イナズマンF 第16話「謎の女 その名はデスパー秘密捜査官」を観た

今回はイナズマンF 第16話「謎の女 その名はデスパー秘密捜査官」(脚本:平山公夫、監督:山田稔、擬斗:高橋一俊 (C) 東映東映エージェンシー)を取り上げましょう。浜松や浜名湖でロケが行なわれた話です。

まず最初に映るのは浜松城。黒服の男達が九条博士(田中力)に超音波発生装置の実験を行なうよう強要します。渋る博士に黒服の男は博士の息子こと一郎(鈴木まさゆき)の命がかかっている事を盾にして脅迫。それでもできないと博士が言うので黒服の男は博士から装置を奪い取り、超音波発生装置の実験を始めてしまいました。途端に苦しむ浜松の人達。それをモニターテレビでご覧になるガイゼル総統とサデスパー。

ガイゼル総統「第一の実験は成功だ。」

と御満悦。

ガイゼル総統「サデスパー、わかっておろうなあ。」
サデスパー「は。早速九条博士を使って更に強力な威力を持つ超音波兵器に改良いたします。」

そしてノコギリデスパー(声:依田英助)がこう言います。なお第1話と第2話で登場したノコギリデスパーとは声優が変わっているためノコギリデスパー2号と呼ばれるようです。

ノコギリデスパー「これで日本全土を破壊する事ができる。俺もイナズマンを必ずやる。」

そううまく行くかどうかが見ものです。

さて荒井誠と渡五郎も事件を察知。荒井誠は超音波兵器によるものだと断定します。どうやって断定したのかは知りません。なお九条博士は半年前にアメリカで行方不明になっていたことが渡五郎のセリフからわかります。とそこへ通信が。

K麻耶(山科ゆり)「こちらナンバーゼロゼロファイブ。応答願います。」
荒井誠「こちらゼロフォーフォーシックス。どうぞ。」
K麻耶「インターポールニューヨーク支部K麻耶です。」

それを聞き

荒井誠「麻耶さん。いつ日本へ?」

旧知のようです。麻耶が来たのは1週間前。九条博士がデスパーの基地に捉えられているとのこと。例の事件は九条博士が開発した超音波発生装置によるものと推測されると麻耶は報告。

荒井誠「麻耶さんはどこに?」
K麻耶「浜松の舘山寺です。ビューホテルまですぐ来ていただけますか?」

今回のタイアップ先はそのホテルです。

荒井誠「わかった。舘山寺のビューホテルだね?」

しっかり復唱する荒井誠。

さて荒井誠がホテルに着くとK麻耶はモーターボートを浜名湖で走らせているとのこと。荒井誠が双眼鏡でそれを確認し、摩耶に手を振ると摩耶も気がつき、荒井誠に手を振りました。ところが

荒井誠「デスパー。」

デスパー軍団のモーターボートがK麻耶を追跡。荒井誠の目の前で麻耶の乗るボートは岸に激突し爆発してしまいました。爆発現場へ急行した荒井が発見したのは麻耶のサングラスと通信機のみ。荒井誠は無線機でライジンゴーを運転する五郎に連絡。浜名湖に急ぐように伝えます。

その頃、サデスパーは九条博士を脅迫。一郎をデスパー兵士が脅迫する様子をモニターテレビに映して更に脅迫。

サデスパー「息子の命が惜しければ我々に協力することだな。」

と言う定番の攻撃が効き、九条博士は肩を落とします。

一方、ノコギリデスパーは渡五郎が来るのを妨害すべく通行止めの柵を設けていました。そして渡五郎の乗るライジンゴーを地雷原に誘い出しました。渡五郎がライジンゴーを降りると今度は戦闘機が来襲して機銃掃射。戦闘機は去りましたが

渡五郎「くっそー。」

そしてサデスパーはK麻耶を洗脳しています。麻耶は生きていたのです。なおサデスパーの胸は開閉式。モチーフは拷問に使用する鉄の処女ですが、この場面では意味がないような気がします。それは兎に角、サデスパーは胸を開いてこう尋ねます。

サデスパー「お前の名は?」
K麻耶「デスパーの秘密捜査官K麻耶。」

洗脳は成功したようで、サデスパーは胸を閉じて質問を続けます。胸の開閉に何の意味があったかは不明です。

サデスパー「お前の任務は?」
K麻耶「我デスパー軍団の敵、イナズマンとインターポールの犬、荒井誠をこの世から葬る事です。」
サデスパー「ようし。たった今からお前はインターポールではなく我デスパーの秘密捜査官となった。行け。」

K麻耶は頷きました。

さてK麻耶がホテルに着きました。その頃、渡五郎は荒井誠と会っていて、摩耶も襲われた事を知ります。麻耶が死んだものだと思っていた荒井でしたが、そこへ麻耶が現れました。

荒井誠「麻耶さん。無事だったのか。」
K麻耶「すみません。デスパーを欺くために連絡が取れませんでした。あの時、撃たれたと見せかけて水の中に飛び込んだのです。」
荒井誠「そうだったのかあ。流石だ。さあ。」

荒井誠は麻耶を座らせました。荒井誠は麻耶と五郎を引き合わせました。ただ五郎は麻耶を怪しんでいるようです。さて摩耶によれば九条博士と一郎が誘拐されたのはフラワーパークだとのこと。荒井誠は麻耶と一緒にフラワーパークへ行く事にし、五郎にはホテルで待機するように頼みます。

そして荒井誠は麻耶と一緒にフラワーパークへ行きましたが、黒服の怪しい男がつけていることに気がつきました。とその時、麻耶が荒井誠に手裏剣を投げつけました。間一髪、荒井は手裏剣をかわし

K麻耶「あたしの手裏剣をかわすとは流石ね。」
荒井誠「命は無駄にできないんでね。」

荒井誠は木に刺さった手裏剣を抜いて摩耶に手渡しましたが、なんと麻耶はその手裏剣を荒井誠の顔に突きつけました。

K麻耶「その命、私がもらうわ。」
荒井誠「冗談はやめたまえ。」

しかし、麻耶はやめません。

K麻耶「動くと命はないわ。」

驚く荒井。

荒井誠「麻耶さん。」

ここでCM挿入。CMが明けると荒井誠は反撃開始。なんとか麻耶から離れ、デスパー兵士とも格闘。その荒井に麻耶がこう宣言します。

K麻耶「あたしはインターポールなんかじゃない。今の名はデスパー秘密捜査官。」

驚く荒井誠。

荒井誠「君がデスパー。」

ノコギリーデスパーも現れ、劣勢は否めません。

ノコギリデスパー「イナズマンの片割れ、貴様の最期だ。」

と肩についた回転ノコギリを投げましたが荒井誠はそれを避けてデスパー兵士に命中。荒井誠は逃げましたがノコギリデスパーが迫ります。追い詰められる荒井誠。とその時

ノコギリデスパー「イナズマン!」

イナズマンが登場。ノコギリデスパー軍団と戦闘開始。しかし荒井誠は摩耶に襲われています。

イナズマン「思った通りだ。彼女はデスパーにコントロールされている。本当の姿ではない。」

ノコギリデスパーが投げた回転ノコギリが荒井誠に当たり、イナズマンが荒井のところに駆けつけましたが、その隙に麻耶とノコギリデスパーは引き揚げてしまいました。

荒井誠「麻耶さんがデスパーに利用されているなんて。信じられん。」

荒井誠の受けた衝撃は大きいようです。

ホテルの屋上でニューヨークの五番街作戦で麻耶と一緒に活動した時の事を荒井誠は思い出します。それを遠くから黙って見るしかできない渡五郎。

さて屋上から降りた荒井誠は双眼鏡を覗き、九条博士がロープウェーに乗せられているのを発見。ロープウェーには麻耶も乗っています。荒井誠もロープウェーに乗り、展望台に到着。随分早く到着した気がしますが、気にせず先を急ぎましょう。

K麻耶「あなたの命をかけた殺人兵器の威力をその目ではっきり見ることね。」

九条博士は自分で操作させてくれと頼み、麻耶はそれを承諾。九条博士は超音波殺人兵器を操作する…と見せかけて最後の抵抗をしようとしましたが、黒服の男達は一郎を盾に取りました。

九条博士「こんな恐ろしい機械を貴様達に渡すわけには行かん。一郎、許してくれ。お父さんはこの機械と一緒に死ぬつもりだ。」

しかし麻耶は平然とこう言ってのけました。

K麻耶「この子も一緒に殺す気ね。」

後退りする九条博士。階段で様子を伺う荒井誠の顔が映りました。

九条博士「一郎、許してくれ。」

九条博士がダイヤルを回そうとしたその時、荒井誠がショットガンを撃ちました。弾は超音波破壊装置を持つ腕に命中。九条博士は装置を落としてしまいました。

荒井誠「博士。」

九条博士のところに駆け寄る荒井誠。

荒井誠「無茶をしては行けない。」

とショットガンを黒服の連中に向ける荒井誠。当然、黒服の男達は一郎を盾に取りますが、一郎を捕まえた男は何故か荒井誠と九条博士のところに行き、サングラスを外すと

荒井誠「五郎君。」

無理がある展開のような気がしますが、さっさと次へ進みましょう。さてここからは超音波破壊装置の争奪戦。超音波破壊装置はノコギリデスパーとK麻耶の手に渡り、渡五郎と荒井誠が二人を追いかけます。ロープウェーの屋根の上でノコギリデスパーと渡五郎が格闘し、荒井誠は九条博士と一郎を保護。

九条一郎「あ、危ない。」

と言うや否や、渡五郎はロープウェーから落ちてしまいました。

荒井誠「五郎君!」

と言うや否やデスパー兵士が荒井誠達を襲います。ノコギリデスパーと麻耶もやってきました。え? 無視して先へ進みましょう。

ノコギリデスパー「渡五郎は死んだ。今度は貴様達を片付けてやる。」

と勝ち誇るノコギリデスパー。とその時

イナズマン「待て! 自由の戦士、イナズマン。」

ロープウェー乗り場の屋上から叫ぶイナズマン。今回はサナギマンは一切登場しません。形勢逆転。荒井誠は九条博士と一郎を連れて逃げ、麻耶がそれを追いかけます。イナズマンはノコギリデスパー軍団と格闘。ふとイナズマンが荒井誠の方を見ると

荒井誠「(九条博士と一郎の前に立ち)麻耶さん、やめるんだ。」

イナズマンはジャンプして

イナズマン「念力キック!」

でノコギリデスパーを蹴っ飛ばし、更に

イナズマン「念力パーンチ!」

を繰り出して最終的には

イナズマン「ゼーバーイナズマンフラッシュ!」

でノコギリデスパーを倒しました。超能力破壊装置も一緒に爆発です。

さてK麻耶は荒井誠の鼻先に拳銃を突きつけ、荒井誠も覚悟を決めましたが、なぜか昏倒。荒井誠が麻耶を抱え込み

荒井誠「麻耶さん。麻耶さん。麻耶さん。」

するとK麻耶は目を覚まし

K麻耶「荒井さん。」

荒井は黙って頷きました。(何故か)麻耶の催眠は解けたのです。最後は浜名湖湖面を見つめるイナズマンを映しておしまいです。

全体の作りは粗い感じは否めませんが、日活からわざわざ山科ゆりを呼んだだけのことはあって見応えのある話にはなっています。とは言え、予算が逼迫していたのは明白で特撮でライジンゴーが活躍することはありません。

さて次回は楢岡八郎こと加藤貢プロデューサーが共作ながらも脚本を書いた話。今回よりも人間ドラマに力を入れ、暴走に拍車がかかります。終わりが見えたので本当にやりたい放題やっていたんですねえと思う一編になっています。プロデューサーが暴走していたわけですから、カルトな人気を誇る作品が生まれたのも当然だったのかもしれませんねえ。なお楢岡八郎名義の脚本はもう一本ありますが、それがあの有名なギロチンデスパーの話。次回はおとなしい方かもしれません。

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