ウルトラ怪獣 - 帰ってきたウルトラマン Advent Calendar 2021 -

はじめに

この記事では「帰ってきたウルトラマン」に登場した怪獣について取り上げます。

怪獣の特徴

ウルトラマンの成長を描くという目的もあったと思いますが、「帰ってきたウルトラマン」に登場した怪獣は強敵が多かったという印象があります。地球の怪獣でもバリアをはるキングザウルス3世、津波を起こしたり竜巻を起こしたりするシーモンスとシーゴラスがいますし、第18話以降はベムスターなどの宇宙怪獣、第31話以降は宇宙人も登場します。特にシーモンスとシーゴラスは地球の自然災害そのものが相手ですから、これに立ち向かうのは並大抵の事では勝てません。何しろ円谷一が「会社を潰す気か!」と怒鳴り込んだくらい佐川哲夫が予算を使って映像化したのです(もっとも一部は東宝の映画からの流用だそうですが)。MATの援護がなければ追い払うことはできなかったでしょう。

ウルトラマン」でもウランを食べたり(ガブラなど)金を食べたり(ゴルドン)する怪獣が登場しましたが、「帰ってきたウルトラマン」ではプラスチックを食べる怪獣(ゴキネズラ)や電波を食べて発信する怪獣(ビーコン)が登場しました。マグネドンは地球の磁力をエネルギーにしていますし、プリズ魔は光を吸収してしまう怪獣です。どれも魅力あふれる怪獣です。

怪獣のデザイン

さて「帰ってきたウルトラマン」の怪獣をデザインしたのは次のとおり、複数名います。

初めは池谷仙克が担当していました。企画書の段階でアーストロンなどは出来上がっていました。さて池谷は第5話と第6話を観て、2体の怪獣(グドンツインテール)が両方とも鞭を使う怪獣だったので驚いたそうです。つまり脚本ができる前にデザインしたのです。

池谷は実相寺昭雄監督の「曼荼羅」撮影のためにシリーズを離脱。第13話以降は熊谷健がデザインを担当しました。初めはプロデューサー補ではなく、デザインを担当したのです。なお池谷は後に大木淳の頼みで第32話「落日の決闘」に登場するキングマイマイのデザインを担当しています。

米谷は第27話「この一発で地獄へ行け!」のグロンケンから本格的にデザインを行なうようになりました。「帰ってきたウルトラマン」のプロデューサーは当初は円谷一と斉藤進でしたが、円谷一が社長を務めながらプロデューサーを務めることが難しくなってきたため、熊谷健がプロデューサーの仕事を助けるようになりました。それも関係しての登板だと思います。第34話「許されざるいのち」では小林晋一郎が投稿したデザインを元に合成怪獣レオゴンのデザインを行なっています。小林晋一郎がデザインしたレオゴンは「ベムラーの手の部分を葉っぱにして全身を緑色にした感じ」だったのですが、米谷のデザインでは4本足の怪獣でした。

さて井口昭彦は第35話「残酷! 光怪獣プリズ魔」から怪獣デザインを担当しました。米谷もプリズ魔のデザインを手がけていたのは先述しました。

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さてゴキネズラは末安正博が、サータンは利光貞三がデザインを手がけています。末安正博は「ウルトラセブン」などでプロデューサーを務めた末安昌美の実弟であり、本職は円谷プロの営業担当だったそうです。本当に色々な人がデザインを手がけたのですね。

怪獣の造形

東宝のステージを借りるために東宝特美に特撮美術をお願いしたのもあって、当初は怪獣の造形も東宝の美術部が担当していました。しかし、ガッチリ作ってしまうのでコストが高くなった上に動きづらかったという問題もありました。そのため、出来上がったタッコング、ザザーン、アーストロンを開米プロが改修し、以後は開米プロがそのまま怪獣の造形も担当しました。斉藤進曰く「開米さんは予算の相談に応じた作りをしてくれました。」とのことです。まあ、それが良くも悪くも「帰ってきたウルトラマン」の怪獣の出来に繋がっているのでしょうね。予算が高ければ後のファイヤーマンなどの素晴らしい造形になるのですが、そうでなければそれなりになってしまうのは、最終話のゼットンを見ればよくわかりますよねえ。

なお、高山良策グドンツインテール、ステゴンの3体を担当していますが、同時期にピープロダクション制作の「宇宙猿人ゴリ」(→「スペクトルマン」)も担当していたので、この本数にとどまっています。またキングザウルス三世は円谷プロの造形スタッフが担当したそうです。

おわりに

この記事では「帰ってきたウルトラマン」に登場した怪獣について取り上げました。