イナズマンF 第11話「美しいサイボーグ!暁に分身す!!」を観た

今回はイナズマンF 第11話「美しいサイボーグ!暁に分身す!!」(脚本:島田真之と峰沢脩、監督:塚田正煕、擬斗:高橋一俊 (C) 東映東映エージェンシー)を紹介しましょう。どういう分担で脚本が書かれたのかはわかりませんが、次が有名な、しかし私は大人になるまで全く覚えていなかった、第12話なので、塚田正煕監督と上原正三さんも交えて話の構成が考えられたのでしょう。ただこのお話自体は普通のお話です。

さて前回、合体ウデスパーの猛攻に苦しむイナズマンを映して終わりましたが、今回は当然、その続きから始まります。イナズマンピンチの様子をガイゼル総統がモニターテレビでご覧になっていましたが、突如合体ウデスパーが苦しみ出しました。戦闘どころではありません。

ガイゼル総統「どうしたのだ?」
デスパー科学者(生田一夫)「は。動力回路が異常に加熱しております。このままでは自爆します。」

設計段階なのに実装を強行したので致命的な初期故障が起きてしまったのです。というわけで

ガイゼル総統「元通りのα、βに分けろ。急げ。」
デスパー科学者「は、はあ。」

合体ウデスパーはアジトに戻されました。非常に元気がありません。2人のデスパー兵士に両腕を抱えられて連れてこられたのですが自力で歩くこともできないようです。

ガイゼル総統「大至急、合体ウデスパーの分離手術を開始しろ。」

デスパー科学者も分離手術に向かおうとしたのですが

ガイゼル総統「待て。」

デスパー科学者は立ち止まり、振り返りました。

ガイゼル総統「失敗の罪は重い。」
デスパー科学者「はあ。申し訳ございません。この失敗の原因を徹底的に突き止めて今度こそ。」
ガイゼル総統「だーめだ!!」

ガイゼル総統はデスパー科学者の答えに満足せず、続けてこう言い放ちました。

ガイゼル総統「過失を犯した者は責任を取る!」

ガイゼル総統はデスパー科学者を突き飛ばしました。デスパー科学者は床に倒れ、最終的には何故か首チョンパの状態になってしまったのです。こうして切り戻しが行なわれ、合体ウデスパーはウデスパーα、ウデスパーβに戻されたのでした。うーむ。ガイゼル総統にも相当に問題があるとは思うのですが、独裁者ガイゼル総統閣下のご命令は絶対のものだったのです。こんな組織で働きたくはないですねえ。

さてここからはサイレンサーデスパー(声:江川菜子)が「挑戦者」となって作戦を遂行します。幻円盤を建造中。翌朝には完成するとガイゼル総統に報告します。

その頃、五郎はインターポールの秘密地下室で寝ていましたが、合体ウデスパーとの戦いを夢の中で思い出しているのか、うなされまくり、荒井誠は心配します。気がついた渡五郎は振り返ってこう言います。

渡五郎「まさに危機一髪でした。」

さてデスパー軍団は大橋あけみ(隅田和世)という女性を追ってファッションショーの会場を襲います。知らせを聞き、渡五郎と荒井誠は現場へ急行。なお今回から荒井誠の武器はライフル銃からショットガンに替わります。渡五郎と荒井誠は現場近く(ロケ地は聖蹟桜ヶ丘駅のような気がします)で大橋あけみと遭遇。デスパー兵士に襲われています。彼女を保護した五郎は事情を尋ねました。前夜。急に降り出した雨のため、帰りを急いでいたところ、男(中屋敷哲也)がデスパー兵士に追いかけられていて、そして道にライターが落ちているのを見つけたというのです。さて荒井誠がライターを調べるとデスパー軍団のマーク(手を模したものの方)がついていました。更に分解して調べると

xy
307

と書かれた紙が出てきました。荒井によれば

荒井誠「xyはデスパー軍団の緊急幹部会議。」
渡五郎「すると307は会議の場所と招集時間。」
荒井誠「そうだ。確かデスパー3区は高尾台。07は午後の4時。」

なのだそうです。というわけでその場所へ向かう荒井誠と渡五郎。ロケ地は東映の特撮番組ではお馴染みの聖蹟記念館です。明治天皇が狩りを行なった場所の近くなので聖蹟なのです。さて中に入るとサイレンサーデスパーがこう説明しています。

サイレンサーデスパー「イナズマンの最大の武器はデスパーだ。しかし我がデスパー科学陣はイナズマンフラッシュに対抗し得るある光線を完成した。これがその試作品だ。」

ここでサイレンサーデスパーが誰かいる事を察知し、発砲。よく考えたらサイレンサーは消音器なので武器の名前ではないような気がしますし、サイレンサーの筈なのに大きな発砲音がしましたが、無視しましょう。即座に戦闘が開始され、渡五郎の姿はいつの間にかイナズマンになってました。展開速すぎますね。イナズマン

イナズマン「利き腕を攻めるんだ。」

と銃になっている右腕を攻め続けます。サイレンサーデスパーは逃げました。イナズマンと荒井誠は例の試作品を改修しに会議が行なわれていた部屋へ潜入。するとそこには大橋あけみが猿轡をかまされて縛られていました。更に例の試作品を取ろうとすると

サイレンサーデスパーの声「ご苦労だったなあ、イナズマン。」
イナズマン「何?」
サイレンサーデスパーの声「暗号を解読したお前達が来ると思って会議の場所を変えたのさ。その生意気な娘と共に死んでもらおう。」

罠だったのです。例の試作機は時限爆弾。イナズマンと荒井誠は大橋あけみを連れて逃げました。

CM明けるとそこは病院。大橋あけみが入院しています。渡五郎と荒井誠はデスパー軍団の次の動きを待つために病室に詰めていました。

翌朝。目を覚ました大橋あけみは荒井誠がコーヒーを淹れる隙を突いて分身しました。その怪しい動きに荒井は気がつき、振り向きました。曰く

荒井誠「君はサイボーグだろう。」

その根拠は

荒井誠「サイボーグがその能力を使う時の電波、それも強力な電波が君から出ている。」

だそうです。サイボーグだからわかったのでしょうか? なお分身体は屋上にいる渡五郎の近くにいます。そして荒井誠を相手にしている本体はサイレンサーデスパーの正体を現しました。流石の荒井も敵いません。彼の叫び声を屋上で聞いた五郎が振り返るとそこには大橋あけみ(の分身)がいます。

大橋あけみ「渡さん、荒井さんが化け物に。」

しかし、右腕に怪我をしていることが五郎にバレてしまい、

渡五郎の心の声「全てからくりだったのか。」

電波が使えないので大橋あけみ(の分身)は開き直り、サイレンサーデスパー本体も合流。

渡五郎「分身するサイボーグ。一方が電波を出さなければ一方が力を出せない。それが分身するサイボーグの弱点だ。」

原理不明ですが、流して先を続けましょう。サイレンサーデスパーは分身をやめ、大橋あけみの姿のみが残りました。荒井誠の居場所を尋ねる渡五郎に大橋あけみが提示した条件はガイゼル総統の殺害。曰く、こんな体にしたガイゼル総統が憎い、失敗すればガイゼル総統かイナズマンに殺される。とりあえず五郎はその条件を飲み、案内させました。しかし、それはやはり罠。五郎の目の前にガイゼル総統がいた、と思ったら、部屋が真っ暗になり、煙が充満。気がついたら五郎は海岸にいました。ロケ地は三浦半島の剣崎です。五郎は地雷原のまん真ん中に立たされていました。少しでも動くと地雷が爆発するそうです。

大橋あけみ「仲間の荒井を返してやろう。」

荒井誠のそばにも大橋あけみがいます。荒井誠のそばにいた大橋あけみが荒井誠を突き飛ばし、荒井は縛られたまま五郎に近寄りますが

渡五郎「荒井さん」

途端に地雷が爆発。大橋あけみは二体ともサイレンサーデスパーの姿になりました。ただ五郎は無事でした。

渡五郎「荒井さん。」
荒井誠「五郎君。俺に構わず戦うんだ。」

というわけで

渡五郎「剛力! 将来!」

サナギマンに変転。サナギマンは地雷原を突破して荒井誠のところに駆け寄りました。サイレンサーデスパーは分身をやめ、サナギマンは荒井誠の縄を解いた後

サナギマン「超力! 将来!」

イナズマンに変転しました。サイレンサーデスパーは円盤を発進させました。というわけで

イナズマン「ゴー! ライジンゴー!」

やはり出るじゃない、ライジンゴー。ライジンゴーは円盤と戦闘。変幻自在に現れたり消えたりする円盤に翻弄されましたが、途中で

イナズマン「あいつ(サイレンサーデスパー)が操作しているのか。」

と気がつき、サイレンサーデスパーを威嚇した後、円盤を破壊することに成功したのでした。そしてイナズマンは地上に降りてサイレンサーデスパーと戦闘開始。最終的には

イナズマンフラッシュ「ゼーバーイナズマンフラッシュ!」

で片がついたのでした。

お話は普通の話という感じでしたが今回のゲストの隅田和世さんは日活でデビューして『八月の濡れた砂』(藤田敏八監督作品)にも出演した人。『八月の濡れた砂』を「毎日見ていた」という加藤貢プロデューサーのたっての頼みで出演が実現したそうです。まあ『イナズマンF』の直前に『キカイダー01』にもレギュラー出演していたので、その線もあったのかもしれません。ただこの辺りから加藤貢プロデューサーがゲストの配役に力を入れ出したのは確かでしょう。

次回は『イナズマンF』でよく話題にあがる第12話。ついに荒井誠の過去が全て判明します。と同時に荒井誠と渡五郎の戦う意義が新たに付け加わるのでした。

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