イナズマンF 第21話「死者部隊ルート047」を観た

今回はイナズマンF 第21話「死者部隊ルート047」(脚本:上原正三、監督:山田稔、擬斗:高橋一俊 (C) 東映東映エージェンシー)を紹介しましょう。まあ『イナズマンF』終盤の作品群の中ではおとなしい部類に入りますが、死者を兵器にして売るというのはかなり危険な発想。予算が枯渇した(のでしょう)終盤でも一応、ライジンゴーが特撮でも登場する普通の話です。残り2話のテンションが凄く高いので箸休めのような感じでしょうかねえ。

さて冒頭は警察の検問に引っかかった霊柩車の中からスプレーデスパー(声:村瀬正彦)が登場する場面から始まります。スプレーデスパーは右腕から噴射した毒ガスで警官を骸骨だけにしてしまいました。どういう原理かは不明です。霊柩車はそのまま逃走。当然、荒井誠のところに連絡が行き、渡五郎と共にライジンゴーに乗って出動です。今まで敢えて書きませんでしたが、秘密捜査官なのにあんな目立つ車を常用しているのです、荒井誠は。ちなみに場所は国道47号線。今回、渡五郎はスーツではなくてラフな格好。書き忘れましたが前回もラフな格好でした。渡五郎と荒井誠は逃げ道となりそうな場所に先回りして待ち伏せ。霊柩車は止まらずに行ってしまいましたが、この先は行き止まりだそうです。というわけでライジンゴーで追跡すると思惑通り、霊柩車が止まっていて、スプレーデスパーとごたーいめーん。逃げるスプレーデスパーを追いかける渡五郎と荒井誠。スプレーデスパーは右腕から銃弾を発射。スプレーですよねえ。と思うのですが、そういう映像なので仕方がありません。それでも五郎は追いかけようとしましたが

荒井誠「五郎君。ちょっと来てくれ。」

と霊柩車を調べていた荒井誠が呼んだので戻りました。なんと霊柩車の中に棺桶が載せられていたのです。先ほど、警官を襲った場面では、そう見えなかったのですが、私の目の錯覚ということにしておきましょう。棺桶を開けると死体(福岡正剛)が入っていました。服は

渡五郎「これはファントム兵士。」

要するに予算軽減策…というのは目を瞑りましょう。

荒井誠「一体、奴ら、何のために?」

とりあえず病院へ運び込み、死体安置所で調べる事にしました。さて服を脱がせてみると基板が。

渡五郎「サイボーグ!」

さて死体の身元は手配書があったのですぐわかったそうです。手配書によれば

渡五郎「倉山松助。41歳。特徴、右頬に2センチほどの切り傷。」

2年前の暮れに秋田から出てきて工事現場で働いていたそうですが、行き先も告げずに行方をくらませたそうです。いわゆる、蒸発と言う奴ですね。この頃、こう言う人はたくさん居ました。さてデスパーがこの死体を運んだ目的はまだわかっていません。そこへ松助の息子の太一(梅津昭典)が連れてこられました。即座に

倉山太一「父ちゃんだ。どうして死んじまったんだ。」

超獣ギタギタンガの出現による自動車事故で死んだわけではありません。それは別のテレビ番組です。なお梅津昭典さんは御健在でYouTubeでも姿を拝見することができますが、当時と違って精悍な顔つきで痩せています。そんな事はどうでもよくて、太一はなおも呼びかけます。

倉山太一「父ちゃん、母ちゃんが会いたがっているんだ。病気で動けないんだ。起きてくれ、父ちゃん。父ちゃん。」

後で明白にわかりますがロケ地は聖マリアンナ医科大学です。東映生田スタジオからは近いところにあります。嘆き悲しむ太一を渡五郎が慰めます。

渡五郎「太一君、俺には父さんも母さんもいない。だけど太一君にはお母さんがいる。病気のお母さんを勇気づけてあげられるの君なんだ。君しかいない。わかるかい。」

太一君はわかったようです。

一方、デスパー軍団はこの事態を重要視。

ガイゼル総統「サイボーグ兵士一人や二人はどうと言う事はない。問題は渡五郎が今後どう動くか。きっと犬のように嗅ぎ回るに違いない。」
サデスパー「ルート047が絶たれては一大事です。この際、早めに手を打った方が。」

ガイゼル総統は頷き、サデスパーは倉山松助を蘇らせて渡五郎に接近させる作戦をスプレーデスパーに命じました。

サデスパー「倉山の息子の手前、渡五郎は必ず気を許す。」
スプレーデスパー「気を許した隙に。」
サデスパー「そうだ。ルート047計画を実行するためにも犬は邪魔だ。」

早速、作戦が実行されました。スプレーデスパーが病院に侵入。鍵穴からガスを噴射。ガスの威力で倉山松助の死体が意識を取り戻して起き上がりました(原理不明)。そして病院の職員二人を倒しました。

さて渡五郎と荒井誠がライジンゴーに太一も乗せて走らせていると事件の連絡が入り、三人は病院に急行しました。話を聞いた五郎と荒井はガスなどが電池のようになっていて、その仕掛けで倉山松助の死体、いやサイボーグが動き出したと推理しました(原理不明)。

渡五郎「デスパーの科学力なら難しいことではありません。」

だそうです。荒井誠は棺桶がサイボーグを運ぶためのカモフラージュだと推理し、五郎もその説を支持しました。

荒井誠「この事件は相当根が深いぞ。残りのサイボーグも探し出さねば。」

かえって猟犬を走らせる結果になってしまった気がしますが、それは置いといて、五郎はその言葉に頷きました。

倉山太一「父ちゃんがサイボーグだなんて、そんなバカな。」
渡五郎「心配しなくていい。サイボーグだって手術すれば元の人間に戻ることができる。」

だそうです。本郷猛や一文字隼人の悲しみは…それはここでは無視しましょう。

渡五郎「さあ、お父さんを探しに行こう。」

さてライジンゴーがどこかの廃工場に着きました。サイボーグを隠すにはもってこいの場所だと五郎が睨んだかららしいです。それは荒井誠のセリフでわかります。するとデスパー兵士が倉山を追いかけているのが見えました。これがどうも罠のようですが、もちろん、五郎達は知りません。

渡五郎「荒井さん、太一君を頼む。」

と言うと五郎は倉山を助けに向かいました。スプレーデスパーも登場。倉山の背中にマシンガンの銃弾が当たりました。倒れる倉山。そこへ現れるイナズマン。展開はや。イナズマンはデスパー兵士を薙ぎ倒し、スプレーデスパーと勝負。

スプレーデスパー「スプレースパイダー。」

左肩についたスプレーから発射したのは要するに網。スプレーですよねえ。それでしばらく苦しみますが

イナズマン「よーし。」

黄色いレンズを突き立てたぜーバーをかざして

イナズマン「ぜーバー逆転チェスト!」

アップになったレンズは赤かったので辻褄は合っているようです。兎に角、逆転チェストでスプレースパイダーはスプレーデスパーのところにかえってスプレーデスパーが網で捕捉された格好になりました。逆転ってそう言う意味なんですかねえ。それはひとまず置いといて、形勢逆転。なるほど。逆転でした。そうじゃないっちゅうの。

イナズマン「死んだ兵士達をどこへ運んだ? ガイゼルは一体何を企んでいるんだ? 言え。」

しかしスプレーデスパーは答えてくれません。なおもイナズマンは詰め寄りましたが、スプレーデスパーは右腕から黄色いガスを噴射。イナズマンが怯んだ隙に屋根へと逃げて

スプレーデスパー「デスパーは秘密を知った者は生かしてはおかぬ。倉山松助、よく覚えておけ。」

要するに「今日はこれくらいにしといてやるわ。」と捨て台詞を残して逃げ去ったのでした。イナズマンは倉山を保護。背中を撃たれたのにピンピンしています。太一と荒井も駆けつけました。倉山はやけに恐がり、太一の言葉を聞いても怯えてばかり。

荒井誠「デスパーの制裁が恐ろしいんだ。」

ところがイナズマン

イナズマン「秘密を知るものを放り出して逃げて行った。殺すつもりなら殺せたはずだ。」

何かあると考えたようです。ここでCM挿入。CMが明けるとそこは廃工場の中。とりあえず渡五郎と荒井誠は倉山と太一を廃工場の中に避難させました。倉山を心配する太一。渡五郎が様子を窺いに外を覗くとデスパー兵士がウロウロしているのが見えました。とその時、倉山が太一を人質にして渡五郎を脅迫してきました。

渡五郎「倉山さん、あなたがスプレーデスパーと何かを企んでいたことはわかっていたんだ。」
倉山松助「じゃあなぜ看病した?」
渡五郎「デスパーの計画を知りたかったからだ。」

さらに五郎はこう言いました。

渡五郎「俺が身代わりになる。だから太一君に傷をつけるのはやめるんだ。」

その頃、荒井誠は廃工場の外にいました。通信を入れましたが応答がありません。太一と一緒に五郎が縛られていたからです。倉山の番号は047のようですが、倉山はスプレーデスパーに通信を入れ、五郎と太一の始末を命じられました。

倉山松助「二人とも死んでもらおう。お前(渡五郎)にルート047計画を邪魔されては行かんのでなあ。」

なぜ悪の組織の皆さんは途中でペラペラと作戦の内容を喋ってしまうのでしょうねえ。

渡五郎「ルート047計画とは何だ?」

当然、そう質問する渡五郎。

倉山松助「冥土の土産に教えてやろう。デスパー軍は戦乱に明け暮れている各国にサイボーグ兵士を送り込んでいるんだ。弾に当たっても死なない兵士をな。」
渡五郎「人間同士を戦わせ、世界中を混乱の渦に巻き込む。それがルート047計画か?」
倉山松助「その通り。死者部隊が倉庫で迎えの船を待っているのさあ。」

なお制作当時は中東戦争ベトナム戦争が行なわれている最中。その世相も反映した話でもあるのです。高笑いする倉山。

渡五郎「ガイゼルめ。なんて恐ろしい計画を。」
倉山太一「父ちゃん、気が狂ったのかよ。」
渡五郎「言っても無駄だ、太一。君のお父さんは悪い奴らに操られているんだ。」

倉山はこんなことまで言いました。

倉山松助「お前達を始末すれば、きっとガイゼル総統がお褒め下さるだろう。047倉山松助、よーくやったとな。」

そこへ荒井誠からの通信が入りましたが倉山は通信機を五郎から取り上げて

倉山松助「お前の仲間もきっと捕まっていることだろう。」

と言い放ちました。その言葉通り、荒井誠はスプレーデスパーに捕まってしまいました。倉山は時限爆弾を見せつけて

倉山松助「あと10秒で爆発だあ。」

時限爆弾を床に置き、倉山は立ち去りました。万事休すか?

渡五郎の心の声「速く太一君を助けねば。」

そこで五郎は叫びました。

渡五郎「剛力! 将来!」

渡五郎はサナギマンに変転。サナギマンは縄を外してしまい、時限爆弾も投げ捨てました。外で爆発する時限爆弾。

サナギマン「太一君、ここにいるんだ。お父さんは必ず助けてあげる。」

太一は頷き、サナギマンは外へ出ました。サナギマンに呼びかけられた倉山は、サナギマンというか渡五郎が生きていた事に驚きました。倉山はスプレーデスパーのところへ逃げましたが始末されそうになってしまいました。荒井誠も捕まっています。そこへサナギマンが乱入。

サナギマン「超力! 将来!」

サナギマンはイナズマンに変転。イナズマンはデスパー兵士を薙ぎ倒し、荒井誠を救出。

イナズマン「スプレーデスパー、ルート047計画は私がぶち壊してやる。」
スプレーデスパー「死者部隊047、只今蘇る。」

戸が開いて登場したのはファントム軍団の制服を着て銀色のヘルメットにDマークがついたものを被った死者、というか、サイボーグ達。ガスマスクはしていません。死者部隊はデスパー兵士よりも強く、荒井誠が撃ったショットガンでは倒せません。それでも格闘戦で何名か荒井は倒しました。そしてイナズマンとスプレーデスパーとの戦いになりました。戦いが続き、イナズマンはスプレースパイダーの餌食になってしまいました。

スプレーデスパー「どうだ、イナズマン。お前はもはや蜘蛛の巣に引っかかったトンボも同じだ。」

ぜーバーも叩き落とされてしまいました。するとイナズマン

イナズマン「ゴー! ライジンゴー!」

と叫び、ライジンゴーを呼びました。イナズマンライジンゴーのロケット噴射口(?)から出る炎でスプレースパイダーを焼き切って脱出。形勢逆転。イナズマンはゼーバーを拾い上げ

イナズマン「ゼーバーイナズマンフラッシュ!」

でスプレーデスパーは倒されたのでした。

最後は倉山松助の手術が成功し、秋田へ帰る倉山と太一を渡五郎と荒井誠が病院へお見舞いに行き、五郎が「戦う機械人間を一人でも増やしては行かんな(荒井誠談)」と誓って終わるのでした。

今回は普通の話でした。ライジンゴーは無理矢理出した感じがしますが、本当はもっと出したかったのでしょう、上原正三さんは、と私は勝手に思ってます。

また梅津昭典さんが子役時代の話を語っている動画がこちらです。サムネイルの一番右が今の梅津さんです。

youtu.be

さて次回は塚田正煕監督が書いた話。その次の話は塚田正煕監督が演出した最終回。その関係から残り2つの話は連続物になっています。最終回で渡五郎と荒井誠がデスパーシティーに再突入。第12話で貼った伏線を回収して『イナズマンF』は終わりましたが、制作の舞台裏も色々あったようです。舞台裏の話は私は伝聞でしか知りませんが、加藤貢プロデューサー達の暴走ぶりを証明するかのような逸話が残っています。その前編に当たるのが次の第22話なのです。

とは言うものの毎週日曜日はJAEチャンネルで高田JAPANの動画が公開されますので…

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