今回はロボット刑事 第10話「バドーのみな殺し作戦!!」(脚本:上原正三、監督:折田至、助監督:平山公夫、技闘:風間健 (C) 東映)を紹介しましょう。
ハリサスマン(声:兼本新吾ではなくて加茂嘉久)に目をやられたKはマザーを呼び出し
ロボット刑事K「見えない、見えないんだ、マザー。」
視覚回路をなおす必要があるのですが
ロボット刑事K「マザー、視覚回路の交換は確か24時間だったねえ。」
頷くマザー。するとKはこんな事を言い出しました。
ロボット刑事K「そんなに時間がないんだ。良一君をすぐに探し出さなければならないんだ。頼む、マザー。一時的な応急処置でいいから、すぐに見えるようにしてください。頼む。」
うーむ。こんな事をさせるのですか、上原正三は。即座に入るナレーション。
野田圭一のナレーション「一時的な応急処置にはいつ見えなくなるかわからないと言う危険がある。だが今のKには自分のことより攫われた葉山良一(矢崎知紀)を助け出す事が先決であった。」
今回はマザーの腹からKは収納されます。
さてジョーカーを走らせたKは葉山博士(田畑孝)が収容されている多摩中央病院へ急行。奈美と由美が病室にいました。もちろん外では警官が警備しています。葉山博士は一時的な記憶喪失症らしいのですが、マッハ8で飛ぶアスカ号の設計図の行方はわからないままです。ベッドに寝る葉山博士は涙を流しながらこんな事を言い出しました。
葉山博士「良一。良一。」
それを観たKの目の色は青色に。
ロボット刑事K「博士。良一君は私が必ず連れ戻します。待っていてください。」
Kは飛び出してジョーカーを走らせました。
ロボット刑事K「良一君、無事でいてくれよ。」
目の色は黄色に戻っています。
さて本庁では芝と新條が小田(北町嘉朗)を尋問していました。芝は小田に仕事の依頼主を尋ねましたが、知らないの一点張り。
新條強「あのへんてこりんなロボットが助けだしに来るのを待ってるんだろう。」
小田「知らねえ。そんなロボット、見た事はねえ。」
芝大造「ほんとかな?」
小田「ほんとだよ。子供がどこにいるか知らねえんだ。」
その頃、Kが小田物産に乗り込んでいました。しかし社員は良一の居所やバドーのロボットは知らないといい、Kが赤外線スコープで調べても
ロボット刑事K「ロボットの足跡はない。ここではないのか。」
さて芝と新條は今度は小田物産社員(鹿島信哉)を取り調べていました。
芝大造「お前はまだ若い。小田と20年もムショ暮らしをすることはねえと思うんだがなあ。」
この攻撃は効きました。ビビる小田の部下。
芝大造「航空機研究所に押し入って警官を殺したのもお前達の差金だ。下手あすると死刑だな。」
小田物産社員「し、死刑!」
芝大造「黒幕が誰かわかるだけで随分違うと思うんだ、刑期がな。」
ついに
小田物産社員「社長のことは絶対言っちゃいけないことに。」
しかしビビったのか、それ以上のことは言おうとしません。芝はタバコを勧めました。落ち着いたところで
新條強「その社長ってのから頼まれたんだな?」
小田物産社員「そうなんでえ。5、5億でどうだって言うんですよ。」
芝大造「5億?」
小田物産社員「へえ。バドーのロボットね、社長が紹介してくれたんですよ。」
思わず身を乗り出す新條。
新條「社長の名は?」
小田物産社員が言い淀んで窓を見るとなんとハリサスマンが覗き込んでいました。ハリサスマンの針で小田物産社員は殺されてしまいました。走って逃げるハリサスマンを走って追跡する新條。この時にかかる曲は『刑事くん』で作られた曲のような気がしますが私の記憶は曖昧です。日比谷のビル街で格闘する新條とハリサスマン。ビルの屋上へハリサスマンが新條を捕まえたまま飛び乗ったところへジョーカーが駆けつけ、Kが登場。新條と替わって戦闘開始。
ロボット刑事K「お前は良一君をさらったロボットだな。」
ハリサスマン「俺はバドーのハリサスマンだ。」
ロボット刑事K「ハリサスマン、良一君をどこへやった。言え。」
その質問には答えず、ハリサスマンは攻撃を再開。屋上から皇居が見えます。ハリサスマンがジャンプして飛び、Kも飛ぶと今度は戦場が晴海のビルの屋上になりました! 移動距離が長すぎますが無視しましょう。ビルの屋上の柵の外、転落したら(中の人が)死ぬようなところでKとハリサスマンが格闘した後、今度は柵の中に移って戦闘続行。私には恐ろしくてできません。最終的にハリサスマンは逃げてしまいました。
Kと新條が本庁に戻りました。小田物産社員の死体と(本当に)入れ替わりに小田が取調室に入ります。
ロボット刑事K「警視庁にまで忍び込むとは不敵なロボットだ。」
これを聞いた小田の表情は凍りつきました。先程の供述を録音したテープを新條は再生。
小田物産社員の声「バドーのロボットをね、社長が紹介してくれたんですよ。」
社長とは小田の事ではありません。前回の流れを思い出してみましょう。小田物産社員が小田にバドーを紹介していましたね。小田は耳を押さえてしまいました。
新條強「黒幕の社長はどうやらあんた達が邪魔になってきたようだ。次はあんたの番だぜ、小田さん。」
ところが
小田「あいつは喋ろうとして殺されたんだ。俺は喋らねえ。喋らねえぞ。」
逆効果になってしまいました。そして小田は留置所に戻されました。留置所にも窓がありましたが窓に向かって叫ぶ小田。
小田「俺は喋らねえ。だから殺さないでくれ。頼む。」
その頃、芝は頭を抱えていました。会社の社長だけでは何万といます。とその時
ロボット刑事「そうだ。小田物産をもう一度捜査してはどうでしょうか。何か手掛かりが掴めるかもしれません。」
芝大造「ロボットにしちゃ良い思いつきだ。」
芝はその案を採用。芝、新條、Kは小田物産へ行きましたが、社員は全員殺された後
新條強「あのロボット野郎の仕業だ。」
Kが赤外線スコープで調べると足跡が残っていました。
本庁に戻った芝が小田物産の社員達が殺された様子を写した写真を小田に見せると小田の態度が一変。
小田「ちくしょう。ちくしょう。ちくしょう、ちくしょう。」
怒り狂った小田は写真を破り捨ててしまいました。留置場の中で
小田「ちくしょう、黒沼(相原巨典)の奴。」
ところがそこへハリサスマン登場。
小田「野郎。うちの社員をやったのはおめえだな。」
ハリサスマン「そうだ。私がやった。」
あっさり認めたハリサスマン。
小田「バドーってのは汚ねえじゃねえか。俺と契約しておきながら裏切りやがってよ。」
ところがハリサスマンは驚愕の事実を小田に伝えました。
ハリサスマン「裏切ったのは黒沼社長の方だ。黒沼社長はお前達との契約を解消するためにバドーに2億5千万円払った。その上、私と契約したのだ。」
小田「そうだったのか。くそう。裏切り者め。こうなったら、何もかもぶちまけてやる。」
そうは問屋が卸しません。
ハリサスマン「その必要はない。」
小田は即座に殺されてしまったのでした。芝と新條とKは小田の死体を見て
芝大造「これで何もかも白紙に戻っちまったなあ。」
ここでCM挿入。CMが明けると若女だか小面だかの能面を被った男が葉山良一(矢崎知紀)を問い詰めているところ。設計図のありかを尋ねましたが、良一が知るわけがありません。葉山博士が「良一、ロボット。」と口走ったことから良一かKが知っていると能面を着けた男は考えたのです。男はどこかへ電話。するとハリサスマンが葉山博士をさらいに病院を襲撃。その場に居合わせた地獄耳平はあっさり倒され、警官は何人も、大葉健二さんらしき顔が見えましたが一瞬なので見間違いかもしれませんが、兎に角、何人も倒され、ハリサスマンは葉山博士を攫うのに成功。ここで気がついた耳平は
地獄耳平「大変だあ。」
と本庁に電話。無線で芝からジョーカーに乗るKにも連絡がいきました。
芝大造「葉山博士が攫われた。記憶喪失だと油断したのが行けなかった。」
知らせを聞いたKはレーダーをみました。
ロボット刑事K「反応があった。芝刑事、葉山博士のポケットに入れておいた反射板が役に立ちました。これから直ちに追跡に移ります。」
なんと。ハリサスマンは藪をつついて蛇を出してしまったのです。
そうとも知らないハリサスマンは能面を着けた男と一緒に葉山博士を電流で拷問することに。しかも良一の目の前でです。
能面を着けた男「今度電流を流されたら、死んでしまうかもしれないよ。」
葉山良一「やめて。僕、本当に知らないんだ。」
しかし男は構わず電流を流すスイッチを入れました。苦しむ葉山博士。
葉山良一「やめて。」
能面を着けた男「喋ってしまえ。」
その時、椅子に縛り付けられていた良一が能面を着けた男の顔を蹴りました。足が当たって男の能面が外れてしまいました。
能面を着けていた男「俺の顔を見たな。生かしておけない。殺してしまえ。」
そういうと男は慌てて能面を着け直しました。良一に近づくハリサスマンを見て
葉山博士「待ってくれ。」
葉山良一「父さん。」
葉山博士「良一。」
なんと都合の良い展開なのでしょうか。兎に角、それを聞き
能面を着けた男「お。意識を回復したとなれば話は別だ。小僧の命を助けてやる。設計図のありかを言え。」
葉山博士「言う。言うから息子に乱暴はしないでくれえ。」
能面を着けた男「(葉山博士に掴み掛かり)さあ、言え。どこに隠してあるんだ、言え。」
葉山博士「設計図は、良一の。」
葉山良一「言わないで。お父さんの発明を悪い人に渡しては行けないよ。」
能面を着けた男「(良一に掴み掛かり)この野郎。」
とその時、ドアが開きました。
Kが駆けつけたのです。新條と芝も駆けつけ、葉山博士を救出。逃げる能面を着けた男を追いかける新條。
芝大造「新條、逃すな。」
しかし新條は有楽町駅のそばで男を見失ってしまいました。
芝、新條、Kは葉山博士と良一を本庁に連れ帰り、前科者カードから「社長」を割り出そうとしましたが、この中にはいません。
芝大造「とすると社長って男は前科がないことになるなあ。」
手掛かりなし。
芝大造「機械野郎は機械野郎でへんてこりんなロボットを取り逃すし、全く何の役にも立たない鉄屑だ。」
Kは「すいません」と言う他ありませんでした。
その頃、能面を着けた男、まあその正体は察しがついていたと思いますが、黒沼社長はバドー首領と話をしていました。
黒沼社長「バドー、私は小僧に顔を見られた。あの小僧を殺してくれえ。」
バドー首領「バドーは契約者の安全を守る。だから小僧を殺す。ハリサスマンよ、行け。」
ハリサスマン「はい。」
黒沼社長「ハリサスマン。頼む。頼む。」
翌朝。小学校の前に交通整理のダンボールロボもとい男が立っていました。Kがジョーカーで良一を連れてやってきました。先生(本田圭子)に出迎えられて良一は学校の中に入りましたが、Kはダンボールロボの中身が前回とは別人(?)であることに気づきました。
ロボット刑事K「危ない!」
Kは学校の中に入ろうとするダンボールロボにタックル。その中身はハリサスマン。
ハリサスマン「小僧、死ね。」
Kは咄嗟にコートを投げてハリサスマンの針から良一と先生を保護。
ハリサスマン「くそ。」
ハリサスマンと格闘するK。その時、良一は学校の前を走る車を見て
葉山良一「あの男だ。Kさん、あの車に社長が。」
なんというミス。
ロボット刑事K「よし、追跡だ。」
ハリサスマンの妨害もふりき理、Kはジョーカーに良一を乗せて車を追跡しました。空も飛んでナンバーも確認することに成功。そしてついに本庁で
葉山良一「(車の所有者の写真を見て)この男だ。」
新條強「間違いないかい。」
葉山良一「うん。」
社長の身元が判明。
新條強「日の出商事の黒沼社長です。」
芝大造「日の出商事と言やあ世界各国に支社を持つ大会社じゃないか。」
葉山博士「超一流の商社社長。信じられませんなあ。」
Kは芝に進言しました。
ロボット刑事K「任意出頭の形でも調べる必要はありますよ。何しろ、彼の背後にはバドーが。」
芝は決断しました。
芝大造「そうだ。これは千載一遇のチャンスだ。」
と言うわけで芝と新條は黒沼を連行しましたが、ハリサスマンは隙を突いて黒沼を殺してしまいました。ハリサスマンをKが追跡。今回は船の科学館の辺りで格闘です。ご丁寧にも
ハリサスマン「船の科学館で決着をつけてやる。来い。」
と宣言します。Kの目の色が赤くなり
ロボット刑事K「ゴー!」
格闘は続き、船の科学館の建物の上に場所を移して戦闘が続行されます。Kが建物から落ちたショックでなんと
ロボット刑事K「目が見えない!」
野田圭一のナレーション「Kの恐れていた瞬間が来た。今のショックで応急処置の視覚回路が切れてしまったのだ。」
これは当然好機と見たハリサスマンはKに近づき
ハリサスマン「盲ではどうにもなるまい。殺してやるぞ。」
と攻撃を続行。ハリサスマン優勢。Kは敗れ去るのか? そこへ
ハリサスマン「生意気な。釘付けだ。」
と両耳から針を発射してKの既に見えていない両目にブッ刺して釘付けにしてしまいました。
ハリサスマン「これで動けまい。死ね。」
しかしKは気がつきました。自分の真ん前にハリサスマンがいることに。と言うわけで
ロボット刑事K「今だ。破壊銃。」
愚かなハリサスマンはロボット破壊銃で倒されたのでした。
Kの視覚回路は完全になおされたのでしょう。さて設計図のありかは、多分、おわかりかと思いますが、良一が作ったロボット刑事Kの粘土像の中に隠されていました。
芝大造「こんなところに隠してあるんじゃ、誰にもわからない筈だ。」
確かに劇中で知っているのは葉山博士だけ。
葉山博士「皆さん。おかげで守り通すことができました。ありがとうございました。」
新條強「いやあ、いやあ、いや。良一君の勇気のおかげですよ。それより博士、アスカ号の完成、楽しみにしてますよ。」
新條の後ろに映っている地図は川崎市の地図だと思います。それは兎に角
葉山博士「はい。あれ、Kさんは?」
その頃、Kは子供達に囲まれ、粘土像のモデルにされ、右往左往して困っていました。そして改めてバドー犯罪シンジケートを叩き潰すことを誓うのでした。
バドーの契約者が替わったり、設計図のありかやKの視覚回路の使用制限など結構盛りだくさんの話でした。まあよく見ると、秘密を知る者が記憶喪失になったり、使用制限があったりするのは『帰ってきたウルトラマン』にも登場した題材だったりしますが、面白ければ、それでいいのです。
さて次回は伊上勝が脚本を書いた前後編。今度はバドー首領とKが対峙するそうですが、息子の井上敏樹が紙芝居のような作風(一応褒め言葉)と評した方ですので過度の期待はせずに、ほどほどに楽しみましょう。