秘密戦隊ゴレンジャー

はじめに

この記事では1975年4月5日から1977年3月26日まで、NET(現・テレビ朝日)系列で毎週土曜19:30 - 20:00に全84話が放送された「秘密戦隊ゴレンジャー」を取り上げましょう。

5人ライダー

この番組、当初は「仮面ライダーアマゾン」の後番組で平山亨が企画したのが発端です。ダブルライダーなど複数のライダーが登場する話は仮面ライダーシリーズでも話題になることが多く、盛り上がっておりました。平山亨は「仮面ライダーX」から視聴率が下がり気味だったことに危機感を覚え、「スパイ大作戦」も参考に5人の仮面ライダーがレギュラーとなる「5人ライダー」の企画を立てたのですが、毎日放送編成局映画部長の庄野至は、「ヒーローは1人であるべき」とし、これを却下してしまいました。そのため、「仮面ライダーアマゾン」の次の仮面ライダーシリーズは「仮面ライダーストロンガー」になったのです。「5人ライダー」の企画は一旦お蔵入りとなりました。

腸捻転解消

ところが、ここで事件が起きます。腸捻転解消です。毎日放送は当時はNET(今のテレビ朝日)とネットを組んでいました。毎日放送毎日新聞系列でNETは朝日新聞系列でした。これが問題視されたのか、毎日放送はTBSとネットを組み、NET(今のテレビ朝日)は朝日放送とネットを組むことになりました。これは放送局にとっては大事件で色々な番組が影響を受けています。仮面ライダーシリーズはTBSで放送されることになりましたが、仮面ライダーシリーズが当時放送されていた時間帯、TBSでは大橋巨泉司会の「お笑い頭の体操」が放送されていたため、仮面ライダーシリーズは土曜日の19時放送開始になってしまいました。なお毎日放送側はこの動きを予め察していたのか「仮面ライダーアマゾン」は初めから全24話の予定だったらしいです。

さてNET(テレビ朝日)から見れば人気番組だった仮面ライダーシリーズがなくなってしまったので困りました。以前も書きましたが相手の「お笑い頭の体操」は人気番組だったからです。そこでNET(テレビ朝日)は東映に相談。そこで急浮上したのが「5人ライダー」の企画です。さらに石ノ森章太郎も加わって企画が見直され、制作されたのが「秘密戦隊ゴレンジャー」だったわけです。この番組が2年間も放送され、「お笑い頭の体操」を終了に追い込んで「クイズダービー」が始まったり、仮面ライダーシリーズが一旦終了になるきっかけになったとは当時誰が予想できたでしょうか?

秘密戦隊ゴレンジャー

さてメインシナリオライターを務めたのは上原正三でした。以前も書きましたが全84話中51話を書いています。当時は「がんばれ!!ロボコン」も放送されていて、こちらもハイペースで書いていました。金曜日と土曜日に連続して上原正三が書いた話が放送されることが多かったに違いありません。真面目に調べる気にはなりませんが。元々、この枠で放送されていた「仮面ライダー」の企画に上原が参加したことを考えると何かの縁があったのかもしれません。

さて「がんばれ!!ロボコン」は「快獣ブースカ」を彷彿とさせるコメディーでしたが、その作風が「秘密戦隊ゴレンジャー」にも伝染してしまったのか、上原が書いた話は緩急自在の作風になっています。キレンジャーのカレー好きはよく知られていますが、彼はそれを誇張して書いて盛り上げています。であれだけ他の作品の脚本も書きながら、他の人が書いた話もチェックしていたのは以前書きましたが、当時を振り返って上原は、曽田博久には影響を受けた、と発言しております。野球仮面や牛靴仮面を書いたのが曽田博久です。上原も機関車仮面を書いています。沖縄の人はヤマトへの恨みを持つ人は多いですが、おおらかなテーゲーさも持っています。上原もその両方の性格を持っていたので緩急自在な作風はその発露なのかもしれません。ゴレンジャーの名物といえば、なぞなぞやカレーライスと大岩絡みの場面ばかり思い浮かびます。なお、実務は吉川進プロデューサーが担当しましたが、殺陣は「イナズマンF」も担当していた大野剣友会が担当し、途中からアクションがJACに変わりました。

で開始当時、「秘密戦隊ゴレンジャー」が2年間も続くとは思っていなかったでしょう。なので5人以外の江戸川総司令や007が出演していない時期もあります。007が途中登場していないのは撮影中に負傷したかららしいのですが、終盤登場しない理由は定かではありません。でキレンジャーも大岩大太を演じる畠山麦のスケジュールの関係で途中、だるま二郎が演じる熊野大五郎になっています。

「ひみつ戦隊ゴレンジャーごっこ

 さて「秘密戦隊ゴレンジャー」の原作漫画を石ノ森章太郎は書いています。初めは番組内容にそったものだったのですが、週刊少年サンデー連載分は途中から路線変更し、「ひみつ戦隊ゴレンジャーごっこ」という漫画になってしまいました。その内容は、本物のゴレンジャーに憧れた5人の少年少女が「ゴレンジャーごっこ」をするというギャグ満載の内容です。少年少女が戦うのは町内のイジワリさんばあ(胃痔割 産婆)率いるガキ十字軍だったり、ガキ十字軍を乗っ取ったお姉さんの渡スケ兵衛だったりします。モモも渡スケ兵衛もよくヌードになったりされたりしていました。でなぜかロボコンも登場します。ロボコンのゴキブリ大嫌いネタも炸裂しますが、詳細を書くのは諸事情により(要するに下ネタ)やめておきましょう。

この漫画のイメージが強かったので私は長い間、「秘密戦隊ゴレンジャー」の原作漫画ははじめから「ひみつ戦隊ゴレンジャーごっこ」と思い込んでいました。放送に沿った原作漫画があったと知ったのはつい最近です。石ノ森がなぜこのような作風に変えてしまったのかは定かではありませんが、番組の盛り上がりを見て悪ノリしたのかもしれませんね。

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