ロボット刑事 第11話「バドー基地の秘密!!」を観た

今回はロボット刑事 第11話「バドー基地の秘密!!」(脚本:伊上勝、監督:奥中惇夫、助監督:梅田味伸、技闘:風間健 (C) 東映)を紹介しましょう。第1話と第2話を書いた伊上勝が久しぶりに書いた前後編の前編ですが、今までの話とは違って犯罪捜査というよりは『仮面ライダー』に出てくるような作りの話になっています。ですので謎解きの要素は少なくてひたすら攻防戦が続くという構成になっています。なので今までオープニングには登場するけれどもお話には全く登場しなかったサイボーグ工作員が活躍しまくり、今までの話を見慣れてしまうと、なんだかなあ、と私が思ってしまったのも事実です。まあイマイチ私が乗り切れていない状態ですが、それについては承知いただけると幸いです。

さて冒頭の場面。AB産業の山田社長(奥野匡)のところに電話がかかってきました。その相手は

バドー首領「バドー殺人契約により君の会社の重役は次々に殺した。残るは社長、君一人。」

山田社長はそう言われても何のことだかわかりません。電話は切れてしまいました。と同時に外から変なギシギシ言う音が聞こえてきます。山田社長がドアを開けるとそこにあるのは

山田社長「なんでここにロッカーが?」

怪訝に思いながら山田社長がロッカーを開けるとロッカーの両脇から腕が伸び、山田社長を拘束してしまいました。そして山田社長はロッカーの中に無理矢理入れられ、山田社長は悲鳴をあげましたが、その悲鳴もいつの間にか消えました。

さて悲鳴を聞きつけて女性社員がやってきました。部屋の前にある変なロッカーがあるのを怪訝に思いつつ部屋に入ると誰もいません。そこで女性社員があの変なロッカーを開けると同じように無理矢理中に入れられ、同じように悲鳴をあげて、いつの間にか、その声が消えました。その変なロッカーはバドーのロボットのロッカーマン (声:細井重之ではなくて北川国彦)だったのです。

ロッカーマン「ロッカーマンは完全に死体を処理する。証拠は髪の毛一本残さない。目撃者も消す。」

そしてロッカーマンは社長室の電話からどこかへ電話し

ロッカーマン「バドーの殺人契約は完了した。契約金の残り半分を無線塔室下のロッカーの中まで持ってこい。」

その半金を持ってきたのは後でわかりますが大岡達三(松尾文人)と言う男。半金の入ったアタッシュケースをロッカーの中に入れましたが大岡にはKと新條の尾行がついていました。塔から出ていく大岡を部屋の中から観ながら

新條強「やっぱりだ。大岡めえ。しょっぴいて泥を吐かせてやる。」
ロボット刑事K「待ってください、新條刑事。今、大岡を逮捕しても証拠不十分です。それより、あのロッカーの中の金を取りに来るバドーをつけて大岡との関係を掴みましょう。」
新條強「バドー、バドー。一体、バドーは何の目的で人殺しばかりしやがるんだ。」
ロボット刑事K「し! 誰か来ますよ。」

オートバイの音が聞こえたので新條とKは物陰に隠れました。やってきたのはバドーのサイボーグ工作員1人。アタッシュケースを持って出発しようとするサイボーグ工作員を新條とKが追いかけようとした、その時、先ほどアタッシュケースの出し入れが行なわれたロッカーから手足が伸びて立ち上がりました。ロッカーマンだったのです。

ロッカーマン「思った通り。大岡はマークされていた。ロボット刑事め、みているがいい。」

サイボーグ工作員は建築中のマンションらしきところに入りました。遅れてKと新條の乗るジョーカーも到着。中に入って探しまくりますが、サイボーグ工作員は全然見当たりません。とその時、ある部屋で変な物音が。変なロッカーが置いてあります。うーむ。ここで展開がある程度読めるかもしれませんが

新條強「まさかあのロッカーの中に。」

とロッカーを開けると中には何もなし。しかし、Kは怪しい物音がすることに気がつきました。

ロボット刑事K「危ない、新條さん!」

と叫ぶと同時にロッカーから腕が伸び、新條を中へ引き摺り込もうとしました。Kが力づくで引き離すとロッカーはロッカーマンの正体を表していました。ロッカーマンはKを跳ね飛ばすとまたも新條をつかみ

ロッカーマン「このカバンの中に入るんだ。」

これもKに阻止されました。

新條強「バドーのロボットか?」
ロボット刑事K「そうです。私に任せてください。」

と言うわけでKとロッカーマンの戦闘開始。その時、サイボーグ工作員の姿が。新條はサイボーグ工作員を追跡。オートバイに乗って逃げるサイボーグ工作員。新條を縄を投げて捕まえようとしましたが、そのまま引きづられる羽目に陥りました。途中、遠景では人形をひきづってもありますが、アップの場面では確かに新條自身が引きづられています。結構危険な場面であることには間違いありません。最終的にオートバイは転倒してしまい、新條は勢い余って空高く跳んでしまい、地面に激突。気を失ってしまいました。

その頃、Kの目の色が赤くなり

ロボット刑事K「行くぞ。ゴー!」

ブレザーを脱いで本格的に戦闘開始。

ロボット刑事K「ロッカーマン、お前が大岡に頼まれてAB産業の社長や重役を殺したのか?」
ロッカーマン「その通り。大岡がAB産業の社長になりたいためだ。だが証拠はないぞ、K。」
ロボット刑事K「ある。バドーの殺人契約書だ。」
ロッカーマン「はは。取れるもんなら取ってみろ。」

全部セリフで説明するのが伊上勝脚本の特徴。こんなやりとりがあった後、戦闘再開です。小競り合いが続いた後、Kはロッカーマンを外へと投げ飛ばし、今度は建設中のマンションの外で戦闘再開。Kのその場にあったシャベルで殴りかかりましたがロッカーマンはそれを奪って中に入れて消滅させてしまいました。

ロッカーマン「(ロッカーを開けて中に何もないのを見せつけて)見たか。」
ロボット刑事K「よし、改めていくぞ。」

そして戦闘再開。また小競り合いが続いた後、ロッカーマンはロッカーを開けました。

ロッカーマン「貴様もこの中に入れ。」

なんとか脱出できたKはロッカーを閉めてチョップやキックを繰り出しました。するとロッカーマンは窓の下の辺りからマシンガン二丁を伸ばして銃撃。Kが怯んだ隙に逃げてしまいました。

ロボット刑事K「しまった。新條さんを探さなければ。」

と言うわけでジョーカーを走らせるK。倒れていた新條を何とか探し当てました。

新條強「K。バドーの集金人を頼む。」

オートバイの燃え残りをKは見ました。

ロボット刑事K「うーん。遠くにはいけないはずだ。」

その頃、この近くで平林イサム少年(青沼一彦)達が野球をしていました。ボールを追いかけたイサムは林の中に入り、そこでバドーのサイボーグ工作員が倒れているところに出会してしまいました。サイボーグ工作員は虫の息。サイボーグ工作員はイサムにアタッシュケースを託し

サイボーグ工作員「これを頼む。取りに来る。このマークを描けば。」

サイボーグ工作員はバドーの印の鉄のドクロ。

サイボーグ工作員「きっとだぞ。」

そしてサイボーグ工作員は爆発してしまいました。

さて場面変わって新條が収容された病院。Kはベッドのそばに立ち、奈美と由美がそばに座って新條の世話をしています。そこへやってきたのは芝。

芝大造「新條、わかるか。俺だ。芝だ。」

しかし新條は注射で眠っているので答えられません。奈美からそれを聞く芝。由美によれば2時間は眠っているそうです。次に芝はKにこう言いました。

芝大造「K。いや、このロボット野郎。能無しの鉄屑。新條をこんな目に遭わせたのは貴様のせいだ。責任を感じているのか。」
ロボット刑事K「申し訳ないと思っています。」
芝大造「だったら少しは悲しい顔でもしてみろ。悔しかったら涙でも流せ。」

あまりにも酷い言葉に

芝奈美「お父さん、そんな言い方って。」

その時、新條がうわ言でこう言いました。

新條強「K。バドーの集金人を頼む。」

そしてKは捜査を再開。先ほどバドーのサイボーグ工作員が爆死した場所に辿り着き、バドーのマークや子供の足跡を赤外線スコープで見つけたことから

ロボット刑事K「バドーの集金人はここで消えたのか。それを子供が目撃している。よしよし。この足跡をつけてみれば。」

さてその頃、イサムはバドーの鉄のドクロのマークを壁に描いていました。それをKが見つけてイサムの肩を叩きましたがイサムはKを怪しんで自分の家の中に入ってしまいました。Kは玄関のドアを叩いてイサムを呼びましたが、出てきたのは父親の平林(大矢兼臣)。平林はKを怪しんでイサムを出さずにドアを閉めてしまいました。

その頃、新條は意識を回復しました。そばに座っていたの芝大造。

芝大造「気がついたらしいな。どうだ、具合は。」
新條強「いや。ほんのかすり傷です。それよりKは?」
芝大造「お前をこんな目に遭わせやがって。怒鳴りつけたらすっ飛んでいった。」

それを聞いた新條は慌てて起き上がり、こう言いました。

新條強「いけねえ。そいつはいけねえや。今度の山は、どうもKが狙われている気がするんだ。」

その根拠は?

芝大造「そんなバカな。」

芝でなくてもそう言いたくなる言葉。

新條強「兎に角、Kに連絡つけてください。用心しろって。」
芝大造「お前がそう言うんなら、まあ。」

芝は病室の外へ出ました。新條は重傷を押して病室から出動しました。

そんなやりとりがあったとは知らず(?)Kは夜になっても平林家をジョーカーの中から見張っています。イサムが描いたバドーのマークの左目が光りました(原理不明)。

ロボット刑事K「思った通りだ。あのマークはバドーに関係がある。」

ここでCMが挿入され、CMが明けると今度はイサムの部屋。イサムが眠っています。何故かロッカーマンが登場。バドーのマークを描いたのは外なのに何故? よくわかりませんが、イサムの部屋に入ってきたのです。

ロッカーマン「小僧。」

その声を聞いて驚いて起きた小僧ことイサム。ロッカーマンは尋ねました。

ロッカーマン「バドーのセールスマンを呼ぶバドーマークをどうして描いた。何故マークを知っている。」

慌てて答えるイサム。

平林イサム「頼まれたんですよ、カバンを渡してくれって。」

イサムは託されていたカバンをロッカーマンに渡しました。

ロッカーマン「バドーの集金人13号のカバンだ。」

ところが話はこれで終わりになったわけではありません。

ロッカーマン「お前もこの(ロッカーの)中に入るんだ。」

当然拒否するイサムでしたが

ロッカーマン「バドーのやり方を知ったお前を生かしてはおけない。入るんだ。」

イサム、ピンチ。父や母を呼ぶイサム。とその時、Kが乱入。

ロボット刑事K「ロッカーマン。罪もない子供を殺させないぞ。」

騒ぎを知ってイサムの父と母もやってきました。「警察を」と言う母親にKは警察手帳を見せ

ロボット刑事K「イサム君、塀のマークを消すんだ。いいね。」

ロッカーマンは煙を出して姿をくらませ、用意していた自動車に乗りましたが、その車をKはしっかり観ていました。ジョーカーで追跡するK。

ロボット刑事K「今度という今度はバドーの正体を暴いてやる。」

どうも芝からKに連絡が行っていない気がします。Kはそのまま追跡を続行。朝になり、後でわかりますが車は多摩の山中へ逃げました。当然、Kも多摩の山中へ。吊り橋を渡ると吊り橋は爆発。しかしジョーカーは空を飛べるので今度は空を飛んで追跡続行。ついにロッカーマンは車を降りました。運転は別のサイボーグ工作員が行なっていました。今回と次回は今までオープニングだけに登場していたサイボーグ工作員の活躍が目立ちます。ロッカーマンは洞窟の中へ入って行きました。Kはジョーカーを降りてそのまま洞窟の中へ入って行きました。この短慮が元で後で危機に陥ります。洞窟は長くて

ロボット刑事K「一体、どこまで続いているんだ。」

と言うくらい。やっと辿り着いたと思ったら行き止まり。

ロボット刑事K「秘密の入口があるはずだ。」

赤外線スコープで見つけたスイッチを入れて開いたところから中に入り、奥へ奥へと入っていくK。

ロボット刑事K「バドーの地下工場か。」

その根拠は不明ですが、兎に角、中を突き進みます。

その頃、ロッカーマンは札束が置かれた棚でアタッシュケースを開けて中の札束をおきました。バドーの金庫のようです。そして金庫から出てきたところを

ロボット刑事K「待て。」
ロッカーマン「K!」
ロボット刑事K「殺人契約によって集めた金はこの金庫の中か。」
ロッカーマン「ええい、殺してやる。」

と言うわけで金庫の前で戦闘開始。小競り合いが続いた後

バドー首領「よく来たな、ロボット刑事K。」
ロボット刑事K「誰だ?」
バドー首領「バドー。バドーの首領だ。」
ロボット刑事K「よく来たとは、どういう意味だ?」
バドー首領「我々の正体を探り出すために苦心をして潜入したのだろうが、我々は逆に君を待っていたのだ。」

と言うことは罠? 芝は新條の読みをちゃんとKに連絡したのでしょうか? 映像を観る限りではしていなかったような気がします。

ロボット刑事K「私を罠にか? 少し甘いぞ、バドー。よーし、いいチャンスだ。汚い方法で集めた札をなくしてやる。」

うーむ。連絡の有無はもうどうでも良い感じ。有った場合でも言いそうな発言ではあります。でもKはやはり甘い気が。

バドー首領「ふふふふふ。よく観るがいい。この札束が本物かどうか。」

驚くK。Kが金庫に入って確認すると全て偽札。と同時に金庫の扉が閉まってしまいました。

バドー首領「我々の金庫は別にある。我々は世界中の金を集めている。やがて全世界を支配するのだ。」

Kは尋ねました。

ロボット刑事K「私を罠にかけた理由はなんだ。」
バドー首領「マザーだ。君のマザーに用がある。マザーは可愛い君のためなら我々の条件を聞く。」

それを聞き

ロボット刑事K「マザーには指一本触れさせはしないぞ。」

Kはロボット破壊銃で金庫の扉を破壊。金庫から出ましたが

ロッカーマン「逃がさん。K。」

Kはロッカーマンと格闘。そして目の色が赤になり

ロボット刑事K「ゴー!」

ブレザーを脱いで本格的に戦闘開始です。ロッカーマンはマシンガンを繰り出しましたが背後に回られました。その後、Kが前に来た頃合いでロッカーを開けて中に入れようとしましたが、結局、ロッカーを閉められ、何度も殴られてクルクル回った挙句に今度は逆様にされて何度も頭(?)を床に打ち付けられながら

ロボット刑事K「さあ、言え。言うんだ。マザーを狙うのは何のためだ。」

しかし、ロッカーマンは答えてくれません。最終的にKは答えも聞かずにロボット破壊銃でロッカーマンを破壊してしまったのでした。

バドー首領「よくもロッカーマンを破壊したな。しかし安心するのは早いぞ。君は逃げられないのだ。」

その言葉が終わるや否やスプリングマン(声:加茂嘉久ではなくて矢田耕司)が登場。Kに襲いかかりました。

スプリングマン「行くぞ。」

その声はやはり矢田耕司さんの声です。スプリングマンのモチーフはその名の通りバネで壁にぶつかってもそのまま跳ね返って戻ってきます。その特性を活かして跳ね回り、Kを翻弄するスプリングマン。この絶体絶命の状況のまま次回へと続きます。

この前後編、本当に面白そうな場面を繋いで作った感じの話です。『仮面の忍者赤影』や『仮面ライダー』ではピタリとハマったこの作劇が『ロボット刑事』に合っていたかどうかは微妙な感じだと私は思います。他の話とは違って契約者のドラマがあまり描かれていない事が大きいのだろうと思います。

息子の井上敏樹が紙芝居のような作風だと評していたのは本当にその通りだと思います。ハマれば面白いですが、ハマらないと微妙な感じを受けてしまうのは否めないかなあと思います。