はじめに
この記事では第4話「紅のキック! 砕けミクロ大作戦」を紹介します。今回はペギー松山主役です。脚本は今回も上原正三、監督は山田稔です。
黒十字軍、ゴレンジャーの戦力を解析す
ここは無藤細菌研究所。ヒスイ仮面が配下(打田康比古ら)にゴレンジャーの戦力分析結果を説明しています。スライド使用と言うのが時代を感じさせるところです。少々長いですが、ゴレンジャーの設定を明確に物語っているので引用しましょう。良く聞くと、未だ作中では明確に描かれていない設定もありますよ。
海城剛。アカレンジャーだ。ゴレンジャーのリーダー格で鞭と麻酔銃を武器としている。もっとも注意すべき男だ。
新命明。アオレンジャーだ。ゴレンジャーの副リーダー的存在で武器は弓。いかなる時も冷静さを失わない、これも警戒すべき男だ。
大岩大太。キレンジャーだ。カレーライスの好きな少々鈍い男だが、通信に強く、またその怪力は並々ならぬものがある。
ペギー松山。モモレンジャーだ。女だてらに爆弾に強く、彼女のアクセサリーは全て爆弾と見ても良い。それに女だと思って侮るな。特に彼女のキック爆弾は恐るべき破壊力がある。
明日香健二。ミドレンジャーだ。まだ17歳の少年だが、必殺武器のブーメランを操る。こいつも油断ならぬ小僧だぞ。
とその時、脱走者が2名出ました、ゾルダーは毒の入った銃を打ちました。一人は倒れましたが、もう一人は脱出に成功。追おうとするゾルダーにヒスイ仮面は、ほおっておいてもあの男は死ぬ、と言って、追跡をやめさせました。
ペギー、事件を察知
ところが脱走者はスナックゴンのそばにある、新都心歩道橋に到達。彼をペギーが発見しました。場所は大和証券の支店だか支社だかがあったあたりです。脱走者は「ヒスイ…ヒスイ仮面が…」と言い残し、倒れてしまいました。ペギーは病院に彼を運び込みましたが、最終的には死んでしまいました。見たこともないカビにやられたのです。ペギーは女性記者に変装し、「近くにある」無藤研究所を調べることにしました。
無藤研究所にて
ペギーは例のカビを無藤研究所へ持ち込みました。「無藤博士」(北原義郎)は事件には関係ないでしょうと言いますが、その時、「助けてくれ。」と言う悲鳴が。助手(打田康比古)は「九官鳥ですよ。」と言って誤魔化しました。ペギーは騙されたふりをして一旦退散…と見せかけて研究所の調査を開始しました。
さて「無藤博士」はカビの培養に成功したと大喜び。気球が完成したとの報告も受けて大喜びします。
一方、ペギーは新しい血糊を発見…した途端にゾルダー登場。ペギーはモモレンジャーに変転して撃退します。なおも研究所を探るペギーは本当の無藤博士が監禁されている場所を発見しますが、逆に閉じ込められてしまいました。そこへ「無藤博士」と助手が登場。「無藤博士」はヒスイ仮面だったのです。彼らはヒスイカビを使って人間を大量に殺す事を計画していたのです。
ペギー「ヒスイ仮面の陰謀は私が打ち砕いてやる。」
ゴレンジャールームにて
CM明けて総司令がわざわざゴレンジャールームにやってきました。総司令は脱走者から検出されたカビの話をします。
総司令「君達の任務は」
大岩「無藤博士の」
明日香「研究所を探れ、ですね。」
大岩「よし、行こう。ペギーを探しにのう。」
再び無藤細菌研究所にて
大岩と明日香は無藤細菌研究所へ行きますが、出てきた下男に、無藤博士は留守だという事と女の子(ペギーのこと)が先程来たがどこかへ立ち去ったと言われます。二人は一旦、退散。下男はゾルダーの変装でした。早速、助手はゾルダーにゴレンジャーのメンバーの顔写真を示し、大岩と明日香が来た事を察知します。ですが、ペギーが来ていることには、この時点まで気が付いていませんでした。
助手「すると、この娘は…変装していたので気がつかなかったが、モモレンジャー。」
助手はゾルダーに地下牢へ行くように命じます。
助手の懸念通り、ペギーは地下牢の扉を破壊していました。間一髪のところでヒスイ仮面が駆けつけ、ペギー達の脱走を阻止。
ヒスイ仮面「冥土の土産にいいものを見せてやろう。あれをみろ。」
ヒスイ仮面は気球を使ってヒスイカビの胞子をばら撒き、人類を一人残らずヒスイ人間にしてしまう事を計画していたのです。
今回のなぞなぞ
なんと大ちゃんと明日香はゴンにいます。当然、大ちゃんはカレーを食べています。なんと鈍い人達でしょう。さて新命はタバコを吸いながら太郎に白いギターを弾いてやっています。
加藤陽子「カレーばかりよくそんなに食べられるわね。」
大岩「何だか腹減ってのう。」
そこへ
太郎「ねえねえ。鯨より大きくてメダカより小さい魚、なあんだ?」
大岩「今、なぞなぞどころではなかとよ。心配事があってのう。」
と言いながらカレーを食べています。
マスター「それにしてはよく食べるじゃないか。」
新命「やけ食いさ。」
それを聞いた大ちゃんは
大岩「なんば言っとる、新命どんは。だいたい、鯨より大きくてメダカより小さい魚なんて、いるか?」
「鈍い」大ちゃんは自分が答えを言ったことに気づいていません。
太郎「大当たり。」
大岩「へ? なんで当たりじゃ?」
と言いながらもカレーを食べようとする大ちゃんに
明日香「あれ、知らなかったの? ダメだなあ。さ、新しいなぞなぞを教えてあげるね。」
と太郎の相手をはじめました。とそこへ008と009が戻ってきました。そして無藤博士が今朝庭を掃除しているのを見た人がいるという情報をマスターに伝えました。
マスター「おい、こら。」
大岩「なに!?」
明日香「ホントか!?」
大岩「騙されたんじゃ。明日香。」
カレーを一口食べてから、大岩は明日香と一緒に出動しました。畠山麦さんは芸が細かいですね。絶対にアドリブでしょう。一方、マスターは新命に目配せ。バリブルーンも出動です。
ついに気球、空へ飛ぶ
ついに気球は発進しました。ペギーは最後の抵抗を試みますが、そこへキとミドが駆けつけ、ペギーと無藤博士達を救出します。ヒスイカビが気球に積まれていると聞いたミドはミドメランで撃ち落とそうとしますが
アカ「待て、ミド。気球を爆破してみろ。カビの胞子が飛び散って、取り返しのつかんことになるぞ。」
モモ「放っておいても胞子をばら撒き始めるわ。」
とそこへ
ヒスイ仮面「その通りだ。」
ヒスイ仮面軍団登場。勝ち誇って更にこう言います。
ヒスイ仮面「お前達4人がどうあがいてみたところであの気球を止めることはできないのだ。」
悔しがるモモ。だがアカは「落ち着け」と余裕です。ヒスイ仮面は大事な事を忘れているのに気づいていませんでした。
さて空飛ぶ気球にバリブルーンが近づきました。そう。アオレンジャーが残っていたのです。アオは気球のゴンドラに乗り込み、ゾルダーを倒しました。そして気球を奪い、ご丁寧にもこの垂れ幕を下ろします。
ザ
ン
ネ
ン
デ
シ
タ
名乗り
アオはヒスイカビの制御装置を持って他の4人と合流。その後、前から順にアカ、アオ、キ、モモ、ミドに並びます。
ヒスイ仮面「貴様達は?」
アカ「アカ」
アオ「アオ」
キ「キ」
モモ「モモ」
ミド「ミド」
アカ「五人揃って」
全員「ゴレンジャー」
ここからかかる曲はエンディングですが、名乗りのセリフはまだ完成形にはなっていません。ポーズは後のものになっています。
一方、その後の戦闘スタイルは後の話に近くなっています。
キ「おどば阿蘇山たい。怒ればでっかい噴火山たい。」
モモ「いいわね、行くわよ。」
ヒスイ仮面は逃走しようとしますが
モモ「逃さないわよ。それー。」
イヤリング爆弾が炸裂。それでもヒスイ仮面は気球に乗って逃げ去ろうとします。
ヒスイ仮面「さらば、ゴレンジャーの諸君。」
ゴレンジャーストーム
アカ「ゴレンジャーストームだ。」
後ろからアカ、アオ、キ、ミド、モモの順に並び
アカ「ゴー。」
モモ「OK!」
一同は散りました。
モモ「行くわよ。キ、キー。」
まるで猿が鳴いているみたいな響きですな。
キ「任せんしゃい。ミド。」
キはヘディングです。
ミド「OK! アオ。」
アオ「OK! アカ。」
アカ「トイヤー。(ジャンプして)フィニッシュ。」
ヒスイ仮面はこうして倒されました。
黒十字総統、激怒
またしても配下の仮面怪人を失い、黒十字総統は激怒します。
毒ガス仮面「ゴレンジャーの始末は私、毒ガス仮面がいたします。」
最後は臨海副都心にある船の科学館付近などを走るゴレンジャーを映しておしまいです。この頃の臨海副都心の辺りは何もない原野で、特撮番組の定番ロケ地になっていました。
おわりに
今回はペギーが主役です。相手も因縁のヒスイ仮面。ということは次回は…そう、明日香が主役です。ゴレンジャーの見事なところは各人のキャラクターを5回使って明確に描いていったところです。熱いリーダー海城剛、クールなサブリーダー新命明、少々鈍い三枚目の大岩大太、紅一点だが侮れないペギー松山。さて明日香健二はどんな人物なのでしょうか。次回は明日香のキャラクターが描かれます。
一方、脚本は第1話からずっと上原正三さんが書いています。緩急自在な作風はゴレンジャーと「がんばれ!!ロボコン」の両方で炸裂し、この後、ヒートアップします。
これに対して殺陣の方は未だ未だ試行錯誤が続きます。高橋一俊さんが基礎を築くのはいつになるのか。ここも初期編の見どころです。