ロボット刑事 第6話「恐怖の死刑マシン!!」を観た

今回はロボット刑事 第6話「恐怖の死刑マシン!!」(脚本:上原正三、監督:奥中惇夫、助監督:平山公夫、技闘:風間健 (C) 東映)を紹介しましょう。前回からの続きになっていますが、Kだけではなく、芝にも焦点が当たった話になっています。

さてKはコワシマン(声:塩見竜介ではなくて肝付兼太)に苦戦。作動回路にも支障を来たして動きが鈍くなっています。

ロボット刑事K「僕の武器が全く効かない。恐るべきロボットだ。」
コワシマン「ハ、ハ、ハ。俺は不死身ロボット、コワシマンだあ。」

やはり声は肝付兼太さんの声ですな。Kはコワシマンの攻撃をなんとか避けていましたが、ついに避けきれなくなり、一方的に足蹴にされる状態になりました。Kの目の色が黄色くなってしまいました。ぐったりしたKを見て、勝ち誇ったコワシマンはツタンの王冠をしっかり回収して立ち去りました。それからしばらく経ち

ロボット刑事K「このままでは動けなくなってしまう。早くマザーのところへ行くのだ。」

そして何とか立ち上がって例の海岸へ移動。マザーを呼びましたが、Kは力尽きて倒れてしまいました。マザーはKを回収。今までとは違って腹部が開いています。

さて盗難現場では芝が茫然自失で立っています。賊が屋上から侵入したと言う新條の言葉は辛うじて耳には入っていたようですが

芝大造「情無しの松ではなかったんだなあ。」
新條強「そうですねえ。Kの言っていた通り、こいつはロボットの仕業です。」

それを聞き

芝大造「わしもどうやら焼きが回ったようだ。歳かなあ。」

しばらく新條は何も言えませんでしたが

新條強「親父さん。」

と言うのがやっとでした。そこへ現れたのが地獄耳平。何か情報を持ってきたのかと思ったら

地獄耳平「やあやあやあ。これは見事にやられましたねえ。これはまさに怪盗ルパンですねえ。実に見事な手口。スマートですねえ。鮮やかですねえ。なして昭和の銭形平次と言われる芝の旦那がまんまと。へ、これは面白いや。」

芝は無言。返す言葉もないようです。流石に新條が胸ぐら掴んで咎めると

芝大造「新條。いいんだよ。」

それだけ言って立ち去ってしまいました。新條も耳平から手を離して立ち去ると

地獄耳平「ふん。へっぽこデカめ。そんな事だから盗まれてばかりいるんだよう。」

調子に乗った耳平が王冠の収納されていたガラス(?)ケースに近づくと、なぜか警備装置が作動して、降りてきた柵の中に閉じ込められてしまったのでした。

さて芝と新條は鴨野牛松(上田忠好)を取り調べましたが牛松はバドーとの関わりを認めません。

芝大造「なあ、牛松。あの王冠はツタン王国と日本を結ぶ親善の架け橋なんだ。盗まれましたじゃ済まない品なんだ。頼む。返してくれ。この通りだ。」

芝が頭を下げても牛松は黙秘を続けたのでした。

その後、牛松と青木(三上剛)を載せた護送車をコワシマンが襲撃しました。まず落石を起こして山道を塞ぎ、姿を現しました。

新條強「コワシマン! 出たな。鍵をかけろ。」

なぜ新條がコワシマンの名前を知っていたのかは謎ですが、警官は護送車の鍵を閉め、総出でコワシマンと対決しました。当時のJACの皆さんが演じているのでしょう。なお、バドー犯罪組織にもオープニングに登場するサイボーグ工作員がいる筈なのですが、今までの犯罪の性格上出しにくかったからか、絡みの皆さんが大勢出るのは実質的には今回が初めてでしょう。とは言うものの若干少なめ。それは兎に角、コワシマンにかなうわけがなく、最終的には新條ともども倒されて、牛松と青木はコワシマンが救出したのでした。

鴨野牛松「礼を言うぜ。よく助けてくれたな。」
コワシマン「バドーは契約を大事にする。あんた達は依頼者だ。」
鴨野牛松「そうか。そうだったな。王冠は。」

王冠を手に持ち喜ぶ牛松。青木も一緒。傍にコワシマンが座っています。とその時

バドー首領「鴨野牛松。バドーは契約通り世界一の宝石ブルームーン(ツタンの王冠についている宝石)を奪った。次はお前達がバドーに契約金を支払うのだ。」

ここから雲行きが怪しくなっていきます。

鴨野牛松「契約金だと?」
バドー首領「忘れてはいまい。仕事の利益は折半にする約束だ。」
鴨野牛松「まだ金に変えたわけじゃねえ。」
バドー首領「そのブルームーンは君達に与えよう。残りのダイヤはバドーがもらう。文句はないはずだ。」
鴨野牛松「王冠を壊せって言うのか?」

明らかに不服そうな牛松。

バドー首領「さよう。バドーの分はそこにいるコワシマンに渡せ。」
コワシマン「早くしろ。」

悩んだ挙句

青木「ロボットに渡すことはねえよ。」

牛松も頷きました。そして青木がコワシマンを突き飛ばし、牛松がツタンの王冠を持って逃走。

コワシマン「いくら逃げても無駄だ。裏切り者はバドーの掟により死刑にされるのだ。」

牛松と青木は通りかかった車の運転手(内田嵐)に頼み込み、その車に乗って逃走しました。

その頃、芝は重傷を負った新條を見舞っていました。

新條強「申し訳ございません。牛松を逃してしまいました。」
芝大造「何を言ってるんだ。わしはお前もてっきり。よく生きててくれた。良かった。」
新條強「強敵ですよ。今度のロボットは。凄いやつです。Kがいてくれたら。つくづくそう思いましたよ。」

この言葉を芝はどんな気持ちで聞いたのか。

芝大造「まあ、あんなロボットの力なんか借りなくたって。とっ捕まえることは出来らあなあ。」

その頃、牛松達には

バドー首領「逃げても無駄だ。お前達は間も無く処刑される。」

そこへダンプカーが登場。牛松達を追跡します。運転するのはコワシマン。車はぬかるみにハマってしまい、動けなくなってしまいました。恐くなった運転手は車を降りて逃走。牛松達はドアを閉めて閉じこもりましたが

コワシマン「出てこい、死刑囚。警告する。5秒以内に出て来なければ攻撃する。」

秒読みを始めるコワシマン。それでも出て来ないので車を壊しにかかるコワシマン。慌てて牛松と青木は脱出。そこへジョーカーが飛んできました。ジョーカーから降りたKはコワシマンと格闘開始。その間に牛松と青木は逃走してしまいましたが、Kの目の色が赤くなり、

ロボット刑事K「ゴー!」

しばらく格闘した後、Kはロボット破壊銃を放ちましたが、コワシマンは高速(なのでしょう)回転して弾いてしまいました。

ロボット刑事K「ダメだ。弾が弾かれてしまう。」

本当に強敵です。またも一方的にのされるK。

ロボット刑事K「いかん。この前と同じ事になってしまう。」

ここでCMが挿入されました。CMが明けた後、Kはジョーカーに乗って逃げたのですが、コワシマンが例のダンプカーに乗って追いかけてきました。しばらくカーチェイスが続いた後、ジョーカーは崖から転落してしまったのですが、空を飛んで脱出に成功したのでした。

そしてその日の夜。芝は硯に墨を入れ、筆で辞表を書いていました。そこまで芝の親父さんは追い込まれていたのです。

その頃、牛松と青木はホテルに隠れていました。そこへ電話が

バドー首領「これから死刑執行人が行く。」

来たのはコワシマン。ドアを破って侵入しましたが、牛松と青木は隙を突いて逃げ出すことに成功したのでした。

翌朝。芝大造の上の娘奈美(紅景子)は下の娘由美(加賀由美子)に、朝食ができたので大造を呼んで欲しいと言いました。由美が芝の部屋へ行ってみると芝はいませんでした。そして発見したのは辞表。

芝由美「お姉さん、大変。」
芝奈美「辞表…」

二人とも驚きました。

芝由美「お父さんは?」
芝奈美「いないの。」

ただ事ではありません。そこへ芝が外から帰ってきました。部屋着の着物姿のままです。そして一言

芝大造「朝の空気はうまいなあ。実に気持ちのいいもんだ。」

娘達は驚きました。奈美は辞表を持ったまま立っています。

芝大造「どうした? なんだ、見たのか。」

芝は奈美から辞表を取り返しました。そして座った芝に奈美は尋ねました。

芝奈美「本当に辞めるつもりなの?」
芝大造「ああ。」
芝奈美「辞められるの? お父さん、一生刑事で終わるのではなかったの?」
芝大造「わしもよく考えてのこと。どうやらわしの時代は終わったように思うんだ。科学の前にはどうにもならん。」

心底落胆する芝を見て、奈美は何も言えなくなってしまいました。とそこへやって来たのは

ロボット刑事K「そんなことありませんよう。」

出迎える奈美にKは言いました。

ロボット刑事K「芝刑事は立派な刑事です。辞めたらいけませんよ。」

それを聞き

芝大造「馬鹿野郎。卑しくも刑事たる者が事件をほっぽらかしてどこへいってたんだ。」

ナナツマンを倒してコワシマンに敗れてからKは芝とは会っていません。だから芝はKの活動を全く知りませんでした。だから芝はああ言ったのです。これが何故か芝の活力源になったようです、皮肉にも。

芝大造「だからお前は鉄屑野郎だって言うんだ。」

思わず奈美がとりなしたのですが

ロボット刑事K「すみません。コワシマンとの戦いで故障箇所が生じたもんですから、修理に。それより芝刑事、牛松が保護を申し出て来ました。」
芝大造「何、錠無しの松が?」
ロボット刑事K「今、本庁にいます。すぐに来てください。」
芝大造「よし。(奈美に)おい、何ぼやぼやしている。服、服。」

芝はKに連れられて本庁へ。牛松は取調室で

鴨野牛松「これ(ツタンの王冠)は俺一人のものだ。誰にも渡さねえ。」

の一点張り。

新條強「あれを返せばバドーに追われることもなくなるんだ。返しちまったらどうだ。」

と言われても

鴨野牛松「あんな見事な宝石抱いて死ねるなら本望だ。殺されたって良い。渡さねえぞ、誰にも。」

と言い切る始末。芝は呆れたのか頭をかいてしまいました。

その夜。留置所にもコワシマンがやって来ました。壁を外から壊して中に入ろうと言うのです。その音に気付き、助けを呼ぶ牛松と青木。

コワシマン「お前達を死刑にする。」

駆けつけた警官は発砲しましたがコワシマンに通用するわけがありません。そこへ

芝大造「錠を開けろ。」

芝が錠を開けさせました。青木は殴り殺されましたが牛松の方は芝が身を挺してコワシマンから庇い、新條も駆けつけました。さらにKが駆けつけてコワシマンと戦います。

ロボット刑事K「早く、逃げてください。」

とは言うもののコワシマンはやはり手強い相手。必死の攻防が続きます。Kがコワシマンに大きな布を被せると

コワシマン「しまった。」

何も見えなくなったコワシマンは盲滅法に暴れ回った末に白熱電球をうっかり破壊。電線に触れて感電した格好になりました。苦しみ悶えるコワシマン。

ロボット刑事K「敵の弱点がわかったぞ。」

コワシマンは撤退したのでしょう。翌日。廃工場(?)で新條が配電盤をいじってコワシマンを迎え撃つ準備をしていました。鴨野牛松を囮に使い、感電させようという作戦です。

鴨野牛松「大丈夫なんでしょうねえ。」
芝大造「やってみなけりゃわからんよ。」

そして狙い通り

コワシマン「牛松を出せ。」

とやって来ました。Kの目の色が赤くなり

ロボット刑事K「ゴー!」

戦闘開始。Kと戦うコワシマン。コワシマンの攻撃を避けながら、隙を突いてKは走り出しました。

コワシマン「待て!」

と追いかけるコワシマン。一瞬、Kを見失ったコワシマンはKを見つけて攻撃し、分銅をKの首にかけて、そのまま投げ飛ばしましたが

コワシマン「人形か!」

まんまと引っかかったコワシマン。気がつくとコワシマンは仕掛けのあるところに立っていました。建物からKが出て来ました。

ロボット刑事K「コワシマン。お前の負けだ。(新條に)今です。」

新條がスイッチを入れると電気が流れてコワシマンは四散爆発したのでした。

さてツタンの王冠は鴨野家の墓に隠してありました。

鴨野牛松「死んでも一緒にと思っていたのです。」
新條強「どうして急に返す気になったんだ。命より大事なものを。」
鴨野牛松「芝の旦那に敗けたんですよ。このワシを身を投げ出して守ってくださった。悪党のワシをね。」
芝大造「てやんでえ。」

それを見て笑う新條。牛松が警官に連れ出された後

ロボット刑事K「ああ、良かったですね。王冠が無事に返って。」
芝大造「なんだ。例の質問、言えって言うのか。わしはロボットに下げる頭は持たんぞ。」
ロボット刑事K「僕はそんなつもりで言ったんじゃありませんよ。」

芝の親父さんをよく知る新條はこう言いました。

新條強「おい、K。照れてるんだよ。」

芝から王冠を受け取り、新條とKは立ち去りました。それを見ながら、芝は懐にしまっていた辞表を出し、こっそり破るのでした。最後は芝も笑いながらKと新條とともに立ち去るのでした。

さてあんなに科学捜査を否定して「足と勘による捜査」にこだわっていた芝が追い込まれて辞める話と思いきや、芝のやり方も捜査には必要だと言うのを芝自身が気づくという話でした。前編での

「自分の思い通りの道を進め。」
「僕は僕なりの捜査活動をすればいいんだ。」

というのは芝にも言える事だったのです。万能な方法などありません。最適な方法はあるとは思いますが。だから他人の事も尊重すべきなのだろうと思います。ただ芝の罵詈雑言がなくなるかどうかは別問題でしょうけどね。

さて直前に手がけていた『ウルトラマンA』で上原正三が書いた話と比べると迷いがなくなっているような気もします。筆が鈍ったと生前語っていたのは本音だったのでしょう。

なお前回書き忘れましたが、前回からエンディングは「進め! ロボット刑事」になりました。第1話からクレジットされていたのに何故第5話から使用されるようになったのか、その理由は明確には知りません。