イナズマンF 第22話「邪魔者は殺(け)せ ガイゼルの至上命令」を観た

今回はイナズマンF 第22話「邪魔者は殺(け)せ ガイゼルの至上命令」(脚本:塚田正煕、監督:山田稔、擬斗:高橋一俊 (C) 東映東映エージェンシー)を紹介しましょう。先に書いてしまいますが白鳥ジュン(牧れい)の物語といっても過言ではございません。白鳥ジュンの本音がどうなのかが見どころです。以前も書きましたが、二見書房が出した『仮面ライダー大研究』のP210で

たとえば『イナズマンF』の法則(ゲスト女優はメロ芝居担当で、最後は必ず殺されて、例のBGMが流れて…)を適用するなら、

と赤星政尚さんが暴走気味に書いているのを体現した話です。終盤のイメージが強く残ってしまったのでしょう、私の兄貴や姐御の皆さんは。私は前半のイメージが強く残ってますし、同世代の人は『イナズマンF』と言えばガイゼル総統とかウデスパーとか合体ウデスパーの名前を挙げがちです、レーザーラモンRGではありませんが。この話は名作であること間違いなしですが、私は幼過ぎて理解できなかったのでしょう。まあ大人になった今は内容が理解できますが。

さて冒頭はインターポールの捜査官(中屋敷哲也)がデスパーシティC入口の前で張り込んでいる場面です。

捜査官「あれがデスパーシティーの入口か。」

と言うわけで別のトンネルを潜って外に出て、荒井誠に通信を始めようとしたところ、電波が届かないのかできません。そうこうしているうちに男に狙撃されてしまいました。その後はガイゼル総統のアップ。

ガイゼル総統「邪魔者は殺(け)せ。我がデスパー軍団に楯突く者ども。そして渡五郎、イナズマン。」

さて先ほどの捜査官の死体は別の場所で発見されました。渡五郎と荒井誠が死体が発見されたところへ行ってしばらく経つと、第三埠頭でまた死体が発見されたとの知らせが入ります。行ってみるとやはりインターポールの捜査官の死体。

荒井誠「最近、デスパー軍団の秘密行動をとるインターポールの捜査官三人を日本に送りこんだという連絡が入った。そのうちの二人が死体になってしまった。」
渡五郎「あと一人は?」
荒井誠「一切わかっていない。何かの確証を掴んだ時、初めて私のところに連絡が来ることになっている。それまでに私と接触を持つとデスパーに気づかれてしまうという配慮からだろう。それが既に奴らに知られていた。」

さて荒井誠はそう言いながら、死体の襟についたインターポールのマークのバッジをいじっていましたが紙のようなものを発見。

荒井誠「これは我々の使う乱数表だ。何か手がかりを掴みかけていたのかもしれない。五郎君。急いで解読する必要がある。」

と言うわけで引き揚げようとする渡五郎と荒井誠。五郎を男がビルの屋上からライフルで狙撃しようと狙いますが、荒井誠がそれに気づき、狙撃は失敗。逃げる男は逆に渡五郎と荒井誠に追いかけられました。ところが逃げる男はさらに別の人物に射殺されました。五郎と荒井が射殺された男がデスパーの05だと確認している最中、バイオリンケースを持った若い女性(牧れい)が歩いて来ました。五郎、そして荒井は女に気づいてじっと睨みますが、女はしばらく五郎と荒井を睨んだ後、立ち去ってしまいました。ちなみに女は上下ともジージャンとジーパンを着た姿でした。

この様子をガイゼル総統もモニターテレビでご覧になっていました。

ガイゼル総統「あの女は何者だ?」
ブラックデスパー(声:清川元夢)「あの女は白鳥ジュン。私の妹。死んだ05は私の弟です。」
サデスパー「なぜ兄を殺させた。」
ブラックデスパー「05が渡五郎に捉えられた時、あの男の口から我々の作戦が漏れるのを恐れたのです。」
ガイゼル総統「あと一人のインターポールはわかったか?」

ところが場面が変わってしまいました。荒井誠が乱数表を解いて判明した場所へ渡五郎と荒井誠は行ったのです。そこはバーでした。中で白鳥ジュンがギターを弾きながら歌を歌っています。この歌は塚田正煕監督の自作だそうです。この話を書いた時点で力込めていた事がわかるでしょう。ウエイトレスの他にいるのは、白鳥ジュンのそばに座っている男(渡辺修)のみ。メキシコを意識した感じの服装をしています。五郎も荒井も二人に気がつきましたが、白鳥ジュンの映る時間が長い、長い。

渡五郎の心の声「あの女がどうしてここに?」

さて男が荒井に声をかけました。白鳥ジュンもそれに気がついたようです。

男「インターポール荒井調査官。」

五郎もその声に気がつきました。

荒井誠「君は誰だ? どうして私のことを知っている?」
男「私がインターポールの人間だとしたら?」
荒井誠「そこは?」

ここで何故か白鳥ジュンの顔がアップになりました。何故でしょうね。渡五郎と荒井誠が男をジッと観た後

男「表で話しましょう。ここではゆっくり話せない。」

と言うわけで男は外へ出ました。

渡五郎「荒井さん。」
荒井誠「わかっている。何かのきっかけが掴めるかもしれん。」

また白鳥ジュンが歌う様子が映されます。

さて外ではまず荒井誠が外へ出ました。

荒井誠「君の名前は?」
コルト・カシーラ「コルト・カシーラ。」
荒井誠「何かデスパーの確証を掴んだのか。」
コルト・カシーラ「いいえ、まだ何も。」

明らかに怪しい言葉。

荒井誠「では君はなぜ私に話しかけてきた。」

コルト・カシーラは吸っていた葉巻を投げ捨て、歩き出しました。それを追いかける荒井誠。さらにその後を追いかける渡五郎。コルト・カシーラは貨物駅へ荒井誠を誘い出しました。晴海で撮影されたのかもしれません。

荒井誠「君はインターポールではない。」

渡五郎も合流。

荒井誠「インターポールの調査官は不用意に私に話しかけたりはしない。貴様は一体何者だ? デスパーか?」

コルト・カシーラは不敵に笑い

コルト・カシーラ「バレたら仕方がない。もう一匹の犬めはまだ見つからぬが今はチャンス。渡五郎、荒井誠。ここで死んでもらうぞ。」

当然身構える荒井誠と渡五郎。コルト・カシーラはブラックデスパーの正体を現しました。

ブラックデスパー「黒金の殺し屋、このブラックデスパーが貴様達を倒す。」

と言うわけで襲いかかるブラックデスパー。デスパー兵士も現れて戦闘開始。なんか愚策のような気がしますが、とりあえず戦闘は続き

渡五郎「剛力!」

とポーズをとった瞬間に銃声が。ブラックデスパーが拳銃で撃ったものです。

ブラックデスパー「今度こそ仕留めてやる。」

と狙った瞬間、別の銃声がしてブラックデスパーは銃を落としてしまいました。荒井誠か?

ブラックデスパー「誰だ?」

なんと撃ったのは貨車の陰に隠れていた別人。その人物が姿を隠すのと入れ替わりに荒井誠が姿を現しました。どう言うことなのでしょうか? 荒井誠も誰かがいたことには気がついたようですが、ブラックデスパーのところに急行。二対一、いや、三対一の戦闘は不利と見たのか

ブラックデスパー「くっそう、邪魔が入った。貴様達、今度こそ仕留めてやるぞう。」

と捨て台詞を残して逃げてしまいました。

荒井誠「五郎君。」
渡五郎「さっきの銃声は?」
荒井誠「またあの女だ。」

そう。撃ったのは白鳥ジュンだったのです。それを荒井誠は察知していました。

渡五郎「敵か味方か。」

と疑問に思ったところでCM挿入。

CMが明けるとガイゼル総統の御前。サデスパーが鞭でブラックデスパーをひたすら叩いていました。ガイゼル総統は無言でチェスのコマをいじっています。どうやらブラックデスパーが逃げ帰ったことがお気に召さなかったようです。なお今まで書きませんでしたが、サデスパーのサはサディストのサ。鞭を使うのも頭がトゲトゲなのも、胸が開閉式で内側にトゲがついているのも全てサディストに因んだデザインです。そんなの子供の頃は当然、知りませんでした。

サデスパー「ガイゼル総統、こやつの始末は?」

ガイゼル総統は無言でチェスのコマの底を上に向けました。サデスパーは一礼し、胸を開いてトゲトゲを出しました。この武器のモチーフは中世のヨーロッパで拷問に使った鉄の処女。スタッフの皆さん、暴走し過ぎ。子供の頃は当然知りません。

サデスパー「貴様を殺してやる。」

ブラックデスパーは処刑されてしまうのか? とその時、怪しい服を着た三人組が入ってきました。真ん中にいるのは白鳥ジュンで残る二人は男ですが、変なアイマスクをしています。ちなみに白鳥ジュンは「ハンター02」と言うコードネームで残りは03と04です。と言うことはブラックデスパーが01に当たるのでしょうかねえ。

サデスパー「ブラックデスパーは攻撃に失敗した。ガイゼル総統は失敗を許さぬお方だ。」
白鳥ジュン「お言葉ですが、サデスパー参謀。ハンターはここにまだ三名います。ブラックデスパーは私どもの指揮官。万が一、あたし達三名が失敗した時、処刑なさるべきだと思います。」

それを聞き

ガイゼル総統「サデスパー。後は任せる。」

立ち去りました。

一方、荒井誠は白鳥ジュンの素性を調べていましたが、不明のままでした。

渡五郎「日本に来たもう一人のインターポールは?」
荒井誠「いくら緊急事態だと説明しても本部では機密事項だから教えられないと言うんだ。」

とその時、通信が。誰からかと言うとなんと

白鳥ジュン「荒井さんですね。インターポール008。至急連絡したいことがあり。明日正午。五号埋立地貯木場に来てください。」

なんと。しかし通信はそれだけ。一方的にそう言っただけで切れてしまいました。

渡五郎「荒井さん、罠では?」
荒井誠「しかし、ここと連絡を取れるのはインターポールだけだ。」

と言うわけで翌日の正午。また先ほどの歌を白鳥ジュンが歌っています。ロケ地は今のお台場の辺り。昔は貯木場がありました。コルト・カシーラがやってきて、ジュンに聞きました。

コルト・カシーラ「俺の邪魔をしたのはお前だな? 何故俺の邪魔をした? 兄弟を殺したばかりか兄貴の俺までも。お前は俺の妹だ。そしてハンター02のはずだ。返事をしろ。」

白鳥ジュンはこう明言しました。

白鳥ジュン「あの時、渡五郎がイナズマンになっていたら兄さんは敗けていたわ。射撃の名手コルト・カシーラ。すなわちブラックデスパーに一度の失敗もさせたくなかったから。」

さてコルト・カシーラは不服そうにこう言います。

コルト・カシーラ「なんだと? なぜ俺がイナズマンに敗けると決めてかかる?」

それに対する答えは

白鳥ジュン「あたしがいたから。」
コルト・カシーラ「何? それは一体どういう意味だ?」
白鳥ジュン「あたしは兄さん達が探していた、あと一人のインターポール。デスパーの秘密調査官。」

驚くコルト・カシーラ。

コルト・カシーラ「貴様。」

しかし白鳥ジュンは即座に拳銃を突きつけていました。

コルト・カシーラ「ジュン、お前、この俺までも撃つ気か。」

ジュンの答えは

白鳥ジュン「やめなさいよ、兄さん。射撃の腕は私の方が上。それは兄さんもよく知っているはずでしょう。」

この屈辱的な言葉に対して

コルト・カシーラ「貴様。よくも俺を裏切ったな。」

ところが

白鳥ジュン「裏切りはしないわ。」

どう言うこと?

白鳥ジュン「たった今から、デスパーの連絡員ハンター02。」

なんとジュンの撃った弾はコルト・カシーラの奥に潜んでいた荒井誠に当たりました。

渡五郎「荒井さん。」

荒井を心配して五郎も出てきました。

白鳥ジュン「荒井調査官。全て聞いた通りよ。今までの私はインターポールの白鳥ジュン。たった今から、デスパーのハンター02。これ(襟につけていたインターポールのバッジ)は返すわ。」

ジュンはインターポールのバッジを投げ、それを渡五郎が受け取り、荒井誠がそれを撮りました。その瞬間、白鳥ジュンは発砲。弾は外れましたが

白鳥ジュン「今度は二人の心臓を撃つわ。」

それを聞き、我慢できなくなった渡五郎は近づいてこう尋ねました。

渡五郎「待て。名誉あるインターポールの調査官がデスパーに魂を売ったのか。」
白鳥ジュン「そうよ。元々私は悪魔が好きな女よ。」
渡五郎「それがなぜインターポールに入った?」
白鳥ジュン「私はヒビヤ・カンデの娘。父や母を殺したデスパーが憎かった。それに悪は滅びると信じているからよ。あたしの兄はデスパーに改造された。でもあたしにはとても優しく育ててくれた。一度くらい、いい妹になりたかった。だから、インターポールを裏切ったのよ。」

どれが本音なのかがよくわからない言葉。どれも本音なのでしょう。いい終わると白鳥ジュンはそれまで渡五郎に向けていた銃口を下げて発砲。

渡五郎「君の言う通りだ。悪は滅びる。」
白鳥ジュン「余計な言葉はよして、渡五郎。死んでもらうわ。」

しかし渡五郎が白鳥ジュンの右腕を押さえたためにそうはならず、渡五郎と白鳥ジュンは格闘を始めてしまいました。コルト・カシーラは渡五郎を狙いますが、狙いが定まりません。最終的にコルト・カシーラは発砲しましたが

コルト・カシーラ「ジュン!」

なんと弾はジュンに当たってしまいました。荒井誠が撃ったショットガンがコルト・カシーラの持つ拳銃に当たり、怒ったコルト・カシーラはブラックデスパーに変身。と言うわけで

渡五郎「剛力! 将来!」

サナギマンに変転。お台場でしばらく戦った後

サナギマン「超力! 将来!」

今度は貯木場で戦います。最終的には

イナズマン「念力キーック!」

イナズマン「ぜーバーイナズマーンフラッシュ!」

で倒されました。

ガイゼル総統「イナズマン! 今に見ていろ。」

さて白鳥ジュンの死体をお姫様抱っこする荒井誠に渡五郎が駆け寄りました。そして白鳥ジュンの墓(ロケ地は多分府中)の前で

荒井誠「五郎君。彼女が投げてよこしたバッジの中に暗号文が仕込んであった。」

その内容は

荒井誠「デスパーシティーの入口がわかるかもしれない。」
渡五郎「なんですって! 白鳥ジュンはインターポールを裏切りはしなかったんですね。」
荒井誠「インターポールのマークは伊達にはつけられないよ。名誉あるものなのだ。育ててくれた兄にも操を立てて死んでいった、気の毒な娘だった。」

さて次回は最終回。デスパーシティーへ突入です…が最終回の制作をめぐっては裏でもドラマがあったようです。舞台裏の話は私は極一部しか知りませんが、加藤貢プロデューサー、塚田正煕監督、助監督の長石多可男さん、脚本を書いた上原正三さん、そして主役を演じた伴大介さんなどの暴走に待ったがかかってしまう事態となったそうです。

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