今回はイナズマンF 第6話「ガイゼルの大要塞」(脚本:曽田博久、監督:山田稔、擬斗:高橋一俊 (C) 東映、東映エージェンシー)を取り上げましょう。この話では荒井誠の驚くべき設定が語られます。
今回の「挑戦者」はナイフデスパー(声:村瀬正彦)。その使命はニュータウンの地下にデスパー軍団の基地を作ることです。ウデスパーとナイフデスパーにより、ニュータウンの団地の住人は襲われます。
ウデスパー「一人残らず殺してしまえ!」
と殺しまくるデスパー兵士。特撮も実写も火薬を使いまくって破壊しまくります。ところが未知子(今井美佐子)と言う女性が逃走しまくります。これは今後の伏線です。ここで渡五郎と荒井誠はライジンゴーに乗って駆けつけました。デスパー軍団も当然察知。
ナイフデスパー「渡五郎、その先へは行かさんぞー。」
と言うわけで戦闘開始。
渡五郎「荒井さん、町へ急いでください。」
荒井誠「君一人を置いては行けん。」
渡五郎「僕は大丈夫。さあ、少しでも速く。」
荒井誠「よーし。任せた。」
と言うわけで荒井誠は町へ向かって走り出しますが、ナイフデスパーがナイフを腕から発射。荒井誠の左肩に刺さります。
渡五郎「荒井さん。」
荒井誠「心配するな。」
と言ってピンピンした感じで荒井誠は走り去りましたが
ナイフデスパー「見たか。ナイフデスパーの威力。あのナイフには猛毒が塗ってある。町へ着く前にあの男は毒が回って必ず死ぬ。」
慌てて五郎は荒井誠を追いかけようとしましたがナイフデスパーが妨害。やむなく
渡五郎「剛力! 将来!」
サナギマンはナイフデスパーの攻撃にも耐え
サナギマン「超力! 将来!」
と言うわけで
戦闘開始。その頃、荒井誠はナイフを引き抜いていましたが、ピンピンしています。何故なのか? 後で語られますが、先を急ぎましょう。イナズマンは荒井誠を心配して逃げました。
そして破壊され尽くした町を観て、誰もいない、と呟く渡五郎。デスパー兵士の目を掻い潜りながら移動します。
その頃、未知子は地下を移動していましたが、そこはデスパー軍団の地下基地。何か大きな円盤を作っているのを観てしまいました。しかも運の悪いことに
ガイゼル総統「見たな!」
見つかってしまい、慌てて未知子は逃走します。地上に出た未知子は運良く荒井誠と出会し、保護されました。あれ、荒井誠はピンピンしています。デスパー兵士を倒した後
荒井誠「しっかりしろ。もう安心だ。ニュータウンの人達はどうしたんだ?」
未知子「みんな、殺されたの。」
荒井誠「何?」
未知子「怖い。」
荒井誠「もう怖がることはない。元気を出しなさい。」
荒井誠と未知子は渡五郎と合流。
渡五郎「荒井さん。」
とりあえず、建物の中に避難する三人。落ち着いたところで五郎は気になっていたことを尋ねます。
渡五郎「荒井さん」
荒井誠「なんだ?」
渡五郎「肩の傷は?」
荒井誠「かすり傷だ。」
渡五郎「なんともないんですか?」
ナイフデスパーのナイフには毒が塗られているはずです。ところが返ってきた答えは
荒井誠「だからかすり傷だよ。」
納得いかない五郎は
渡五郎「でもあのナイフには毒が塗ってあったんですよ。」
荒井誠「はあ。俺には免疫があるんだろうよ。」
そんなバカな。
渡五郎「本当になんともないんですか?」
荒井誠「本当だ。いま、そんなことを話してる場合ではない。」
ごもっとも。直後にデスパー兵士に見つかり戦闘が始まり、CMに突入です。さてウデスパーとナイフデスパーもやってきて
ウデスパー「無駄な抵抗はやめろ、イナズマン。飛んで火に入る夏の虫が袋の鼠になったな。三人一緒とは好都合だ。仲良く死んでもらうぞ。」
さてこれを聞き
未知子「イナズマンって誰なの?」
知らなかったのでしょう。そりゃ不思議に思いますよねえ。渡五郎は答えず
荒井誠「イナズマンは正義の味方だ。」
さらに
未知子「あなた方は誰なんですか?」
そりゃ初対面だから知りませんよねえ。それどころではなかったのか
荒井誠「五郎君、ニュータウンの人は皆、殺されたらしい。」
五郎は無言。すると
ウデスパー「そこにいる女を出せ。」
そこで五郎は未知子に尋ねました。
渡五郎「君は奴らの秘密を何か知ってるのか?」
未知子は地下に何か大きな円盤みたいな物を作る工場があることを話しました。ですが、ナイフデスパーが待ちきれずに中に入ってきました。未知子は逃げましたが
荒井誠「出ちゃ行かん。」
と未知子を庇った荒井は背中をマシンガンで蜂の巣にされてしまいました…が平気です。思わず五郎が駆け寄りましたが
荒井誠「私は大丈夫だ。」
と未知子を連れて逃げました。怪訝に思う渡五郎でしたが
渡五郎「剛力! 将来!」
サナギマンに変転。結構長いこと戦った後
サナギマン「超力! 将来!」
イナズマンに変転しました。ナイフデスパーはイナズマンと戦おうとしましたが
ウデスパー「ナイフデスパー、次の戦いに移る。引き揚げろ。」
と言うわけで引き揚げてしまいました。次の作戦とは? と思う間もなくイナズマンは荒井誠と未知子と合流。
荒井誠「今まで黙っていて済まなかった。」
荒井誠は服のボタンを外して腹の辺りについている機械を見せました。
荒井誠「私はサイボーグなんだ。」
イナズマン「荒井さん。」
荒井誠「私も君と同じく人類の正義のために戦うのだ。」
実はそれだけが理由ではありませんが、この時は記憶を失っていますし、それは後に語られます。兎に角、荒井誠とイナズマンは両手で握手を交わします。さてイナズマンには引っかかることがありました。ウデスパーが言った次の作戦とはなんなのか? 荒井誠は未知子に地下工場の場所を尋ねると未知子は案内を引き受けました。
さてガイゼル総統が御満悦の最中に謎の大きな円盤が発進。乗っているのはナイフデスパーです。と言うわけで大まかな流れは読めたと思いますが、今回もライジンゴーが活躍します。円盤は横になり、回転ノコギリのような技を披露してライジンゴーに襲い掛かります。危うくかわすライジンゴー。しばらくライジンゴーのミサイルやらライジンゴーの体当たりやら円盤の逆襲やらと言った攻撃が続き、最終的にはライジンゴーの噛みつき攻撃で円盤は大破。墜落してしまいました。そして円盤は工場に落ちてそのまま爆発。辛くも地上にナイフデスパーは脱出してイナズマンと戦いましたが最終的には
イナズマン「念力パーンチ!」
を受けて倒されました。
最後は再度握手する渡五郎と荒井誠を映しておしまいです。
さて荒井誠は普通の人間ではなくサイボーグでした。この設定もスタッフで話し合って決めたのでしょう。荒井誠がサイボーグになった理由が語られるのはもう少し後ですが、このことも荒井誠がデスパー軍団と戦う理由の一つになっていることは確かです。まあ原作のように少年同盟が強力だったら荒井誠に交代させる必要もなかったのかもしれませんが、当時の特撮の技術では超能力者を複数出すのが難しかった…と思いましょう。
さて次回はウデスパーが単独で出撃する話。また上原正三さんが執筆する話が続きます。