イナズマンF 第14話「大空中戦!! 合体ウデスパー戦略部隊」を観た

今回はイナズマンF 第14話「大空中戦!! 合体ウデスパー戦略部隊」(脚本:上原正三、監督:前川洋之、擬斗:高橋一俊 (C) 東映東映エージェンシー)を紹介しましょう。前回は敵の内部抗争が描かれた感じの話でしたが、今回はヒーロー側のドラマが中心になっています。

冒頭は合体ウデスパーの実戦テスト。前回、いきなり前線に投入して失敗したからでしょう。テストの結果は良好で、その様子をガイゼル総統とサデスパー(声:岩名雅記)がモニターテレビで観てました。なんかウデスパー兄弟が「挑戦者」に堕してしまった感じがしますが、一応、サデスパーと同等の地位にはいるようです。

ところ変わって、ここは上原村。狙って名付けたかどうかまでは知りません。農家で高田幸治(西川和孝)が寝て苦しむのを小野良江(戸島一実)が診察していました。看護師のようです。幸治の兄の幸一(佐瀬陽一)が心配そうに見守っていますが、診断の結果は傷による破傷風。怪我した後、三日間放置してしまったため、悪化したようです。血清が必要ですが、村の診療所にはないとのこと。さあ困りました。町は山を越えないと行けないので往復するだけで夜になってしまいます。ですが

高田幸一「よし、俺がハムで連絡してみる。」

幸一はアマチュア無線の免許を持っていたのでした。そして発信。

高田幸一「どなたか応答願います。こちらJS10。上原村の高田幸一です。」

この無線に応答したのがなんと荒井誠。インターポールと通信しようとしていたのですが電波の状態が悪く偶然受信してしまったのです。

高田幸一「弟が破傷風で死にそうなんです。至急、血清が欲しいんです。お願いします。誰か応答願います。」

荒井誠は渡五郎と目配せし

荒井誠「こちらJGWO721。幸一君と言ったねえ。」

幸一と良江は大喜び。

高田幸一「幸治が、僕の弟が。」
荒井誠「幸一君、もっと詳しい事を。」
高田幸一「はい。」
小野良江「あたし、上原村診療所の小野と申します。破傷風の患者がいます。至急、破傷風血清の手配をお願いします。かなり悪化したので1分でも早く欲しいんです。」
荒井誠「了解。直ちに手配します。」

と言うわけで良江と幸一は一安心。荒井誠の連絡を受けて自衛隊のセスナ機(ジェット機ではないそうです!)が上原村へ血清を届けるべく飛んだのですが、デスパー軍団のミサイルに撃ち落とされてしまいました。なぜそんな事をするかといえば

合体ウデスパー「上原村へ向かう飛行機や車は全部狙え。そのうち必ずイナズマンが出てくる。その時が勝負だ。」

あの通信は傍受されていたのです。と言うわけでまた荒井誠と幸一が交信します。

荒井誠「幸一君、応答せよ。」
高田幸一「はい、幸一です。」

苦しむ幸治。

小野良江「もうすぐ血清が来る。頑張るのよ。」

交信が続きます。

荒井誠「血清を運ぶセスナ機が撃墜されてしまった。」
高田幸一「え、そんな。じゃあ、血清は来ないんですか。」
荒井誠「残念だ。だが望みを捨てては行けない。必ず次の方法を考える。」
高田幸一「そんな時間はありません。幸治は死にそうなんです。お願いします。何とか速く。」

それを聞き、渡五郎がこう言いました。

渡五郎「イナズマンが血清を届けよう。」

この言葉を聞き

高田幸一「え! イナズマン、本当ですか?」
渡五郎「本当だ。イナズマンは必ず約束を守る。だから幸治君にも頑張るように言うんだ。わかったね。」

もうお分かりでしょう。これが今回のテーマです。

高田幸一「はい。必ず来てくださいよ。イナズマン。」
渡五郎「必ずだ。」

そして幸一は告げます。

高田幸一「幸治、イナズマンが来てくれるんだよ。イナズマンだよ。」

その声を聞き、幸治は一瞬、目を覚ましましたが、また目を瞑ってしまいました。

高田幸一「本当だよ。約束したんだ。」
小野良江「よかったわね。」

幸治は呟きます。

高田幸治「イナズマン。」

そしてイナズマンライジンゴーが空を飛び、荒井誠は地上をジープで走っていました。イナズマンの荒井誠も血清を載せています。デスパー軍団の攻撃を避けるための作戦です。

合体ウデスパー「ミサイル攻撃開始。さあ、勝負の時が来たぞ。」

ライジンゴーを襲うミサイル。さらには戦闘機まで出撃しました。なお合体ウデスパーも戦闘機に乗っていますが、あの両腕でどうやって操縦しているのかは不明です。と言うわけで空中戦が繰り広げられた後、地上に移ってイナズマンと合体ウデスパーは戦闘開始。ロケ地は城山ダムのような気がします。しかし流石に合体ウデスパーは強く、イナズマンは次第に劣勢になって行きます。

高田幸治の声「イナズマーン、イナズマーン、イナズマーン。」

敗けるわけには行きません。荒井誠が地上を走っている筈ですが。

イナズマン「幸治君。」

ここでCMが入り、CMが明けると思わぬ加勢が入ります。合体ウデスパーが銃撃されたのです。

合体ウデスパー「誰だ?」

現れたのはショットガンを抱えた荒井誠。血清を運んでいたのではないのかなあ、と言うのは置いといて、合体ウデスパーは撤退しました。

荒井誠「イナズマン。」
イナズマン「荒井さん、助かりました。」

合流してしまったので二面作戦はできなくなったのでしょう。

ここでうわ言を言う幸治と、「来ねえなあ」と外でぼやく幸一などが映った後、荒井誠が渡五郎を乗せてジープを走らせます。ところがデスパー兵士の銃撃を受けてジープは谷底へ転落。移動手段がなくなりました。ゼーバーテレポーテーション…いえ、なんでもございません。先を続けましょう。荒井誠は五郎の手当てを受けていました。とその時、合体ウデスパー軍団が荒井誠と五郎を銃撃。合体ウデスパー軍団の横に映る橋はジープを一人で運転する荒井誠が一番最初に渡った橋のような気がしますが、気にしないで先を続けましょう。山の中を逃げる渡五郎と荒井誠。木の陰に隠れていると

合体ウデスパー「正面の山はデスパーのミサイル基地だ。どう逃げても奴らは袋の鼠よ。」

合体ウデスパー達は立ち去りましたが、手は無さそうです。やはりゼーバーテレポーテーション…いえ、なんでもございません。先を続けましょう。とその時、目に飛び込んできたのはデスパー兵士が乗るオートバイ部隊。

渡五郎「あれだ。オートバイで山を越えます。」

当然、荒井誠は「死ぬ気か。」と反対しますが

渡五郎「約束を守りたいんです、イナズマンを待っている少年との。」

荒井には返す言葉がありませんでした。

と言うわけで作戦は決行されました。渡五郎を見つけて止まったオートバイ(デスパー兵士が被っているヘルメットはファントム軍団のものを銀色に塗り直したもののような気がしますが違うような気もします)に乗っていたデスパー兵士を倒してオートバイを奪ってそのまま走行。当然、他のデスパー兵士も追跡しますが、山道を何とか走って、合体ウデスパー軍団の銃弾もジャンプして軍団ごと飛び越えて回避しました。しかし

合体ウデスパー「バカな奴め。戦闘機出撃。」

なんと戦闘機が出撃。五郎は戦闘機の銃撃も回避します。

そしてまた映る、幸治が苦しむ姿。

必死にオートバイで走る渡五郎。上り坂もなんとか越えた後

高田幸一「イナズマーン。早く来てくれえ。」

この幸一の叫びが聞こえたのか

渡五郎「上原村だ。」

その途端に現れる合体ウデスパー軍団。

合体ウデスパー「この峠を一歩でも越えてみろ。デスパーの基地のミサイルが上原村を攻撃する手筈になっているのだ。」
渡五郎「少年が死にかかっているんだ。血清を届けたらここへ戻ってくる。行かしてくれ。」
合体ウデスパー「これが答えだ。」

合体ウデスパーは左腕の蛇腹状の触手みたいなもので渡五郎を殴ろうとしましたが、五郎はなんとか回避。しかし合体ウデスパー軍団の攻撃は続きます。その隙を何とか突いて

渡五郎「剛力! 将来!」

サナギマンに変転。即座に

サナギマン「超力! 将来!」

展開早すぎますが、目を瞑りましょう。デスパー兵士は倒され、すぐに合体ウデスパーとのタイマン勝負。しかしやはり強すぎます。

合体ウデスパー「どうだ、イナズマン。ここが貴様の墓場だ。」

そしてまた映る、幸治の姿。幸治は夢の中でイナズマンと遊んでいました。しかし、倒れてしまいました。死んでしまったのでしょうか。良江も幸一も涙を流します。

その頃、イナズマンは何とか合体ウデスパーの攻撃を避け

イナズマン「ゴーライジンゴー!」

なんか飛び道具使うのは卑怯な気がしますが、先を急ぎましょう。サイクロンアタックみたいなものでしょうか? さてイナズマンライジンゴーのミサイルで合体ウデスパーを攻撃。そして気がつきました。

イナズマン「合体ウデスパーは目を庇う癖がある。弱点は目だ。」

と言うわけでイナズマンライジンゴーから飛び降りて目潰し攻撃。これは効き

合体ウデスパー「貴様、よくも俺の目を。殺してやる。」

合体ウデスパーの攻撃を交わした後は間髪入れずに今度は

イナズマン「ゼーバーシュート」

ゼーバーイナズマンフラッシュで使うイナズマ状の突起を立てた状態で投げつけると合体ウデスパーの眉間に命中。合体ウデスパーは更に弱体化しました。イナズマンのキックに反撃することもできません。イナズマンはゼーバーを引き抜き

イナズマン「ゼーバーイナズマンフラッシュ!」

これが合体ウデスパーの最期でした。

イナズマンライジンゴーで飛び、ミサイル基地も破壊。そして幸一の家に着いたのですが待っていたのは

高田幸一「幸治は死にました。」

号泣する小野良江。ガーン! 思わず腰を落としてしまったイナズマンでしたが

イナズマン「まだ望みはある。看護婦さん、これ(血清)を速く。」

え? 死んだんじゃなかったの。でも血清は注射されました。

その後、イナズマンは幸治の死体を抱え、

イナズマン「幸治君。」

木の根元におろし、

イナズマン「ゼーバーイナズマンエネルギー」

抱えた時はイナズマ状の突起を立てていた筈ですが、アップになったのは黄色いレンズ。無視して次に進みましょう。黄色いレンズの力で超能力が増幅されました。さて幸治は夢見ていました。え? 無視して先に進みましょう。スモークが下に漂う中、幸治を追いかけるイナズマン

イナズマン「幸治君、戻るんだ。」

夢の中で幸治は立ち止まり、振り返り、

高田幸治「イナズマーン、助けてえ。イナズマン。」

手を伸ばす幸治に手を差し出すイナズマン

イナズマン「さ、もう少しだ。」

手が繋がると同時に、今度は現実の世界での幸治とイナズマンが映り

イナズマン「幸治君。」

すると幸治は目を覚ましました。

イナズマン「幸治君。よく頑張ったぞ。」
高田幸治「イナズマン。」

抱き合う二人。

そして夕日が沈む中、肩に幸治を抱えるイナズマン

高田幸一「イナズマン、ありがとう。」
小野良江「イナズマンは奇跡を起こすこともできるんですね。」

しかしイナズマンの答えは

イナズマン「いや、そうじゃない。幸治君はひたすら生きたいと願い、イナズマンが来るのを信じた。そうした幸治君の強い心が奇跡を呼んだんです。」

良江と幸一は頷きました。そういえば荒井誠はどうなったのかはわかりませんが、こうしてイナズマンが高田幸一と交わした約束は守られたのでした。

さて次回からはいよいよ予算が枯渇したのか「再生」やら「2号」やらと着ぐるみの流用が目立つ話に突入します。人間ドラマ中心に舵を切り、加藤貢プロデューサーを筆頭とするスタッフの暴走もあり『イナズマンF』が後にカルトな人気を誇るきっかけとなった話が続出しますが、私は予算軽減のための苦肉の策もあったのだろうと思います。

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