はじめに
この記事では第8話「黒い恐怖! 殺しの毒牙」を紹介します。脚本は高久進と新井光の師弟コンビ、監督は山田稔です。
事件発生
一人の男(トニー・セテラ)がゾルダーに追跡されていました。そこへアカ、アオ、ミドが現れ、男を救出。同時に毒牙仮面が登場。必ず男を暗殺すると宣言します。アカ、アオ、ミドは何とか撃退に成功。その男、Mr. スコットの護衛が今回の任務でしたが、江戸川総司令は彼の正体をゴレンジャーにも明かしていませんでした。
Mr. スコットの護衛を引き継いだ大岩とペギーでしたが、Mr. スコットはタクシーに一人で乗ってしまいました。大岩とペギーは慌てて追いかけます。
Mr. スコット来日の目的は?
Mr. スコットは墓参りをしていました。キリスト教式ですね。Mr. スコットは白黒写真を懐から取り出し
Mr. スコット「お前のママに一度会いたかった。」
それをしっかり目撃していた大岩とペギー。Mr. スコットが立ち去った後で
大岩「誰の墓じゃい。」
ペギー「聖マリアンヌ ジェイムス・サチコ。日本人らしいわね。」
なお「1928 - 1969」とあることから、(番組放送当時から)6年前に亡くなったようです。
その後、Mr. スコットが公衆電話ボックスに入ったところで、また毒牙仮面が襲撃してきました。キとモモはMr. スコットを救出。アオとミドも現場に駆けつけたので毒牙仮面はまたも退散しました。なおこの公衆電話のロケ地は前回ペギーが「逮捕」された場所から坂を降りたところ、すなわち、東映生田撮影所とは目と鼻の先にあります。
ゴレンジャールームにて
江戸川総司令「Mr. スコットはノーベル賞を受賞した平和主義者だ。彼の主義によって多くの人々が黒十字軍と戦う決意を固めている。黒十字軍は彼を暗殺することによって世界を混乱に陥れようとしているのだ。」
おや、大岩の姿がありませんよ。他の4人はいるのに。
海城「それで黒十字軍が狙う理由はわかりましたがね、彼は何をしに日本へ来たのですか?」
総司令はそこまでは把握しきれていなかったようです。調査中だと答えました。
総司令「ところで、Mr. スコットは大丈夫だろうなあ。」
明日香「それは大丈夫ですよ。大岩さんがつきっきりでガードしていますからね。」
それで大岩の姿がなかったわけですね。ですが、それを聞いた総司令は
総司令「え! あいつがか。」
と不安を口にします。その途端
大岩「(無線で)みんな、大変じゃ。」
新命「どうした?」
大岩「おいどんがカレー食っている隙にMr. スコットがいなくなってしもうた。」
総司令の懸念的中。小声でぼやきます。
総司令「やってくれるよな、全く。」
総司令は残りの4人に探索を命じました。とゴレンジャーと入れ替わりに008と009が到着。Mr. スコットの来日目的が判明したと言うのです。
Mr. スコットの来日目的
Mr. スコットは15年前に生き別れになった娘と会いに来たのです。娘の名前はエミ(エイミー岡田)。新宿のブティックで働いています。Mr. スコットはそこへ向かったに違いありません。総司令は急行するように命じます。
当然のことながら、毒牙仮面もその情報を掴んでいました。黒十字総統は早速急行するように命じました。
Mr. スコット、スーパーコブラの猛毒にやられる
エミーの働くブティックにMr. スコット登場。毒牙仮面が化けたエミによって、毒蛇の毒を打たれてしまいました。病院に運びましたが医師(中村孝雄)は手の施しようがないと言います。血清がないのです。
医師「あの毒蛇はスーパーコブラと言って、キングコブラとゴアを掛け合わせた猛毒を持つ新種です。あのスーパーコブラの血清は東京中を探してもないはずです。」
明日香「どこに行けばあるのです?」
医師「一番近いところで伊豆のスネークセンター。しかし、1時間以内に血清を取り寄せることは不可能でしょう。」
これを聞いた海城は落ち着いてこう言いました。
海城「1時間以内にその血清を打てば間に合うんですね?」
と言うわけでバリブルーン出動となりました。
バリブルーン発進、ゴー
新命「OK! (大岩に)元気を出せよ。ゴー。」
大岩「あいな。」
と言うわけでバリブルーン、発進。
新命「大ちゃん、準備OK!」
大岩「ラージャー。」
新命「よーし、ゴー。ゴー。」
発進するバリブルーン。
大岩「こうなったのもみんなおいどんの責任じゃ。血清は必ず間に合わせるばい。新命どん、お頼み申す。」
新命「ああ。頑張ろう。」
スネークセンターにて
CM明けてスネークセンターに到着した新命と大岩でしたが、スーパーコブラの血清は「たった今」奪われたばかりでした。
大岩「まだそう遠くへは行ってない筈じゃ。」
と言うわけでブルーマシーンで追跡する新命と大岩。ゾルダーの乗るジープに追いつきました。
新命「あいつらだ。大ちゃん、行くぞ。」
大岩「あいな。まかせんしゃい。」
大岩はゾルダーのジープに飛び乗り、血清の奪回に成功したのでした。
今日のなぞなぞ
一方、スナックゴンにはエミがいました。ペギーと太郎もいます。
エミ「じゃあ、こんなのはどう? 歯がたくさんあるのに何にも食べられないものな〜んだ?」
太郎「簡単簡単、ノコギリじゃないか。」
エミ「坊や、本当になぞなぞの天才ね。」
太郎「それほどでもないよ。」
007「太郎、いい加減にしなさい。」
エミとMr. スコットの確執
エミはMr. スコットと会うのを拒否していました。
エミ「私のパパは15年前に死んでしまったの。ママは小さい私を育てるのに苦労した。」
007「それで亡くなったのね。」
頷くエミにペギーはこう言います。
ペギー「お墓は府中にあるわ。」
エミ「なぜ知ってるの?」
驚くエミに
ペギー「スコットさんはお墓の前でお祈りしてたのよ。」
それを知り、エミは沈痛な表情になります。
Mr. スコット、危篤に
Mr. スコットはうわ言でエミの名を呼び続けていました。病状は予断を許しません。海城はエミを連れてくるように総司令に連絡。そしてエミは病室に連れてこられました。
海城「エミさん、お父さんと呼んであげなさい。」
それでもエミは呼ぼうとしません。病院の外には毒牙仮面がおり、偽の血清を用意していました。
海城「エミさん、あんたのお父さんは世界平和の役に立つ論文を完成するために、あんたとお母さんを残して国へ帰った。今度来日したのは、あんた達を連れて帰るためだ。それでもお父さんを許せんと言うなら、それでもいい。だが、一人の外国人を助けると思って名前を呼んであげなさい。」
その言葉を聞いたエミ。さらに
医師「間に合わん。」
ついに
エミ「パパ、私よ、エミよ。パパー。」
Mr. スコット「エミー。」
そこへ偽医者登場。偽の血清を打とうとしますが、海城に阻止されます。ですが、エミは毒牙仮面に連れ去られてしまいました。バリブルーンは病院に到着。アオとキによって血清は無事に届いたのでした。
名乗り
エミを連れ去った毒牙仮面の前の崖の上にアカレンジャーが立っていました。
毒ガス仮面「ん! 貴様は。」
以後、順番に名乗りながら飛び降りていきます。
悔しがる毒牙仮面。
毒牙仮面「おのれ。」
でいつの間にか並び方が横になり左から順にアカ、アオ、キ、ミド、モモに並んで
アカレンジャー「5人揃って」
画面の角度が変わり、アカから順に縦に並んだような形になって
全員「ゴレンジャー」
かかる曲はオープニング。まだまだ完成型には至りません。
戦闘開始
毒牙仮面はエミを連れて逃走。ゴレンジャーも追いかけますが、エミはスネーク爆弾で取り囲まれていました。
毒牙仮面「この蛇笛の音で爆発する。この娘を助けたかったら、スコットを連れてこい。スコットと引き換えにこの娘を助けてやる。嫌なら…」
これを聞き
アカ「やむを得ん。彼を連れてこよう。」
アオ「正気か?」
この時、毒牙仮面に隙ができました。
アカ「レッドビュート。」
アカは蛇笛を叩き落すことに成功。エミは無事に救出されるのでした。
ゴレンジャーストーム
アカ「ゴレンジャーストームだ。」
モモ「いいわね、行くわよ。」
ボールはまだ白いまま。それを地面に置きながら
モモ「ゴレンジャーストーム。キー。」
キ「任せんしゃい。アオ。」
アオ「OK! ミド。」
ミド「よーし、アカ。」
アカ「トイヤー。フィニッシュ。」
こうして毒牙仮面は倒されました。
戦い終わって
スナックゴンで大岩はカレーを食べています。今頃、スコットの国で親子水入らずの食事をしている頃でしょう。新命はカレーを食べる大岩に「水も欲しいってさ。」と言いながら玩具のヘビを出しました。それを007とペギーは嫌がるのでした。
おわりに
今回は高久進と新井光の師弟コンビが脚本を書いています。上原正三と比べるとギャグは抑え目で荒唐無稽なスパイアクションに徹した作風になっています。キレンジャーがカレー好きなのを突かれて失敗するわけですが、具体的には描かれておらず、無線連絡で終わらせるだけ。尺の関係もあって抑え目にしたのでしょうが、上原正三だったら、この部分も膨らませて書いたのは間違いありません。事実、第34話はそう言う場面があります。
さて殺陣の方は未だ固まっていません。ゴレンジャーストームのボールは白いまま。これはいつ固まるのでしょうか。試行錯誤はもうしばらく続きますよ。