)が隊長に昇格し、地球を守るのは伊賀電ことシャリバン(渡洋史)の役割になりました。シャリバンをサポートするのがリリィ(降矢由美子)です。さて前作同様、伊賀電を演じる渡はJACのメンバーでした。なので前作同様、伊賀電も激しいアクションを見せていました。初期1クールではギャバン隊長が電に指令を出していましたが、中盤からは直接コム長官(西沢利明)が指令を出す場面が増えました。ギャバンやコム長官が登場する他、コム長官の秘書のマリーンやコム長官の娘のミミーも引き続き登場しています。また地球人でも大山小次郎(鈴木正幸)や星野月子も引き続き登場しています。小次郎は前作同様ルポライターをしており、これまた前作同様、事件に巻き込まれてはシャリバンの活躍で助かるという狂言回しの役割をはたしておりました。

シャリバンのコンバットスーツは真っ赤で、コンバットスーツを装着するときのコードネームは「赤射」となりました。

シャリバンの基地にもなる戦艦はグランドバースで巨大な敵と戦うためのバトルフォーメーションに変形する機能もありました。前作では下の部分が分離して変形していたのですが、グランドバースは戦艦全体が変形したのです。ただグランドバースのバトルフォーメーションは子供達には不評で「弁当売り」と揶揄されていました。最近はあまり駅弁をホームで立ち売りする人は見かけなくなりましたが、たしかにバトルフォーメーションの姿は「弁当売り」に見えてしまいます。なお、電子星獣ドルーとは違い、シャリバンはグランドバースを遠隔操縦していました。

シャリバンが乗るマシンもモトシャリアン(オートバイ)とシャリンガータンク(戦車)の2種類となり、前作よりも増えています。サイバリアンに立ち乗りして遠隔操縦していたギャバンと違ってシャリバンはモトシャリアンには普通に座って運転していました。

宇宙犯罪組織マドー

さてシャリバンと戦うのが宇宙犯罪組織マドーです。こちらも前作よりも強化されています。

まず首領は魔王サイコです。普段はアジトの幻夢城の玉座に座っています。この人は後述する理由で不死身を誇っていました。

初期の幹部は2名います。まず科学部門担当者がドクターポルダー(吉岡ひとみ)です。この人はあまり前線に出ることはなく「幻夢界発生マシン、作動!」と叫んでいる場面が定番でしたが、稀に変装して諜報活動をすることがありました。もう一人がガイラー将軍(栗原敏)です。この人は戦闘指揮担当でシャリバンが現れると「抹殺!」と叫ぶのが定番でした。

また他にミスアクマ1とミスアクマ2というスパイがいました。

さて話が前後しましたが、マクーが魔空空間を発生させたのと同様、マドーは幻夢界というホワイトホールを発動させていました。幻夢界では魔怪獣は4倍の力を発揮することが出来ます。

イガ星

さて中盤で伊賀電は奥伊賀島出身であることと、奥伊賀島の住民はかつて2000年前、超エネルギー結晶体のイガクリスタルを狙うマドーによって滅ぼされた銀河系第17星雲の惑星・イガ星からやってきたイガ星人の子孫であることが明かされました。イガクリスタルを巡る攻防が中盤からの縦糸となりました。これは「電子戦隊デンジマン」で描かれた設定をさらに発展させたものでしょう。伊賀電も当然イガ星人の末裔です。また奥伊賀島の住民(長老ジイ(花沢徳衛)とその孫のみゆき(柿崎燈子)らイガクリスタル親衛隊)の他、ベル・ヘレン(矢島由紀)など宇宙で活動していたイガ星人の末裔も登場しました。戦いを通して伊賀電はイガ星の再興を自分の使命と考えるようになって行きます。その電を教え導くものが聖なる者(声は渡部猛)でした。聖なる者の正体はイガ星の守護神だったことが終盤で明かされます。

軍師レイダー

さらには終盤の第34話で死霊界からレイダー(安藤三男)がやってきてマドーに加わります。このレイダーは初戦でシャリバンを圧倒し、電は一時は生死の境をさまよいます。コム長官がギャバンに、地球担当再任もあり得ると言ったほどです。安藤三男が演じる悪役は皆そうですが、レイダーは本当に恐かったです。

さてレイダーは最終盤でマドー乗っ取りを企み、魔王サイコに襲いかかります。そして一度はサイコを倒したと思われたのですが、ここで驚愕の設定が明かされ、敗れ去ったのでした。その設定とはなんでしょうか。

海坊主こと戦士サイコラー

実は魔王サイコには分身がいました。それが海坊主(山田一善)こと戦士サイコラーです。魔王サイコは戦士サイコラーと命を分け合っており、一度は敗れた魔王サイコもサイコラーからエネルギーを受けて復活してしまいました。またサイコラー自体も強力でレイダーの攻撃をことごとく跳ね返していました。そのため、レイダーは返り討ちにあってしまったのでした。海坊主は序盤から姿を見せており、伊賀電の挙動を監視していました。スキンヘッドに白い服装というのがその姿でした。

最終回

上原正三は全51話中41話を書いています。なお残りは高久進の8話が最多執筆です。最終回は4部作で演出は田中秀夫監督です。最終回の題名は「赤射・蒸着」で文字通り、シャリバンギャバンが初めて共闘します。今までの物語ではギャバンがコンバットスーツを着る場面はありませんでした。この番組はシャリバンの成長譚だったので、スタッフは最後の最後まで2名の共闘を温存したのでしょう。2名が共闘するのは魔王サイコと戦士サイコラーを同時に倒さなければならなかったからです。紆余曲折の末、イガクリスタルの支援もあり、シャリバンは魔王サイコを、ギャバンは戦士サイコラーを同時に倒すことに成功しました。イガクリスタルを守っていたみゆき達も救出されました。シャリバンはイガ星担当の宇宙刑事に任命され、みゆき達イガ星人の末裔とともにグランドバースでイガ星へと発進していきます。それを地球で見送りながら、リリィは、私も一緒にいきたかった、とつぶやくのでした。

adventar.org