ロボット刑事 第18話「バドーの冷凍作戦!!」を観た

今回はロボット刑事 第18話「バドーの冷凍作戦!!」(脚本:中山昌一、監督:奥中惇夫、助監督:高橋正治、技闘:三隅修 (C) 東映)を紹介しましょう。

さて冒頭は多摩川の五本松のところで兄せいいち(平野康)と弟の浩(梶正昭)が釣りをしている場面です。季節は夏だと言うのに、急に寒くなり、雪のようなものまで降り注ぐ始末。これは

レイトーマン(声:兼本新吾ではなくて大竹宏)「バドーのレイトーマン。」

の仕業でした。兄弟の前に現れるとこう言い出しました。

レイトーマン「この粉はあらゆるものを凍らせる。だが3時間後には融ける。警察は死んだ原因を突き止めるのにさぞ困るだろう。」

こんな物騒な事を言うレイトーマン。標的はなんと

レイトーマン「お前たちの事だ。」

その声はやはり大竹宏さんの声です。レイトーマンは左手の筒のようなものから白い粉を噴射。せいいちは浩を庇って伏せたので、浩はかろうじて助かりました。

さて警視庁の特別科学捜査室では新條から報告を聞いて芝大造が怪訝な感じです。

芝大造「何。それでその子供だけが息を吹き返したと言うのか。」
新條強「ええ。今となってはその子供の言う事を信じるより他にありません。」

芝は念を押しました。

芝大造「新條、お前はその子供の言う事を信じるのか。おとぎ話みたいな話を。」
新條強「言っときますが、現実にその子の兄、今西せいいちっていう高校生が死んでるんですよ。」

やはり信じていなかったようです。

芝大造「わかっとる。」
新條強「二人の少年の両親はなく、祖父というのが。」
芝大造「わかっとる。億万長者と噂の高い今西たすけさん(清水一郎)だろう。」
新條強「ええ。若いお手伝いさんを後妻(川村真樹)にして元気な老人です。」

次に映るのは今西夫妻が幼稚園で寄付しているところ。ものを配っているようです。

今西「孫の香典ですよ。お役に立てばせいいちの霊も喜ぶでしょう。わたしゃ子供が好きでねえ。」

その帰り。山道で車を止めて降りた今西夫妻。

今西「たみえ、この丘を全部子供達に開放して無料の子供ランドを作ろう。」

今西は篤志家のようです。

今西「せいいちの供養にもなるだろう。浩が生きて良かった。あの子だけはどうしても守ってやらんと。」

しかし今西夫妻にもレイトーマンが襲いかかりました。運転手は凍らされ、

今西「何者だ?」
レイトーマン「バドーのレイトーマン。」
今西「貴様、せいいちを殺したか?」
レイトーマン「そうだ。お前も殺してやる。」

今西に襲いかかるレイトーマン。しかし、そこにジョーカーがやってきて、レイトーマンの動きを遮りました。今西を殺すどころではなくなり、レイトーマンはKと格闘開始。しかし、Kはレイトーマンの冷凍攻撃にやられてしまい、動きを止めてしまいました。不敵に笑いながら、今西に近づくレイトーマンでしたが、Kの不意打ち足払いを喰らいました。実は

ロボット刑事K「そんなもの、私には通用しない。今西さん、逃げてください。私は警視庁の刑事です。さ、早く。」

今西夫妻はそう言われて逃げました。Kの目の色が赤くなり

ロボット刑事K「行くぞ。ゴー!」

ブレザーを脱いで本格的に戦闘開始。赤土目立つ多摩の丘陵(でしょう)で戦うKとレイトーマン。Kはレイトーマンの背中にトレーサー(今まで使っていたもの)をくっつけることに成功。最終的にレイトーマンは逃げたのでした。

その頃、新條は浩が収容された病院にいました。そこへ今西の妻たみえが入って来ました。

今西浩「あ、たみえ。」

さらに浩は先ほど、レイトーマンが今西を襲った話についてもたみえに尋ねました。

新條強「失礼ですが、今西様の奥さん。」

たみえは頷きました。

新條強「浩くんにはおばあちゃんにあたるわけだ。」
今西浩「そうだよ。でもおばあちゃんって呼ぶのおかしいもん。だからお手伝いさんの時のようにたみえって呼ぶんだ。」

たみえはこう言いました。

たみえ「ずっと小さい時から面倒見てるもんですから。」

それで新條は得心したようです。しかし

たみえ「浩ちゃん、早く良くなってね。」
今西浩「うん。」

このやりとりには疑念を抱いた模様。

この後、新條はKと一緒にジョーカーに乗り、レイトーマンを追跡しました。ところがレーダーでとらえた場所に降りて調べてみれば、

ロボット刑事K「あ、しまった。」

トレーサーはトラックの運転台に置かれた犬のおもちゃにつけられていたのでした。レイトーマンにバレていたわけです。

その頃、今西家では

バドー首領「今西たすけ。」
今西「誰だ?」
バドー首領「お前の莫大なる財産はバドーが頂く。」

と言い終わるや否や、レイトーマンが乱入。

今西「貴様。」
レイトーマン「バドーのレイトーマンだ。お前を殺す。」

今西はレイトーマンの冷凍攻撃を受けてしまいました。たみえは殴り倒されたのでした。

さて芝家では芝がお冠。Kがすいませんと謝っても

芝大造「すいませんで済む問題か。人間が一人死んだんだ。」
新條強「それはよくわかってますよ。だが今回、全く敵に裏をかかれちまったんですよ。」
芝大造「馬鹿野郎。だから間抜けだと言うんだ。俺はな、今西たすけさんの体を守ることに全力を尽くせと言ったはずだぞ。」
ロボット刑事K「芝刑事、悪いのは私ですよ。新條刑事に罪はありません。」
芝大造「やかましい。そんなことわかってる。」

続けて芝はこう言いました。

芝大造「新條よ、俺がいつも言ってるだろう。人間の勘を大事にしろって。機械野郎を当てにするんじゃねえって。」

それを聞き、Kの目の色が青くなりました。見かねて奈美と由美が口をはさみました。

芝奈美「お父さん、Kさんの前であんまりじゃない。」
芝由美「ほんと、そうよ。Kがかわいそうよ。」
芝大造「かわいそうったって、お前、機械野郎にそんな感情なんてあるもんか。」
芝由美「あるわ。Kの目を見ればわかるわ。お父さんなんて大っ嫌い。」

由美は立ち去りました。

芝大造「おかしな奴だ。あの年頃の女の子はちょっとした事でも攻撃してくる。」

明らかに動揺している芝に

芝奈美「いいえ。私もお父さんの判断には反対です。」

奈美も立ち去りました。奈美を追いかける芝。

新條強「K。俺は親父さんとは違うぞ。俺はお前を機械だなんて思ってない。お前は人間だ。俺の友達だ。」

それを聞き、Kの目の色は黄色に戻るのでした。

ロボット刑事K「新條さん、ありがとう。」

新條は微笑みました。

さてジョーカーに乗るKはたみえが運転する車を目撃。それを同乗する新條に言うと

新條「調べてみよう。」

その理由は察しがつく人には察しがついていると思いますが、取り合えず置いといて、ジョーカーはたみえの車を止めて事情聴取。

新條強「レイトーマンの事件はあれでおしまいだと思っていらっしゃるのですか?」
たみえ「いえ、そんな事は。」
ロボット刑事K「レイトーマンを直接知っているのは私を除けば奥さんだけですからねえ。」
新條強「それともう一人、浩。」

それを聞いたたみえは顔を背けて

たみえ「私、取り込んでおりますので。」

と車を発進させてしまいました。車を見送りながら

新條強「今西さんが冷凍されて殺された時、夫人はレイトーマンの一撃で気絶していた。」
ロボット刑事K「あの夫人を疑っているのですか?」

新條はその根拠を述べました。

新條強「浩くんが死んだとしたら、遺産は全てあの夫人のものになる。」

ここでCMが挿入され、CMが明けると、ここは浩が入院している東京中央総合病院。ロケ地は東映生田スタジオ制作作品ではお馴染みの長沢浄水場です。救急車が入って来ました。しかし運転しているのは顔の色が黒いです。つまり、バドーのサイボーグ工作員の変装。搬送されていたのは当然、レイトーマンです。サイボーグ工作員は担架に乗せて浩の病室の前にレイトーマンを搬送。レイトーマンは病室を警護していた警官2人を凍らせました。

レイトーマン「おい、小僧。お前を生かしておくわけにはいかん。」
今西浩「どうしてだ。僕みたいな子供を殺さなくていいだろう。」
レイトーマン「そうはいかん。バドー殺人契約により、お前を殺す。」

浩はこのまま凍らされるのか? 

レイトーマン「死ね。」

しかし、冷凍攻撃はKの噴射して火炎で防がれました。

ロボット刑事K「浩君、もう大丈夫だ。レイトーマン、来い。」

と言うわけで格闘開始。Kは浩を逃して病室の外へ出て、レイトーマンも追いかけます。外でレイトーマンと格闘するK。警官も加勢しますが、残念ながらレイトーマンの敵ではありません。

ロボット刑事K「危ないですから、下がって。ここは私に任せてください。」

一人でレイトーマンと戦うK。この間にサイボーグ工作員が乗りつけた救急車は引き揚げ、レイトーマンも救急車につかまりました。

ロボット刑事K「待て。」

一度は救急車に掴まったKでしたが、結局、落ちてしまいました。

ロボット刑事K「しまった。」

その頃、今西家では、たみえが今西と浩のことを思い出していました。特に浩には良心の呵責を感じるようです。そこへレイトーマンが現れました。

レイトーマン「どうした?」

レイトーマン来訪に気づいたたみえはこんなことを頼みました。

たみえ「お願いです。浩ちゃんを殺すのはやめてください。」

新條の読みは正しかったのです。

レイトーマン「何故だ。今西家の全財産をお前のものにするために今西老人も孫のせいいちも、このレイトーマンが殺した。残るのは浩ただ一人。」
たみえ「あたし、お金なんて要りません。小さい時からお育てした浩ちゃんが可哀想で。」

レイトーマンはこう言い放ちました。

レイトーマン「そうは行かぬ。バドー殺人契約書にサインした限り、バドーは契約を履行する。」

なおもたみえは抗弁します。

たみえ「契約書にサインしたのはあなたが恐ろしかったからです。」
レイトーマン「今はもう恐ろしくないと言うのか?」
たみえ「あたし、自首してでます。」
レイトーマン「なに?」
たみえ「あなたの脅迫に乗ったばかりに、こんな恐ろしい事を次々目の前にするなんて。お手伝いだった、あたしを妻の座に据えてくださった大事な旦那様の命まで。」

その答えをレイトーマンが許すわけがありません。

レイトーマン「黙れ。自分の命は惜しくないのか。」
たみえ「あたし、死んでもあなたと手を切りたいのです。」

涙を流してそう答えるたみえの決意は本物でしょう。当然の事ながら

レイトーマン「こいつー。バドーの掟に背いた奴は冷凍では殺さん。苦しめぬいて殺してやるぞ。」

とその時、新條が外から乱入。

新條強「やっと話の全貌がわかった。二人とも殺人犯として逮捕する。」

新條はレイトーマンに襲いかかりましたが敵うわけがありません。しかし、たみえを保護することには成功。さらにKが入って来ました。火炎放射して冷凍攻撃を無効化し

ロボット刑事K「新條刑事、ここは私に任せて、たみえさんを。」

まあ後の流れは察しがつくと思いますが、一応書きましょう。新條はたみえに手錠をかけました。

たみえ「申し訳ありません。」

Kとレイトーマンは屋外で格闘。Kの目の色が赤くなり

ロボット刑事K「行くぞ。ゴー!」

ブレザーを脱いで丘の上で格闘開始。珍しく主題歌が流れる中、戦闘が続きます。レイトーマンは冷凍攻撃をした噴射口から今度は機銃掃射してKを攻撃しますが避けられまくられ、最後は殴られて後ろに跳んで伸びたところをロボット破壊銃を食らって爆発したのでした。

次回は上原正三の最終執筆作の前後編。なんと本土復帰したばかりの沖縄を舞台にした話でテロ組織と契約したバドーが破壊活動を行ないます。これがきっかけになったかどうかはわかりませんが、バドーの活動は犯罪からテロ活動へと移って行き、バドーのサイボーグ工作員も活躍しまくるようになるのでした。