イナズマンF 第15話「大洪水作戦!!」を観た

今回はイナズマンF 第15話「大洪水作戦!!」(脚本:山崎久、監督:山田稔、擬斗:高橋一俊 (C) 東映東映エージェンシー)を紹介しましょう。ついに予算が枯渇して特撮を多用しづらくなったので「ドラマ重視の方針から、サナギマンやライジンゴーの場面が本編から極力削られた」のでしょう。また着ぐるみの使い回しが行なわれるようになったのもこの話から。ただし今回はライジンゴーで移動する場面は本編にはあります。そして脚本を書いた山崎久というのは田口勝彦監督のペンネーム。その作風は『仮面ライダー』のコブラ男の話のようにドラマ重視というよりは娯楽重視という感じでしょうか、私の感想は。ただ田口章一という名で『超電磁マシーン ボルテスV』などのアニメ番組の脚本を書いていて、『超電磁マシーン ボルテスV』はメインシナリオライターとして活躍しています。伏線貼りまくった作品も書いてはいたんですね。

さて今回、ドリルデスパーは冒頭で再生されたとナレーションでも明言されます。さらにパワーマシンという装置も取り付けて強化も図っています。ドリル破壊光線を使用できるのです。ドリルデスパーはガイゼル総統の御前でドリル破壊光線をテスト。多大な破壊力があることを見事に証明して見せましたが、その爆音を渡五郎と荒井誠、さらには山沢由美(米田美枝子)と山沢健二(染谷利貴)が聞いてしまったから、さあ大変。なお由美と健二は奥沢ダムのすぐそばに住んでいます。父の山沢(岩上瑛)が主任技師だったからです。

さて奥沢ダムでは山沢と彼らの部下3人が機械を操作してダムの様子を調べています。あくまでも私見ですが、部下3人を演じているのは中村文弥さん、小沢章二さん、湯川泰男さんのような気がします。それは兎に角、そこへドリルデスパー軍団が登場。

ドリルデスパー「問答無用だ、撃て!」

というわけでデスパー軍団大暴れ。皆、射殺されましたが、山沢は弾を避けることに成功し、逃走。しかしドリルデスパーに通せんぼされてしまいました。

ドリルデスパー「このダムはもうすぐ俺が破壊してやる。」

さっさとやればいいものを、こんな事を調子こいて宣言したから、さあ大変。

山沢「そんなことをさせてたまるものかあ。」

山沢は突進し、なんとドリルデスパーのパワーマシンを取り出し、最終的には山沢を心配してやってきた健二にパワーマシンが渡ってしまいました。なお由美も現場に駆けつけています。

山沢「早く逃げろ!」
ドリルデスパー「捕まえろ!」

由美と健二を追いかけるデスパー兵士。さて山沢は

ドリルデスパー「よくも俺のパワーマシンを!」

と怒り狂ったドリルデスパーによって谷底に落とされてしまいました。

ドリルデスパー「早く俺のパワーマシンを取り返せ。あれがなければ大洪水作戦は不可能なのだ!」

ここで大筋が読めてきたでしょう。先を急ぎましょう。健二は隙を突いて飼っていた伝書鳩に通信文を書いて飛ばしました。この描写は疑問が残りますが、無視して先へ進みましょう。ドリルデスパーは当然のことながら、空飛ぶ鳩を見てしまいます。

ドリルデスパー「撃ち落とせ!」

バキューン! デスパー兵士の撃った弾は鳩に命中し、鳩は下へ落ちてしまいましたが、落ちた場所はというと

荒井誠「鳩だ。」
渡五郎「ええ。」

なんという御都合主義もとい天慶か。ライジンゴーの真ん前に鳩が落ちました。これ、真面目に作っているんですよ、真面目に。そして色々ございまして、イナズマンは由美と健二を助け、パワーマシンを入手しました。

イナズマン「奴らはこの装置がよほど大事なものと見えるな。だから君を狙ったのだ。」

さて由美は脚を負傷。とそこへ荒井誠も合流。荒井誠が由美の応急手当てをすると同時にイナズマンが医者の居処を健二に確認。村にいるというので、そこへ運び込むことにしました。ところがそこにドリルデスパー軍団が登場。

イナズマン「ドリルデスパー。生きていたのか。」
ドリルデスパー「驚いたか、イナズマン。俺は改造され、より強力になったのだ。」

と半分ハッタリもあってほざくドリルデスパー。真の目的はパワーマシンの奪回でしょう。今まで書きませんでしたがロケ地は奥多摩の色々なところでしょう。結局、この時点では

イナズマン「ドリルデスパー、お前はそれでも強くなったと言えるのか。」

と言われる結果となりましたが

ドリルデスパー「俺には大事な仕事がある。貴様を片付けるのはそれからだ。覚えていろ。」

と捨て台詞を吐いて撤退してしまったのでした。ただ

イナズマン「おかしい。あいつが簡単に引き下がるとは何か訳があるのか。」

イナズマンは何かあると感じます。

さてCMが明けるとここは村にある医者。荒井誠が由美を背負い、健二の案内でやってきました。渡五郎も後から合流。由美の怪我はすぐ治りそうです。健二と由美が怪人(ドリルデスパー)が山沢を川へ突き落とした話をし

渡五郎「デスパーめ。」
医者「デスパーとは何者かね?」

というやりとりがあった後、そこへ村の消防団の人達4人が山沢を担架に載せて運んできました。消防団の人も大野剣友会の人のようで中屋敷哲也さんの姿が見えます。

医者「これは重傷じゃ。早速輸血を。たしか山沢さんはA型じゃったなあ。誰か、A型の血液の人は?」

荒井誠が名乗り出たので輸血をするために医者は注射器を取り出しました。あのう。輸血ってそうやるんですかねえ。それに疑念を抱いたわけではなくて、医者が持ってきた注射器に薬剤が入っているのを見て

渡五郎「この液体は何だ?」

と注射を五郎は阻止。すると医者はサデスパーの正体を表しました。

サデスパー「渡五郎、さあ、パワーマシンを返してもらおう。」

消防団もデスパー兵士の正体を表しました。どうも消防団員がそのままデスパー兵士を演じているような気がします、背格好を見ると。荒井誠は健二をつれて逃走。渡五郎は由美を連れて逃げる形になりました。さて五郎と由美の前にはドリルデスパーが登場。戦う五郎は隙をついて

渡五郎「うん! 剛力!」

と思ったら

山沢由美「お父さん! 何すんの!」

なんと山沢が由美の喉にナイフを突きつけていました。

山沢「渡五郎。この娘は人質だあ。動けば命はないぞ。」

なんで? なんで山沢は由美を襲っているの?

渡五郎の心の声「山沢さんは操られている。」
ドリルデスパー「この男はサデスパーの力で我々の思い通りに動く操り人形なのだ。」

五郎はなす術がなく、パワーマシンをドリルデスパーに渡さざるを得なくなり、最終的にはダムの真ん前で由美と共に十字架に磔にされてしまいました。

ドリルデスパー「どうだ、渡五郎。これ(パワーマシン)さえあればドリル破壊光線は威力を発揮することができるのだ。」

そしてドリルデスパーはパワーマシンをセット。

渡五郎「それで何をする気だ。」
ドリルデスパー「ドリル破壊光線であのダムを破壊してやるのだ。」

なぜいつも悪の軍団の皆さんはペラペラと作戦の内容を喋ってしまうのでしょうねえ。

ドリルデスパー「あのダムが壊れれば貴様達は一思いに押し流されてしまうのだ。」

悔しそうに由美を見る渡五郎。由美は達観したかのようにこう言います。

山沢由美「父はこのダムを作った時の主任技師だったのです。でも父は化物のためにあんな風になってしまって。私は死んでもかまいません。」

ちょうどその頃、荒井誠が健二を連れてダムのそばに到着。デスパー兵士を掻い潜って様子を見てみれば、渡五郎と由美が磔にされています。

荒井誠「五郎君。」
山沢健二「お姉ちゃん。」

さてドリルデスパーはやる気満々。渡五郎は諭します。

渡五郎「由美さん、最後まで生きる勇気を持つんだ。諦めるんじゃない。」

しかし由美は諦めていたのか首を横に振りました。そして

山沢由美「いいんです、私。」

この様子を黙って見ている荒井誠と健二ではなく

山沢健二「おじさん、なんとか助ける方法はないの?」

荒井誠は様子を伺います。

ドリルデスパー「ドリル破壊光線発射!」

というわけでダムに穴があき、ダムから大量の水が飛び出しました。退避するドリルデスパー軍団。その隙を突き、荒井誠が渡五郎のところに突入。荒井は鎖を切り、渡五郎は拘束から解かれました。

渡五郎「剛力! 将来!」

サナギマンは荒井と共に由美の鎖を切りました。

山沢健二「姉ちゃん。」

サナギマンは由美と健二を荒井誠に託して

サナギマン「超力! 将来!」

イナズマンはぜーバーの赤いレンズを突き立て

イナズマン「ぜーバー逆転チェースト!」

ダムの水は逆流し、ダムも元に戻りました。というわけで後はイナズマンとドリルデスパー軍団との戦闘です。デスパー兵士は全員倒され、ドリルデスパーはパワーマシンを外された上に破壊されてドリル破壊光線を使えなくなった上に

イナズマン「念力パーンチ!」

を喰らい、最終的には

イナズマン「ゼーバーイナズマンフラッシュ!」

で倒されたのでした。

最後は健二に

渡五郎「デスパーに撃たれた伝書鳩の代わりだと言ってお兄ちゃんがイナズマンから預かってきたんだ。」

という伝書鳩を健二が受け取り、その伝書鳩を由美が飛ばし、それを山沢と荒井誠などと共にみる渡五郎を映しておしまいです。さてイナズマンが渡五郎だというのは由美も健二も知っている筈だと思ったのですが、それは瑣末な指摘に過ぎないのでしょう。

とまあ今回は普通の話だと思いますが、ライジンゴーは特撮では出てきません。今回からそういう話になります。さて次回は荒井誠の同僚(山科ゆり)が絡む話。配役に力込めた感じですがお話自体は普通の出来でしょうか。舞台はこの頃の東映特撮番組では定番のロケ地の浜名湖で「ケーブルカーに宙吊り」なんてのもあります。予告ナレーションではそう言ってますが、実際はロープウェーです。

adventar.org