今回はロボット刑事 第7話「頭上の恐怖!!」(脚本:中山昌一、監督:内田一作、助監督:高橋正治、技闘:風間健 (C) 東映)を紹介しましょう。芝大造が辞表を書いて破り捨てたというのにKへは相変わらず罵詈雑言を浴びせます。ただKにはKのやり方があり、芝には芝のやり方があるのははっきりしたのでお互い、自分の信じるやり方で捜査します。
さてある夜。シゲル少年が伯父の桜井ヒロシと一緒にヒコーマン(声:はせさん治ではなくて大竹宏)が飛ぶのを目撃。ヒコーマンは宮田社長(稲川善一)の乗る自動車を追跡し、そして自宅の門だか塀だかの上に立ち
ヒコーマン「宮田社長。悪あがきはよせ。」
その声はやはり大竹宏さんの声です。後の『マジンガーZ』のボスの声ですね。
宮田社長「貴様、何者だ?」
ヒコーマン「バドーのロボット、ヒコーマンだ。」
ヒコーマンは胸から出した手(でしょう)で宮田社長の首を絞め殺してしまいました。ところが迂闊な事に、その様子を物陰から先ほどのシゲルとヒロシが電柱の陰から見ていました。それに気づいたヒコーマン。ヒロシはシゲルを逃そうとしましたが、ヒコーマンはシゲルの前に立って通せんぼ。ヒロシがシゲルを助けてヒコーマンに襲われ、
ヒコーマン「小僧、誰にも言うな。言えば貴様の命はないぞ。」
慌ててシゲルは逃げました。
翌朝。Kと新條はジョーカーで出動。桜井ヒロシの住む団地を訪ねました。その部屋にはシゲルも住んでいましたが、シゲルはヒコーマンに脅されていたため、前の夜の話をヒロシの姉、すなわちシゲルの母(新草恵子)には話しませんでした。新條はヒロシが殺害されたことを告げるとシゲルの母は驚きました。すると
シゲル「お母さん、ごめんなさい。」
シゲルの母「シゲル、どうしたの?」
シゲル「僕、知ってたんだあ。伯父さんや他の人が僕の見ている前で殺されたんだ。」
それを聞き
新條強「シゲル君は犯人を知ってるんだね。」
シゲル「うん、ロボット。」
ところがそこへKがやってきて顔を出してしまいました。シゲルの母親はシゲルを抱き寄せ、シゲルも恐がる始末です。その様子を見てピンと来たのか
新條強「シゲル君、もしかして犯人はロボットじゃないか?」
シゲル「知らない。僕、何も知らないんだ。」
新條強「(即座に)シゲル君、安心するんだ。ここにいるのは特別科学捜査室のロボット刑事Kだ。」
それを聞いて安心したのか
シゲル「ロボット刑事?」
続けてKが言いました。
ロボット刑事K「君は伯父さんの仇を討ちたくないのかい?」
シゲルの母「シゲル、知っているなら言って。」
シゲルは何も言いません。
ロボット刑事K「私の力を貸すよ。どうだい。」
新條強「シゲル君、話してごらん。犯人はどんな奴なんだ?」
シゲルの母「シゲル、シゲル、刑事さんに知ってること、みんな言って。」
やっとシゲルが口を開きました。
シゲル「そいつは、鳥みたいに空を飛ぶロボットだ。」
新條強「空を飛ぶロボット?」
シゲル「そいつがみんなを殺したんだ。だけどその事を言うと必ず殺すって。」
すると即座に画面が真っ赤になり(原理不明)
ヒコーマン登場。
ヒコーマン「小僧。このヒコーマンの言った事を忘れたのか。誰にも言うなと言ったはずだ。言えばその時は命はない。」
と言うわけでヒコーマンとKの戦闘開始。
ヒコーマン「ロボット刑事とは貴様か。」
しばらく戦った後、ヒコーマンは飛んで逃げようとしました(?)が、Kがジャンプして捕まえ、下に引き摺り下ろしてしまいました。走って逃げるヒコーマンをKが追いかけます。近くの工事現場に場所を移して戦闘続行。ヒーコーマンは胸から手を伸ばしましたがKにかわされ、Kはジャンプ。別の住宅工事現場に場所を移して戦闘続行。ヒコーマンは何度も胸から手を発射。ついにKの首は手に掴まれてしまいました。何度も投げ飛ばされて苦しむK。勝ち誇るヒコーマン。とその時、新條が拳銃を何発も発射。背中に当たったのでヒコーマンが振り返った隙を突いてKは手を外し、反撃開始。今度は逆にKが手を掴んで振り回す格好になり、ヒコーマンは劣勢。Kが投げ飛ばして手を話したので、ヒコーマンは飛んで逃げてしまいました。それを見ながら
シゲル「母さん、僕、あいつに殺される。」
即座に
新條強「シゲル君、心配は要らない。僕もKもついている。」
ロボット刑事K「君に指一本触れさせやしないよ。」
シゲル「本当?」
ロボット刑事K「本当だとも。」
そう言いながら、Kはシゲルの頭を撫でるのでした。
さてヒコーマンは林太平(江見俊太郎)の家の前に降り立ちました。普通に歩けばいいものをわざわざジャンプして移動するヒコーマン。林は宮田社長の会社の常務で腹違いとはいえ弟でした。その件で、同じく宮田社長の弟で林よりは年上の専務(横沢祐一)が林の家に来ていたのです。外にやってきたヒコーマンは専務に何かを照射。その後で専務が部屋を出ると外に控えていたヒコーマンが入れ替わりに入り、林と話を始めました。
ヒコーマン「あの磁気さえ照射しておけば、私はいつでも直進できるんだ。あの男を殺す日をあなたが決めてくれさえすれば。」
林太平「社長と専務を殺せば会社の実験は私のものだ。金はその時必ず。」
その時、バドー首領が割って入りました。
バドー首領「林太平。」
林太平「バドー。」
バドー首領「君の契約書はバドー犯罪組織に届いた。だが当方のチェックによれば君がこの契約によって得る利益額に大変な差異がある。よって当方の要求額は5億円。再契約をしろ。」
なんと細かい。
林太平「バカ言え。契約は既に終わったんだ。そのための契約じゃないか。」
バドー首領「不服なら契約を破棄する。ただし最初の殺陣は無料で結構。」
林太平「困る。そりゃ困る。君に専務を殺さなくては何もならんじゃないか。」
と言うわけで
ヒコーマン「再契約をお願いします。」
となったのでした。
さてシゲルは芝家に匿われたようですが、そこへもヒコーマンがやってきました。その前兆らしきものが現れたのでシゲルと由美が騒ぐと
芝大造「バカを言うな。この子がここに来ているなんてヒコーマンにわかりっこないんだ。」
芝は知りませんでした。ヒコーマンが磁力線を照射していたのを。でもその原理は私にもわかりませーん。奈美がKがいないことを心配すると
芝大造「あの鉄屑野郎、いつも肝心な時に消えちまいやがる。」
と言う始末。そうこうしているうちに前兆のようなものは消えてしまいました。
芝大造「なあんだ、人騒がせな。ちょっとした天候異変じゃないか。」
実際はヒコーマンは芝家のすぐそばに降り立っていました。ヒコーマンが中に入ろうとしたその時
ロボット刑事K「ヒコーマン、待っていたぞ。」
Kは外で待ち伏せしていたのです。Kの目の色が赤くなり
ロボット刑事K「ゴー!」
ここでCMが挿入され、CMが明けると戦闘開始。ヒコーマンはやはり胸から手を伸ばし、Kを攻撃しまくります。初めは避けていたKも捕まってしまい、苦しめられます。愚策では? と思ったら、Kは発信機をつけるのに成功。ヒコーマンはKを両手で捕まえてKの頭は崖のコンクリートに叩きつけまくったのでKの作動回路にも損傷が。Kがうつ伏せ倒れて動けなくなったのを見て満足したのか、ヒコーマンは飛び去ってしまいました。シゲルを始末しなくて良いのかなあと思いますが、いつでも殺せると考えたのでしょう。Kはなんとか立ち上がり、ブレザーを着て帽子を被って芝家の門前に倒れてしまいました。その物音に気がついて芝家にいた全員が外に出てきました。
シゲル「K、どうしたの?」
芝大造「K、どうしたんだ。」
シゲル「ヒコーマンが来たんでしょう。」
芝由美「K、ヒコーマンと戦ったのね?」
Kはこう言って誤魔化しました。
ロボット刑事K「いえ。ヒコーマンを見張ろうと屋根に登ろうとしておっこちたんです。」
すると芝の親父さんは
芝大造「全く人騒がせな奴だ。」
と文字通りに受け取ってしまいました。
ロボット刑事K「すいません。」
芝大造「すいませんで済むと思っているのか。全く困った鉄屑野郎だ。」
奈美が宥めて芝は中に引っ込みました。
芝奈美「Kさん、ごめんなさいね。」
すると落ち込んだKの目の色は青くなってしまいました。でもKはこう言います。
ロボット刑事K「いえ。私が悪いんです。ヘマをやっちゃって。」
その翌日。Kはシゲルと池のほとりで話しました。ヒコーマンに発信機をつけた事をシゲルに打ち明けました。第3話でも使ったものですが、Kは「金具」だと言っています。まあ半径1Km以内にヒコーマンが来ればレーダーで察知できるのです。
その頃、専務は岬のあたりを視察に出かけていました。投機が目的だったようです。そこへヒコーマン来襲。専務を殺してしまいました。
その後、有楽町駅を降り立った芝と新條に記者が殺到。専務殺しを調べに行ったようです。管轄が違うような気がしますが、社長殺しと関係があると考えたのでしょう。
新聞記者「南北産業は大変な騒ぎですねえ。次の社長と目される林常務までノイローゼで倒れる始末。」
それを聞いた芝は
芝大造「何? 林常務が倒れた?」
芝は新條に目配せ。芝は自宅に戻りましたが、シゲルをKが連れて行ったことを聞くと
芝大造「何、Kが? どこへ連れてった?」
Kはジョーカーにシゲルを乗せて空を飛んでいました。空を飛んで楽しそうなシゲル。
その頃、林の家にはヒコーマンが来ていて契約事項を全て果たしたと報告。証拠は残さなかったと確認する林に
ヒコーマン「目撃した子供は一人いたが、それはもちろん片付けていきます。」
だがそこに新條が現れました。
新條強「林さん。とうとう正体を表したな。」
ヒコーマン「おのれ、殺してやるぞ。」
林太一「ヒコーマン、やれ。」
苦戦する新條。そこにKが駆けつけ
ヒコーマン「来たな、性懲りもなく。」
そして
ロボット刑事K「新條刑事、林が逃げます。ここは私に任せて。」
と言うわけで新條は林を追いかけ、Kはヒコーマンと格闘。新條は林を捕まえましたが
シゲル「Kさん、助けてえ。」
なんとヒコーマンは外にいたシゲルを捕まえてしまいました。ヒコーマンはシゲルを捕まえたまま飛行。Kはジョーカーで追いかけます。
ヒコーマン「来たな。小僧を落としてやる。」
ヒコーマンは空中からシゲルを落としました。Kはジョーカーから飛び降り、シゲルを救出して地上に出ました。ヒコーマンにはジョーカーがぶつかり、そのショックでヒコーマンは墜落。横浜の赤レンガ倉庫でKと格闘です。
ロボット刑事K「今度こそ逃さんぞ。」
Kの目の色が赤くなり
ロボット刑事K「ゴー!」
最初は優勢だったKも胸から発射された手には苦戦し、翻弄されますが、ここで何故かマザーが登場。
ロボット刑事K「マザー。」
すると何故か
ロボット刑事K「パワーアップ!」
して手をワイヤーごと引きちぎってしまいました。そこから形勢逆転。コテンパンにのされたヒコーマンは飛んで逃げましたが、
ロボット刑事K「ヒコーマン、逃げられんぞ。」
ロボット破壊銃で撃たれて空中で爆発したのでした。射程距離、長いんですね。
ロボット刑事K「マザー、やったよ。」
最後は新條の発案で新條、芝奈美と由美、シゲル、そしてシゲルの母が海岸へ行きました。釣った魚などを食べて美味しいという一同。実はKも一緒でしたが
シゲル「だけど、Kさんも一緒に食べられたらなあ。」
すると
新條強「見ない方が良いんだ。Kを気にしない方がKは喜ぶんだ。」
Kの目の色がいつの間にか青くなりました。
野田圭一のナレーション「人間の仲間に入れないロボットの悲しさ、寂しさ。彼は急にマザーを思い出した。彼の寂しさを知ってくれるのはマザーだけだ。彼は無性にマザーに会いたかったのである。」
なんだか第3話の描写と違うような気がしますが、兎に角、Kが悲しくなったところで終わります。