ロボット刑事 第15話「標的は原子番号79?!」を観た

今回はロボット刑事 第15話「標的は原子番号79?!」(脚本:上原正三、監督:折田至、助監督:長石多可男、技闘:三隅修 (C) 東映)を紹介しましょう。

野田圭一のナレーション「政府は南アフリカ連邦から40億にのぼる金を買いつけた。そして空港から日本銀行までのガードを特別科学捜査室の刑事達に命じたのである。」

というわけで今回と次回はこの金の争奪戦が繰り広げられます。

芝の目の前でKと新條が金の積み込みを行なってきっちり格納したことを芝に新條が報告しましたが、それでも芝は満足できず、車の下などもよく見ています。それを見て

新條強「用心深いなあ、親父さんも。」
芝大造「もしものことがあってみろ。特別科学捜査室の面目は丸潰れだ。」

実はそれだけが理由ではないことが後で語られますが、先へ進みましょう。Kのレーダーにも怪しい奴は引っかかりません。

芝大造「よし、出発だ。Kが先導しろ。わしら、後尾につく。」

というわけでKの乗るジョーカーが先導で、その後ろに金塊輸送車が続き、その後尾に芝と新條の乗るパトカーがついて発進です。芝は助手席に座り、新條は後ろの座席に座っています。何度も無線でKに確認したのでしょう。

新條強「大丈夫ですよ。苦労性なんだから、全く。」
芝大造「なんか胸騒ぎがしてしょうがねえんだ。」
新條強「胸騒ぎ?」
芝大造「こういうときはいつもなんかが起こるんだ。」
新條強「へえ、予知能力って奴ですね。」
芝大造「デカの勘、いや、長年の習性だな、これは。は、しょうがねえ、全く。」

新條は軽く考えていたようですが、芝の勘は不幸にも的中してしまいます。新條がバックミラーに目を移すと後ろから近づいてくる車が。後ろから来た車はパトカーなどを追い越しますが、よく見ると運転するのはバドーのサイボーグ工作員。久しぶりの登場です。設定はしたものの事件の関係からあまり使い道がなかった人達です。それは兎に角、サイボーグ工作員はパトカーを追い抜こうとした時、マシンガンを発射。ジョーカーも金塊輸送車もパトカーも停車する羽目に陥りました。そしてサイボーグ工作員の乗る車は遥か前まで来て停車。車からサイボーグ工作員が降りました。そしてマシンガンを連射。芝と新條は伏せますが、Kは平気で近づきます。

ロボット刑事K「いくら撃っても無駄だぞ。」

Kはサイボーグ工作員に歩いてゆっくり近づきます。そして格闘開始。新條も加勢します。形成不利と見たのかサイボーグ工作員は車で撤退。すかさず

芝大造「K。逃すな。」

と命じ、Kはサイボーグ工作員の乗る車を追いかけました。ジョーカーで追跡するK。ロケ地は今の臨海副都心の辺りの埋立地のようです。とその時、マザーが登場。その目的は

ロボット刑事K「なんだって。追跡するのをやめて、すぐに戻れって。そうは行かないよ。奴らは金塊輸送車を襲撃したんだ。逮捕しなきゃならないんだ。」

ああ。この時、マザーの警告に従っていれば少しは状況が変わったのかもしれませんが、Kは空を飛んで追跡を続行。なおも逃げるサイボーグ工作員でしたが、ついにKが追いついて車の屋根にジョーカーを降ろしてきた事もあって、車は自爆してしまいました。

ロボット刑事K「しまった。秘密を守るために自爆してしまったんだ。」

実は真の目的はそれではありません。

さて芝と新條は

新條強「親父さんの予知能力も大したものですねえ。」
芝大造「ざっとこんなもんだ。」
新條強「俺も早く親父さんみたいな勘を身につけたいですよ。」
芝大造「なーに。でも無事でよかったなあ。」

そして先を急ごうと金塊輸送車の運転手に声をかけに行きましたが、運転手は何者かに殺された後。そして金塊輸送車の上にロボットがいるのに芝は気づき

芝大造「貴様、何者だ。」
ノコギリマン (声:八奈見乗児ではなくて矢田稔)「バドーの強盗ロボットノコギリマン。」

その声は八奈見乗児さんの声ではありません。その目的は当然

ノコギリマン「40億円の金塊はいただく。」
新條強「さっきの奴らとグルだったのか。」
ノコギリマン「左様。ロボット刑事がちょっと邪魔なんでなあ。」

それを聞き

芝大造「図られたか畜生。」

と拳銃を芝は撃ちまくりましたがきくわけがありません。拳銃の弾はノコギリマンの腹の前についている回転ノコギリで弾かれました。ノコギリマンは回転ノコギリで金塊輸送車の閂も切ってしまい、金塊を入れた箱の錠前も切り、金塊を難なく発見。

ノコギリマン「うーん。見事な金塊だ。40億の輝きかあ。」

芝と新條がそうはさせじと近づきましたが

ノコギリマン「うるさい。」

と毒ガスを噴射。たまらず芝と新條が離れた隙をついてノコギリマンは金塊輸送車を発進させて逃げてしまったのです。芝は新條に命じて無線でKに襲撃事件を連絡。そして

野田圭一のナレーション「直ちに一帯の道路が封鎖され、通行の全車両が厳重なチェックを受けた。」

しかし、検問で引っかかる車はなし。そこへパトロール中の車が輸送車らしい車を発見したという連絡が。芝、新條、Kがそこへ行ってみると、そこは港。たしかに輸送車が止まっていましたが中は空。

ロボット刑事K「あの時、マザーの言う事を聞いていればこんなことにはならなかった。」

芝の意見は

芝大造「たとえ積み替えたにせよ、この検問を潜り抜けて逃げるバカはすまい。」
ロボット刑事K「私もそう思います。金はこの一帯のどこかに。」

芝は決断しました。

芝大造「手分けして当たってみよう。なんとしても見つけ出すんだ。」

Kはレーダーをゴールド探知機に切り替えました。2Km以内に10オンス以上の金があれば探知できると言うもの(原理不明)。芝や新條がそれこそ足を棒にして歩き回っていた頃、Kのゴールド探知機が反応。

ロボット刑事K「ゴールド反応あり。この方向だ。」

場面変わって、ノコギリマンと契約者の赤松社長(福山象三)および部下4人(大塚崇、辻シゲル、泉たけしなど)がいる倉庫。赤松は大喜び。

ノコギリマン「では契約書に基づき奪った金の半分はバドーが頂く。」

ところが

赤松「おお、待ってくれ。ここで分けられちゃ困る。山の工場まで運ぶ約束だ。」

と言う無理難題を言ってきました。

ノコギリマン「警察の検問がうるさい。運ぶのは無理だ。」
赤松「そりゃ困る。契約書通りにしてくれなきゃ。」
ノコギリマン「うーむ。困った。」

とその時、ロボット刑事が近づいてきたのを赤松の部下が察知。外の様子を伺うとなんと目の間にジョーカーが止まってしまいました。降りてきたKをみて

ノコギリマン「ゴールド探知機だな。奪った金に電波遮蔽幕を被せろ。」

その作戦でなんとかその場を切り抜けることができました(原理不明)。

ロボット刑事「ん? ゴールド反応が消えた。」

Kは困惑。

赤松「しかし、奴は今にここを嗅ぎつけるに違いない。」
ノコギリマン「そうはさせない。」

ノコギリマンはホロ付きのトラックを発進させました。それをジョーカーで追いかけるK。ノコギリマンはKをタイヤ置き場に誘い出しました。

ロボット刑事K「お前はノコギリマンか?」
ノコギリマン「そうだ。お前の首を鋸引きにしてやるぞ。」

ノコギリマンは回転ノコギリを飛ばしました。Kはそれを避けました。もう一つのノコギリもKは避けました。タイヤ置き場での戦闘は続きましたが、最終的にKはノコギリマンによってタイヤの下敷きにされてしまったのでした。

ここでCMが挿入され、CMが明けると勝ち誇るノコギリマンが例の倉庫に戻ってきていました。ロボット刑事など一捻りだと豪語するノコギリマンでしたが赤松は警察がここを嗅ぎ回っていることをなおも懸念。

赤松「バドーは契約者の安全も保証しているはずだろう。」

と痛いところも突かれたのでノコギリマンはバドー首領にお伺いをたてました。すると返ってきた答えは

バドー首領「心配するな。金塊の輸送にはタンクローリー作戦がある。」

その頃、芝と新條は橋の上で困り果てていました。

芝大造「これでは署にも帰れねえ。」

そこへ奈美と由美が通りかかりました。買物の途中だと言うのです。色々と尋ねられましたが、金塊を強奪されて捜査中だとはとても言えず、口を濁すばかり。会議があるので夕御飯は要らないと芝は答え、奈美と由美は立ち去りました。そこへやってきたのが地獄耳平。

地獄耳平「きれいになりましたねえ、奈美ちゃん。」

さらに

地獄耳平「浴衣の君はススキの簪。もういっぱいいかが、あ、なんて。妙に色っぽいね。」

なんて歌を歌ってます。どうやら岡本まさみ作詞で吉田拓郎作曲で吉田拓郎が歌った『旅の宿』を歌っているようです。これを聞いた芝は吸っていたタバコを叩きつけ、胸ぐら掴んで怒りましたが、地獄耳平は情報を持ってきていました。その情報とは

芝大造「早くしろ。忙しいんだ。」
地獄耳平「この近くの倉庫で急に荷物が満杯になったところがあるんですよ。」
新條強「満杯?」
地獄耳平「ええ。予約してある荷物を預けに行ったら倉庫が満杯だから断られたって言うんです。朝には予約を受けて昼には満杯。ちょいと臭いと睨んだんですがねえ。」
芝大造「どこの倉庫だ。」
地獄耳平「ええ。赤松運送です、その先の。」

地獄耳平から芝と新條が情報を得た頃、赤松運送の倉庫では金を液体に溶かしていました。セレン酸に溶かしていたと後で説明されますが、厳密にはこれは間違いで金は王水(濃塩酸と濃硝酸を3:1の割合で混合してできる橙赤色の液体)にしか溶けません。そして溶かした金をどうやって運ぶかといえば

ノコギリマン「盗んだタンクローリーを持ってこい。」

出光のマークがデカデカと描かれたタンクローリーが入ってきました。うーむ。化学を習った「者として一言言わせてもらうと(小堺一機談)」と言いたくなってしまいますが、無視して先へ進みましょう。金を溶かした液体をタンクローリーの中に回収。

赤松「うーん。なるほど。」

さて歩いて赤松運送の倉庫に向かう芝と新條にタイヤの下敷きから脱出したKがジョーカーで合流。

芝大造「どこをほっつき歩いてたんだ、この大事な時に。」
ロボット刑事K「はあ、すいません。タイヤの下敷きにされたもんで。」
芝大造「タイヤの? は。だからお前は鉄屑野郎だって言うんだ。」
ロボット刑事K「それより、芝刑事。この近くに金が隠してありますよ。さっき、ゴールド探知機に反応があったんです。」

それを聞き

新條強「場所は割れてんだ。」
ロボット刑事K「ホントですか。」

とその時、あのタンクローリーが通りかかりました。Kのゴールド探知機に反応がありましたが、金塊を溶かして運ぶという、芝や新條の想定外の作戦だったため、

芝大造「馬鹿野郎。そんな事より倉庫を抑えるんだ。」

となってしまいました。それにしても塩化金酸イオンにも反応がある探知機の作り方、私にはわかりません。

そして赤松運送の倉庫に辿り着きましたが、やはりそこには誰もいなくてもぬけの殻。ただ遺留品をKが分析した結果

ロボット刑事K「セレン酸反応あり。原子量196.967。原子番号79の元素記号Au。これは金だ。と言うことはセレン酸で金を溶かしたことになる。」

化学を習った「者として一言言わせてもらうと(小堺一機談)」(以下省略)。新條もその理由を理解しました。金塊を溶かしてタンクローリーに入れたに違いない。やはり先ほどKが察知したタンクローリーで運んでいたのです。化学を習った「者として一言言わせてもらうと(小堺一機談)」(以下省略)。

芝大造「畜生。どこまでコケにすりゃ気が済むんだ。」

兎に角、検問所へ連絡しました。ちょうど第三検問所に例のタンクローリーが差し掛かっていましたが、タンクローリーは検問を強行突破。ジョーカーで追跡するK、新條、芝。ついにジョーカーはタンクローリーを捕捉。

ノコギリマン「捕まってたまるか。」

ところがタンクローリーが進んだところは行き止まり。仕方なくノコギリマンはタンクローリーを降りて

ノコギリマン「来たか、デカども。」

と言うわけで大まかな流れはわかると思いますが

ロボット刑事K「あいつは私に任せてください。それよりもタンクローリーのチェックを。」

そしてお台場でノコギリマンと対峙するK。仮面ライダーのエンディングなどでもお馴染みのところです。

ロボット刑事K「今度こそ逃さんぞ、ノコギリマン。」

Kの目の色が赤くなりました。

ロボット刑事K「行くぞ。ゴー!」

Kはブレザーを脱いで戦闘開始です。

その頃

新條強「満タンです。おそらく全部の金塊がこの中に。」
芝大造「よし。」

芝と新條はKの加勢にタンクローリーを離れてしまいました!

さてノコギリマンはノコギリ円盤を発射。ところが2つともロボット破壊銃で破壊されてしまいました。ノコギリマン不利。とそこへおっつけやってきたのがタイホウマン (声:水鳥鉄夫ではなくて兼本新吾)です。

タイホウマン「バドーのタイホウマン。」

その声はやはり兼本新吾さんの声です。クレジットはいい加減ですねえ。

ノコギリマン「タイホウマン、応援に来てくれたのか。」
タイホウマン「そうだ。お前の実力ではロボット刑事は倒せん。」

こう言われてプライドを傷つけられたノコギリマンは、こう言い放ちました。

ノコギリマン「何!」

さてKは

ロボット刑事K「新條刑事、早くタンクローリーを。」
新條強「よし。」

新條は芝と二人でタンクローリーのところに戻ろうとしましたが

タイホウマン「のがさん! 狙った的は外さん。」

タイホウマンは大きな大砲を背負った姿をしています。その大砲から砲撃。新條と芝は戻れません。芝と新條を救いに行こうとしたKの進路を遮るノコギリマン。さらにタイホウマンには

ノコギリマン「待て。今一度チャンスをくれ。俺の力でこいつを必ず倒して見せる。」

と豪語しました。

タイホウマン「やってみろ。」
ノコギリマン「よし。」

そしてノコギリマンはKと戦いましたが、なかなか決着がつかず

タイホウマン「うーん。我慢ならん!」

なんとノコギリマンとKのいる方向へ照準をセット。

ノコギリマン「タイホウマン、仲間を殺すのか。」
タイホウマン「力なき者は死あるのみ。これがバドーの掟だ。」

なんと。タイホウマンは砲撃。ノコギリマンとKのいる辺りが爆発しました。ノコギリマンはこれでバラバラに。さてKはというと

ロボット刑事K「タイホウマン、行くぞ。」

無事でした。

タイホウマン「来るか。」

タイホウマンの砲弾が爆発しまくる中、Kはジャンプ。

野田圭一のナレーション「粉砕ロボット、タイホウマンの凄まじい一撃を食ったロボット刑事K。果たしてその運命は。」

次回へと続きます。

それにしてもバドーは非情な組織。「力なき者は死あるのみ。これがバドーの掟だ。」と言うタイホウマンの言葉が全てを物語っているように思います。科学考証はやはり出鱈目ですが、まあ金を溶かして運ぶのはできなくはないかなあとは思います。そこに目を瞑ればかなり楽しめる話だと思います。

次回はタイホウマンが相手。やはりKは苦戦しますが、どうやって倒すのかも見所の一つです。