今回はロボット刑事 第13話「悪魔の煙に気をつけろ!」(脚本:中山昌一、監督:内田一作、助監督:高橋正治、技闘:三隅修 (C) 東映)を紹介しましょう。この話から技闘担当が当時JACに所属していた三隅修さんに替わります。何故かクレジットは「三角修」となっています。どちらが正しいのか私は詳しくは知りませんが、クレジットが間違っているのだと思います。
さて冒頭は東都競馬場。坂井社長(池田忠夫)と坂井の部下(小沼和延)が話をしています。
部下「社長、バドーの犯罪組織っていうのは信用できますかねえ。」
坂井社長「まあ今日の奴らのやり方を見てから決定する。」
さて競馬場の通用門から売上金が銀行へ運び出されようとされているところへドクガスマン(声:北川国彦ではなくて八奈見乗児)がパラシュートで降りてきました。
ドクガスマン「あのトランクだ。」
やはりその声は八奈見乗児さんの声です。ドクガスマンは現金輸送車を襲撃。
警備員「貴様、何者だ。」
ドクガスマン「バドーのロボット、ドクガスマンだ。」
その顔や体は丸く、口は何かを噴射できるようになっています。ドクガスマンは毒ガスを噴射して警備員を全員倒し、札束の詰まったトランクを難なく入手。その金額はざっと4億円。
事件の知らせはKと新條の乗るジョーカーにも行きました。
さてその頃、ドクガスマンが大きなマントを羽織って大きな帽子を被って歩いていました。団地からパシャパシャ写真を撮っていたシンイチ少年(西脇政敏)はそれを見てしまいました。そしてドクガスマンの帽子が脱げてしまい、慌てて拾って被るドクガスマンでしたが、その様子もシンイチは写真に撮っていました。
シンイチ「とくダネだあ。」
と喜んで外へ出るとジョーカーが通りかかりました。なんと都合の良い展開。Kを見て「ロボット」とビビるシンイチでしたが、新條から警察の者だと聞いて一安心。
シンイチ「よかった。僕はねえ、この5階のバルコニーから、この望遠ズームで見ていたら、ロボットみたいな怪しい男が。」
というわけで新條はシンイチをジョーカーに乗せて現場へ急行。
シンイチ「あ、あれだ。」
見ると陸橋の上をドクガスマンが歩いています。ちなみにロケ地は今の月島駅から豊洲へ向かう道にある陸橋。月島方面に向かって走ったところのようです。ドクガスマンがアジトらしき倉庫に入っていくのを見届けて、ジョーカーはそこへ移動。シンイチをジョーカーのところで待たせてKと新條は倉庫の中に入りました。さて中では
ドクガスマン「バドーから派遣されてきたドクガスマンの腕前はこの通りだ。」
坂井社長「思ったより立派だ。」
ドクガスマン「君達の協力者として最高のものと思っている。では契約書にサインを願おう。」
坂井社長「しかし、今度の計画は。」
この言種に怒ったドクガスマンは火炎放射して威嚇。やむなく坂井社長は契約したのでした。このやりとりをKと新條は見ていました。物音がしたので
ドクガスマン「誰か来たようだ。早く行け。」
と坂井社長と部下を裏口から逃しました。坂井の部下は外で出るとKと新條が入った戸に錠をかけてしまいました。その音を聞いたKと新條は戸を開けて外へ出ようとしましたが、出られるわけがありません。高笑いする坂井と部下でしたが、その様子をしっかり見ていたシンイチがカメラに撮っていた事には気づいていませんでした。さてKと新條のところにドクガスマンが登場。新條の拳銃が通用するわけがなく、Kがドクガスマンとの格闘開始。その頃、坂井と部下は車で逃げましたが、シンイチがジョーカーの無線機でこう言いました。
シンイチ「警察ですか? 新條刑事とロボット刑事Kさんが大変です。助けてください。」
倉庫の中ではドクガスマンが噴出したガスが充満。新條は倒れてしまいました。
ドクガスマン「ロボット刑事、今度は貴様の番だ。」
Kと格闘するドクガスマンはKに直接ガスを噴射。
ドクガスマン「このガスは貴様の体も解かす力があるのだ。死ね。ロボット刑事。」
だそうです。その頃、本庁にいた芝は
芝大造「何。新條とKが。わかった。すぐヘリコプターで現場へ急行する。」
そしてヘリコプターで出動する芝。
さて倉庫の中では新條が苦しんでいます。
ドクガスマン「毒ガスの効き目が現れてきたなあ。」
Kの動きも緩慢としたものです。ヘリコプターが倉庫の上空に到着。Kも新條も苦しんでいるとシンイチの声が。
シンイチ「鍵が開かないんだ。」
新條は鍵に向かって発砲しようとしましたが
ロボット刑事K「待ってください。新條刑事。拳銃を撃てば、この倉庫は充満したガスで一瞬のうちに爆発します。」
さあ困りました。とそこへ芝が駆けつけました。外にいた芝は拳銃で錠を破壊。戸を開けることに成功しました。即座に脱出に成功した新條。
芝大造「新條、大丈夫か?」
新條は答えました。
新條強「親父さん。ロボットはKが捕まえるだろうが共犯者を逃したのが残念です。」
ですが
シンイチ「刑事さん、大丈夫。その男達は僕が撮ったよ。」
それを聞いて
芝大造「(シンイチの頭を撫でながら)そいつは大手柄だ。」
シンイチ「僕の腕前は確かだから。」
シンイチはそういうと首にかけていたカメラを首から外して両手で持っただけの状態になりました。その瞬間
ドクガスマン「小僧、よくも。」
ドクガスマンはカメラを叩き落としたようですが、瞬時にKが中から登場。ピンピンしています。曰く
ロボット刑事K「あんな子供騙しの毒ガスで倒せると思っているのか!」
だそうです。なおも格闘は続きます。新條が投げ手錠で捕まえようとしましたが、ドクガスマンはものともせず、逆に新條を投げ飛ばす始末。
芝大造「新條。」
思わず駆け寄る芝。ドクガスマンに体当たりして格闘しますが敵うわけがありません。ドクガスマンは投げ手錠がついたまま逃走。新條は路上を引きずられる羽目に陥りました。ジャンプしてKがドクガスマンの進路を塞ぎ、投げ手錠を跳ね飛ばしたので新條は解放され、しばらくKとドクガスマンは格闘しました。この時の格闘のロケ地は月島にも近い佃の辺り。そしてジャンプして戦いの場は観光地としても有名な佃小橋の上に移動。しばらく戦いが続きましたが
新條「K。」
芝も駆けつけたので不利と見たドクガスマンは逃走。隅田川の堤防の脇で戦います。そして
ドクガスマン「ドクガスマンの奥の手を見せてやる。」
と言うや否や、ガスを全身から噴出して文字通り、Kを煙にまき、その隙にドクガスマンは飛び去ったのでした。駆けつける新條、芝、そしてシンイチ。
新條「逃したかあ。だが坊やが撮ってくれた写真がある。」
シンイチ「でもカメラが壊れてしまったんだ。これ、お父さんの商売道具なんだ。」
それを聞いて芝が尋ねました。
芝大造「何、お父さん、写真屋さんかい。」
シンイチ「うん。」
芝と新條が困った顔をしたところでCM挿入です。
CMが明けるとここは芝家。芝は貯金を下ろしてカメラを弁償しようと由美に言っていたところへ新條から電話がかかってきました。曰く、シンイチの父親カシマシュンサク(有馬昌彦)はカメラは他にあるので弁償しなくてもいい、ただ、シンイチの身に危険が降りかかるような事は絶対に困る、と話していたとのことでした。
芝大造「それでKをシンイチくんの警戒に当たらせたんだな。」
さてその夜。カシマがフィルムを現像した事によりKのところに坂井と部下の写真が渡りました。ドクガスマンはカシマ家に侵入。Kとカシマのいる部屋に鍵穴から毒ガスを注入しました。それに気がついたKは
ロボット刑事K「危ない。」
カシマの入居する団地の部屋が爆発。逃げるドクガスマンの進路をKが阻みました。後でわかりますが、カシマもシンイチも無事です。
ロボット刑事K「ドクガスマン、貴様達は。」
ドクガスマン「目的のためには手段を選ばぬ。それがバドーのやり方だ。」
逃げるドクガスマンに対して
ロボット刑事K「逃さんぞ。」
しばらく格闘した後、ドクガスマンはまたガスを噴出して飛び去りました。ロケ地は東映生田スタジオのそばのような気がします。
ドクガスマン「覚えていろ。この仇はきっと討つからな。」
さて隠れていたカシマとシンイチがKと合流。
その翌日。Kはシンイチを乗せてジョーカーで空を飛んでいました。シンイチの頼みでKは「犯人」すなわちドクガスマンの捜索に乗り出す事にしました。
さてドクガスマンと坂井達は東和銀行の現金輸送車を襲おうとしていました。それをジョーカーのガス探知機が作動した事により検知したK。シンイチは坂井の車を発見。
ロボット刑事K「そうか、シンイチ君、偉いぞ。早速、芝刑事に連絡だ。」
無線で連絡した後、ジョーカーは降下。晴海のフェリー桟橋の辺りで先回りした坂井の車は東和銀行の現金輸送車の進路を塞ぎました。ドクガスマンが火焔を放射して警備員を焼死させ、今度は毒ガスで残りの警備員を倒し、火焔を放射してバックドアを開けました。
ドクガスマン「速く金を奪え。」
と全員、車を降りたところでKが登場。
ドクガスマン「また来たな。」
ロボット刑事K「夕べは承知の上で逃したのだ。」
驚くドクガスマン。
ロボット刑事K「おかげで今日は共犯者も現行犯で逮捕できる。」
ドクガスマン「できるものならやってみい。」
Kの目の色が赤くなりました。
ロボット刑事K「行くぞ。ゴー!」
ブレザーを脱いで戦闘開始です。坂井の車は現金を積んで逃走。それを見届けてドクガスマンは空へ。Kも追いかけて空を飛びました。結構、飛んだ後、Kはドクガスマンに追いつきました。空中で格闘するKとドクガスマン。坂井の乗る車はパトカーに進路を阻まれ、坂井と部下を新條が逮捕しました。ドクガスマンは空中で格闘したり逃げたりしましたが、最終的にはKに叩き落とされて失速し、多分、晴海の辺りの砂利置き場に落ちました。鉄道の線路も見えます。
ロボット刑事K「ドクガスマン、もう逃げられはせんぞ。」
ドクガスマン「何を。」
しばらく格闘するKとドクガスマン。最終的にドクガスマンはトラス橋の一番上に登って空を飛んで逃げようとしましたが
ロボット刑事K「逃しはせんぞ、ドクガスマン。」
ロボット破壊銃で倒されたのでした。その直後
ロボット刑事K「しまった。空中戦でエネルギーを使い果たしてしまった。速くマザーからエネルギーを補給しないと。」
事件解決後、カシマとシンイチは芝家や新條と一緒に遊園地へ行ったのですが
シンイチ「新條さん、Kさんはどうして来ないの?」
とシンイチが尋ねました。由美と奈美は、芝がKを嫌っているからだと無責任なこと(?)を言いましたが
芝大造「誰がそんな事を言った。新條、どうして連れて来なかった?」
新條もKを呼ぶ事までは頭になかったらしく、というか、由美と奈美と同じことを思っていたようで
新條「え!? すいません、どうも。」
と言って誤魔化しました。
その頃、Kはマザーを呼んでエネルギーを補給している最中。
野田圭一のナレーション「バドーのロボット、ドクガスマンを死闘の末、倒したロボット刑事K。だが人間の喜びに浸れぬKにとって唯一の憩い。それはマザーロボットの元でエネルギーの補給をする時だった。」