「秘密戦隊ゴレンジャー」第12話「銀色の超エネルギー! 焦熱地獄」

はじめに

この記事では第12話「銀色の超エネルギー! 焦熱地獄」を紹介します。脚本は高久進と新井光、監督は山田稔です。

事件発生

銀熱仮面(声:渡部猛)「太陽熱を2000倍に増幅した銀熱パワーの威力を見よ。」

出た。高久進お得意のハッタリ設定が。閑話休題。銀熱仮面は両目から赤い光線のような物を発射。イナズマンの予告に使われた曲が流れる中、炎が燃え上がります。これに黒十字総統も御満悦です。太陽エネルギーを蓄積させれば地球の破壊も可能だと銀熱仮面は豪語しました。

海城、銀熱仮面に遭遇

トロール中の海城は銀熱仮面と遭遇。早速応戦しました。海城は転換。川に場所を移して戦いますが

銀熱仮面「銀熱パワー。」

流石のアカも銀熱パワーにはかないませんでしたが、その時、銀熱仮面のそばで爆弾が炸裂。

モモ「今度は本当に当てるわよ。」

ミド「銀熱仮面!」

銀熱仮面は一時撤退しました。

アカ「恐るべき相手だ。一刻も早く銀熱仮面を見つけ出し、作戦を阻止しなければ東京は全滅する。」

銀熱仮面の根拠地

近くの山の中で

銀熱仮面「ワシの根拠地がここにあるとは御釈迦様でも気がつくまい。」

銀熱仮面はアジトの中へ入って行きました。

今回のなぞなぞ

その近くの川に007と太郎がピクニックに来ていました。

太郎「ねえねえ、お姉ちゃん。」

007「何?」

太郎「中に水を入れる船はあると思う?」

007「中に? 水は船の外にあるもんでしょ。」

答えは

太郎「それがあるんだな。湯船は中に水があるよーだ。」

太郎が銀熱仮面の人質に取られ、007苦悩す

その後、太郎は冷たい水を水筒に詰めに行きましたが、そこで見たものは

銀熱仮面「太陽熱の蓄積が終わった。これで銀熱パワーを1時間使う事ができる。」

太郎は逃げようとしましたが捕まってしまいました。007も捕まり、アジトへ連れ込まれました。そして銀熱仮面は007がイーグルの通信機を持っていることに気が付いてしまいました。

銀熱仮面「面白い。ゴレンジャーに連絡をしてみろ。情報を送るんだ。銀熱仮面の次の襲撃場所は203(にーまるさん)地区だとな。」

007「そんな偽情報、送れないわ。」

きっぱり断る007でしたが

銀熱仮面「よーし、送りたくなるようにしてやるぞ。それ。」

銀熱仮面はゾルダーに命じ、太郎を拷問しました。

太郎「助けて。恐いよ。」

銀熱仮面「穴の底は地下水でいっぱいだ。どうだ、情報を送る気になったか。さあ、送れ。」

躊躇する007でしたが、

太郎「助けてえ。恐いよ。」

と連呼する太郎の声を聞きまくり、

銀熱仮面「さあ、どうするんだ。あと1メートルで水の中だ。もっとおろそうか?」

太郎「助けてえ。恐いよ。」

ついに

007「わかったわ。」

アオ、負傷

007からの情報を受けた海城はアオとキを203地区に差し向けましたが

銀熱仮面「は、は、は。罠に引っかかったな。」

アオは吊り橋に宙づりにされ、さらに、そこから谷底へ落とされてしまいました。

海城、007を叱責す

ゴレンジャールームに007が戻ってきました。海城は007に背を向けたまま、こう言いました。

海城「アオレンジャーが不意打ちを食らって怪我をした。」

007「え! 新命さんが?」

海城「うん。」

ここで海城は座ったまま振り返り、こう言いました。

海城「ところで、君の情報はどこで手に入れた?」

007は答えられません。

海城「どうしたんだ?」

007は何も言えません。

海城「いや、新命達がなぜ待ち伏せされたか、それが知りたいんだよ。」

007「すいません。」

驚く海城。

海城「まさか。」

007「偽情報だったんです。」

007は銀熱仮面から渡された(らしい)、黒十字軍のマーク入りのトランシーバーを海城に渡しました。海城は黙ってそれを見たあと007に背を向け

海城「これからも君はゴレンジャーの情報を銀熱仮面に通報するつもりだったのか?」

007「いいえ。でも、あの時はああするより他に方法がなかったんです。」

これを聞いた海城は立ち上がり、黒十字軍のトランシーバーを投げ捨ててこう言いました。

海城「甘ったれるんじゃない!」

海城は怒りを露わにしていました。

海城「君はイーグルの一員じゃなかったのか。弟を思う気持ちはわからんでもない。だが、それがゴレンジャーを裏切っていい理由にはならん!」

007は何も言えません。そこへペギーが入ってきました。海城は入れ替わりに出て行きました。ペギーは007に事情を尋ねました。

俺の兄貴も殺された…

CMあけて、イナズマンの予告で使われた曲が流れまくる中、銀熱パワーの被害の様子が映し出されました。東京の中心も火の海になっていました。イナズマンでも使われまくった映像が流れてますぞ。東映は流用が得意です。閑話休題。スナックゴンにて。

マスター「銀熱仮面の作戦は街の中まで及んできた。」

他にいるのは明日香、海城、大岩の3名。4人はテレビを見ていました。すぐ出動しようという明日香でしたが、海城は無言です。そこへ007とペギーが秘密通路から入ってきました。すぐ出動しようという大岩の言葉を無視し、ペギーは恐い顔で海城を詰問しました。

ペギー「幾ら何でも言い過ぎよ。太郎ちゃんが殺されてもいいの?」

海城は無言で立ち上がり、外へ出ようとしました。

ペギー「海城さん。」

海城は背を向けたまま、こう言いました。

海城「俺の兄貴も殺された。黒十字軍にな。」

007の顔が真っ青になりました。そして海城は出て行きました。一同、何も言えません。マスターは苦い顔。007は追い詰められました。

007、単独で出動するが…

海城の言葉に返す言葉がなかった007は置手紙を残して単独で出動。銀熱仮面のアジトに潜入します。手に持つのは時限爆弾。

007「ごめんね、太郎。お姉ちゃんはゴレンジャーに偽情報を流した償いにどうしても銀熱仮面を倒さなければならないの。」

その007の肩を後ろから叩いた者がいました。驚く007が見たのは

海城「単独行動をとっちゃ行かん。ここは俺に任せろ。」

海城はただのパワハラ野郎ではなかったのです。海城はゾルダーをなぎ倒し、太郎の救出にも成功…と思ったら、太郎がいると思った檻には誰もいませんでした。

海城「銀熱仮面は君の手に負えるような奴ではない。」

007はアジトの外に出ました。そこで見たのは

銀熱仮面「あの娘は裏切った。だがそれも計算済みだ。ゴレンジャーは必ずやってくる。一挙に邪魔者を片付けるんだ。」

時限爆弾のスイッチを入れ、特攻する007でしたが、銀熱仮面に振りほどかれてしまいました。

海城「馬鹿な真似をするんじゃない。」

ゾルダーと応戦する海城。さて時限爆弾はどうなったんでしょうねえ。

ゴレンジャー集合

海城は転換。ミドも到着しました。

銀熱仮面「かかれ。」

モモとキも駆けつけました。

アカ「逃がさんぞ。」

銀熱仮面「銀熱パワー」

アカ達4人はひとたまりもありません。この隙に銀熱仮面は逃げました。

アカ「いないぞ。」

ちょうどその頃、バリブルーンが発進していました。

アオ「バリブルーン、出動、ゴー。」

名乗り

銀熱仮面は太郎を人質にとり、吊り橋の上で高笑い。そこへアオが登場。太郎を救出し、007に引き渡しました。そしてレッドマシン、キが運転するブルーマシン、グリーンマシンに乗る一同の前にアオが登場。

キ「アオ、どうしたんじゃい。」

アオ「勝手に退院させてもらったんだ。」

さりげなく無茶苦茶なセリフを吐くアオ。そこへ銀熱仮面の銀熱パワー炸裂。

銀熱仮面「ムハハ、やったぞ。」

ところが

銀熱仮面「ん!」

銀熱仮面が周りをぐるりと見渡すとアカ、アオ、ミド、キ、モモの順にゴレンジャーの姿が映ります。

 

銀熱仮面「んー! 貴様達は。」

 

アカレンジャーアカレンジャー

アオレンジャーアオレンジャー

ミドレンジャーミドレンジャー

キレンジャーキレンジャー

モモレンジャーモモレンジャー

 

そして一人ずつジャンプします。

アカレンジャー「トイヤー」

アオレンジャー「トイヤー」

ミドレンジャー「トイヤー」

キレンジャー「トイヤー」

モモレンジャー「トイヤー」

 

全員着地。左から順にモモ、ミド、キ、アオ、アカの順に並び

アカレンジャー「5人揃って」

全員「ゴレンジャー」

かかる曲はエンディングです。

ゴレンジャーストーム

しばらく戦った後、

アカ「ゴレンジャーストームだ。」

モモ「OK!」

アカ「行くぞ。」

全員「ゴー!」

散る4人。桃色のボールを置きながら

モモ「ゴレンジャーストーム。いいわね、行くわよ。キー。」

キ「任せんしゃい。アオ。」

アオ「オーライ! ミド。」

ミド「OK! アカ。」

アカ「トイヤー。フィニッシュ。」

こうして銀熱仮面は倒されました。

戦い終わって

ゴレンジャールームで007はイーグルの通信機を返上しようとしましたが、海城ははめてやりました。

海城「偽情報を流した陽子ちゃんは自爆した。これからは生まれ変わった陽子ちゃんにつけてもらう。」

あのー、その役目は総司令が担うのではないかと思うのですが、それはさておいて大岩達一同は拍手。ですが新命の姿はありません。

総司令「007。新命の見舞に行ってこい。」

007は「はい」と答えるのでした。

おわりに

今回も新命明は登場せず、アオレンジャーのみ登場します。この脚本はそれを逆手に取り、アオを早々と負傷させ、出番を必要最低限に抑えています。ゴレンジャーストームを蹴る順番も前回と同じで、アフレコも必要最小限になるようになっています。

 

そして今回の主役はゴレンジャーの面々ではなく、実質的には007です。弟を人質に取られた007の気持ちは如何なものだったのか。それに兄を第1話で殺された海城が絡みます。高久進と新井光は上原正三が作った設定を把握していたのですね。

 

しかし、それは上原正三も同じです。上原正三が書いた第27話はやはり太郎が人質に取られて007が主役になる話ですが、まるでこの話の答えとなるような話となっています。こんな風にお互いに切磋琢磨して作っていったのでゴレンジャーは面白くなったのでしょう。