ウルトラ兄弟

はじめに

この記事ではウルトラ兄弟について取り上げます。

メディアミックス

ウルトラ兄弟を語るにあたって避けて通れないのがメディアミックスだと思います。ウルトラブレスレットの各形態の名前が劇中では一切語られておらず、小学館学年誌で紹介されていたのは先述しました。

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大伴昌司

ウルトラマンシリーズのメディアミックスで一番有名なのが大伴昌司でしょう。彼は1936年2月3日生まれで東京都本郷区出身。慶應大学に進学しますが、短期間、放送研究会にも在籍していたそうです。放送研究会での先輩に後に『ウルトラマン』の仕事で再会する飯島敏宏と藤川桂介がいました。

さて卒業後に円谷プロに出入りし、第1期ウルトラシリーズに登場する怪獣や宇宙人を図解した怪獣図解を連載し、単行本『怪獣図鑑』にまとめられました。大伴は設定を考え、イラストは他の人が描いていました。『怪獣図鑑』は当時の皇太子徳仁親王が購入した本としても話題になりました。ウルトラマンが地上で戦える時間を3分間、宇宙恐竜ゼットンが放つ「一兆度の火球」などは大伴が考案して設定して後に公式設定となったものです。

しかし、怪獣図解は子供たちの夢をなくすと考える円谷一と1967年の『怪獣解剖図鑑』をめぐって怪獣観の相違で怒りを買い、以後、大伴は円谷プロを出入り禁止になってしまいました。

それでも1973年1月27日に急死するまで大伴は活動を続けました。ツインテールはエビの味がするというのも大伴が考えた設定で、劇中では一切語られていません。

小学館学年誌

大伴に代わって台頭する形になったのが小学館学年誌です。第1期ウルトラシリーズでは講談社が版権を持っていましたが、第2期ウルトラシリーズ以降は小学館が版権を持っていました。また当時、小学館は『小学1年生』『小学2年生』『小学3年生』『小学4年生』『小学5年生』『小学6年生』と小学校の各学年向けの雑誌を販売していました。今は休刊になっているものが多いですが。そこで「帰ってきたウルトラマン」を大々的に取り扱ったのです。

さてTBSと円谷プロ小学館の学習誌の編集部員を呼んで意見交換を行なっていました。小学館のメンバーは『帰ってきたウルトラマン』にちなんで〝MATチーム〟と呼ばれていました。その隊長が当時入社4年目でチームでは最年長だった上野明雄です。上野は『小学1年生』の編集者でした。

MATチームは独自に『帰ってきたウルトラマン』の調査や分析をしていました。その成果を、小学館がTBSと円谷プロを呼んで行なったことがありました。それが箱根合宿です。時期は夏頃だったようです。おそらく箱根で行なわれたのでしょう。人気のある怪獣の特徴として、立ち怪獣である、ゴジラ型、色が黒に近い色であること、牙ある、角があるなどをMATチームは発表したそうです。名前にキングがついているというのも挙げたそうです。上野はブラックキングはこの箱根合宿が元になって名付けられたと考えています。円谷プロの窓口は企画文芸室にいた田口成光が中心だったようです。

第18話「ウルトラセブン参上!」

さて第18話「ウルトラセブン参上!」(脚本:市川森一、監督:鍛冶昇、特殊技術:佐川和夫)が放送されました。これを当然、小学館学年誌は大々的に取り上げました。そういえば市川は白石雅彦と荻野友大編著「帰ってきたウルトラマン大全」と証言していました。

ウルトラセブンで殴り込みをかけたらどうか」とか、橋本さんにおだてられたりして、それで僕は「ホームドラマは書けませんよ、スポ根ものは嫌いですよ。それでいいんですね。」というようなことで入ったんだと思います。僕は、ウルトラマンは、よりサイエンティフィクションであるべきだと主張してきましたから、アメリカのテレビ映画みたいなタッチでやりたいというのはありました。多少人間ドラマを入れるにしろ、あまりベタベタしたタッチを入れるのは嫌だ。だから特に「ウルトラセブン参上!」は、怪獣が暴れるだけの話になっちゃったんじゃないでしょうか(笑)。

誰の発案なのかが私にははっきりわかりませんが、ウルトラセブン登場で小学館のMATチームが誌面を盛り上げたのは確かです。

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第38話「ウルトラの星 光る時」

そして第38話「ウルトラの星 光る時」(脚本:上原正三、監督:富田義治、特殊技術:大木淳)が制作され、初代ウルトラマンウルトラセブンが登場しました。この話は当初から初代ウルトラマンウルトラセブンの登場を想定して描かれていたのは先述しました。

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これによって小学館学年誌の誌面が盛り上がったのは間違いありません。そしてこのことがウルトラ兄弟の設定に繋がっていくことになったわけです。

おわりに

この記事ではウルトラ兄弟、と言うよりは「帰ってきたウルトラマン」でのメディアミックスについて取り上げました。メディアミックス自体は「仮面ライダー」と講談社との連動や後の「マジンガーZ」と講談社との連動が有名ですね。私は第2期ウルトラシリーズと第3期ウルトラシリーズの中間辺りの世代ですが、「ウルトラマンレオ」終了後も小学館学年誌ウルトラ兄弟のことが盛んに取り上げられ、小学館から単行本も色々出ていたことをよく覚えています。この功罪は色々とありますが、私には判断できる話ではありません。さて、このメディアミックスを上原正三がどう思っていたかについては後で触れましょう。

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